東方殺女王   作:ダイナマイト

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時間をみつけて書くことが出来ました。


ルール

年期の入った建物・・・お世辞にも綺麗とは言い難いそれは、ここ幻想郷において最も重要な場所の一つだ。

 

そこは外の世界と幻想郷をつなぐ場所であり、またそれを分ける場所でもある。

ならばもう少し綺麗にしてもいいじゃないかとも思うが、それは仕方のないことだろう。

 

博麗神社・・・その建物はそう呼ばれる。

 

(めんどくさいはね~、なんで来もしない参拝者のために掃除なんてしないといけないのよ。)

 

そんな博麗神社の管理者、博麗 霊夢≪はくれい れいむ≫は参道を掃きながら、そんなことを考えていた。

 

(ん、あれは・・・)

 

彼女がふと空を見上げた時、遠くのほうから見知った少女が、見知らぬ男を抱えて飛んでくるのが見えた。

 

(めんどくさいことになりそうね・・・)

 

はぁ~、と分かりやすい溜息をつき、霊夢は彼女がこちらにつくのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、着きましたよ。」

 

そういって、彼女・・・射命丸 文はわたしを下した。

 

(やはり妖怪のところに連れてきたのではなかったな。)

 

わたしは確信した。いまわたしの目の前に広がるのは神社だ、まさか神社を根城とする妖怪はいないだろう、そう思ったからだ。

 

しかし・・・

 

(なぜ神社なのだろうか・・・まさか神に頼れとも言いたいのか?)

 

わたしが文の考えを図りかねていると、一人の少女がこちらに向かってくる。

 

「文、なんの様かしら、ここにはあなたが望むようなスクープはないわよ?」

 

少女はそう言った。

彼女の格好・・・大きなリボンのようなものを頭に括り付け、脇が開いた コスプレのような巫女服。

ならば彼女はここの巫女だと考えるべきだろう。

 

「つれないことを言わないでくださいよ、わたしとあなたの仲でしょう?

それに・・・分かっているんでしょう?」

 

文は言った。

 

「・・・まぁ、わかるわよ。」

 

そう言った彼女はわたしのほうをチラリと見た。

はっきり言って会話にはついていけないが、わたしの今後のことを話しているのだろうということは分かった。

 

「そこの男・・・外の人間でしょ、そいつを帰せばいいのね・・・」

 

ほんとめんどうだわ・・・と彼女は言った。

 

むぅ、外の世界に行くつもりはないのだが・・・

また、一から話さなくてはいけないのだろうか、そう考えると少し憂鬱な気分になる。

そう考えるわたしを代弁するように文は言った。

 

「いえ、違うんです。彼には外へ帰る意思がないようなんですよ。」

 

「・・・じゃあ、なんでわたしのとこに連れてきたのよ。」

 

彼女は呆れたようにそう言った。

 

「彼は少し危険な能力を持っていましてね、スペルカードルールについて、考案者であるあなたに説明していただこうと思いまして・・・」

 

「能力・・・ねぇ?」

 

彼女は少し考えるような仕草をとるとこちらを一瞥し、再び口を開いた。

 

「わかったわ、じゃあ・・・立ち話もなんだし、中に入りましょう。」

 

彼女はくるりと踵をかえし、足早に廃れた神社に入って行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(危険な能力ねぇ・・・)

 

古びた神社の一室、博麗 霊夢はそんなことを考えていた。

そもそもただの人間が・・・それも外から来た人間が、そのような能力を持っていることがおかしいのだ。

いままでに出会った外の人間は、やはりそのようなものは持っていなかった。

そう思って彼女は、再び影斗のほうを見る。彼の格好は同じように外から来た人が着ていた≪すーつ≫というものだった、この世界にはない、ならばやはり彼は外の人間ようだ。

 

(考えてもしかたないわね。)

 

幻想郷は来る者拒まず、ならば彼がここで暮らしていけるよう、サポートするまでだ。

そう考えて霊夢は口を開いた。

 

「ここは幻想郷、ようこそ歓迎するわ、わたしは博麗 霊夢、ここの巫女しているものよ、よろしくね。」

 

「ああ、わたしは蒼々 影斗という、よろしく。」

 

「さてと・・・、自己紹介はここまでにして、スペルカードルールのことだったわよね。」

 

彼女は続けて言った。

 

「スペルカードルール・・・弾幕ごっこともいわれるそれは、人間と妖怪を平等に闘わせるものよ。」

 

そういって霊夢はいくつかカードを出した。

 

「これがスペルカードよ、持っておきなさい。」

 

影斗にカードを渡す。

 

「それで、スペルカードルールというのは・・・・・」

 

少女説明中・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いわく、スペルカードルールというのは、

 

一つ、決闘の美しさに意味を持たせる。

一つ、事前にスペルカードの枚数は宣言する。

一つ、幻想郷を破壊しないためのものでもある。

一つ、このルールで負けたものは、絶対負けを認めなければならない。

・・・細かいことを言えばもう少しあるが、掻い摘まんで言えばそれくらいだろう。

 

「ちなみにこれが、弾幕と言われるものよ。」

 

そういって霊夢は手のひらから鮮やかに光る光弾をだした。

 

「これを相手にぶつけて戦うの、もちろん殺さない程度にね。」

 

(ふむ、殺さない程度か・・・まぁ、殺したいわけでもないからそれはいいのだが・・・)

 

しかしだ・・・

 

(これだけで妖怪と戦えるのか?)

 

その疑問が残る。

 

(まあいい、これがここのルールだというならそれに従うまでだ。)

 

そう考え、わたしは思考を打ち切った。

 

「スペルカードは、言うならば必殺技よ。これが全部耐えられたら負け、シンプルでしょう?」

 

「そうだな、・・・しかしいまいち実感が湧かん。」

 

「そうね・・・」

 

そういって霊夢は文のほうを見た。

 

「い、いやですよ、わたしは!」

 

「だったら、どうすんの「おーい、霊夢~、あそびにきたぜ~」・・・よ。」

 

文がごねていると、一人の少女が姿を現した。ほうきに乗って・・・

 

「・・・わたしは記憶があいまいだから強くは言えんが・・・わたしの記憶が確かなら、ほうきは空を飛ぶためのものではない気がするのだが・・・」

 

「いや、ほうきは確かに空を飛ぶための物だぜ。それ以外にどう使うんだ?」

 

わたしがそういうと現れた少女が答えた。

それを聞いてわたしは彼女のほうを見る、ほうきは言うまでもなく、黒を主体としたドレス、なにより存在感を放つのは大きなとんがり帽だ。

まるで・・・

 

(魔女のようだ・・・)

 

わたしはそう思う。ならばほうきをそう使っても当然だろう。

 

「んで、あんたはなんなんだ?そもそもここに参拝客がくるとは思えないんだが・・・」

 

その疑問に霊夢が答える。

 

「・・・後半は無視するけど、そいつは・・・」

 

少女説明中・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ~、外の人間か・・・、ここに残るなんて変わったやつだな。

わたしは霧雨 魔理沙≪きりさめ まりさ≫だ、よろしくな。」

 

・・・先ほどから思っていたが、魔理沙と名乗った少女はなかなか男らしい話をする奴だ。

まあ、名乗られたからには、こちらも名乗らなければ失礼だろう。

 

「わたしは蒼々 影斗という、よろしくたのむ。」

 

そういって彼女と握手を交わす。

 

「じゃあ、魔理沙、挨拶はそこまでにしてお願いできるかしら?」

 

「これから、ここに住むんだろう?だったらやぶさかじゃあないぜ。」

 

魔理沙はそういって、わたしたちは部屋から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(す、すごいッ!)

 

頭上に光弾が飛び交う中、わたしはそう思った。

 

「すごいでしょう?彼女たちは弾幕ごっこではとても強いですから。」

 

わたしのとなりで微笑んでる文はそう言った。

 

「あ、ああ正直驚いたよ、まさかこれほどまでだったとは・・・しかし霊夢は空が飛べたんだな・・・ここでは普通なのか?」

 

「いえ、彼女たちは特別ですよ、人間で飛べるのは彼女たちくらいです。」

 

「そうか・・・ならいいんだが。」

 

「それに、あなたでも驚いたりするんですね。」

 

「ん?まあ、わたしは人間だからな、未知のことには驚いたりするよ。」

 

「そうですか、なんだか安心しました。」

 

そういって、文はさらに笑みを深めた。可愛らしい笑みだ、少しドキッとしてしまうのは仕方のないことだろう。

 

「おや、終わったようですね。」

 

文がそういうと魔理沙がほうきから落ちてくるのが見えた。

 

「あいててて、ちくしょ~、また勝てなかったぜ。」

 

魔理沙は悔しそうに言った。

 

「どう?ちゃんとわかったかしら?」

 

霊夢は涼しそうな顔をしながら下りてきてそういった。

 

「ああ、やはり理解の範疇を超えていたが、実感は湧いたよ、ありがとう、霊夢、魔理沙。」

 

「そう、ならいいわ、さっき渡したスペルカード・・・考えておきなさいよ。」

 

「弾幕はパワーだぜ、影斗!」

 

「別にそういうわけじゃないんですけどね、まあ、時間はたっぷりあるんですからゆっくり考えてください。」

 

「ああ、わかったよ・・・ところで・・・」

 

わたしは言った。

 

「ここで権力を持った奴はいるか?」

 

 

 

 

 

 




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