東方殺女王   作:ダイナマイト

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ついに・・・っ、ついにあの方が東方殺女王に降臨なされたぞォ―――ッ!

最終章も近いなァ・・・


東方殺女王 第4部 星の影
2人の帝王


 

 

何度目になるのか分からない死を体験しながらオレは考える。

オレはどこで間違ってしまったのかと・・・

目の前では鈍器を振りかぶった男がいるが些細なことだ、むしろ一撃で楽になれる分幸福だと言える。

 

占い師が言っていたことが当たったな、ドッピオがいなくなってからオレの絶頂はたやすく崩れた。

 

やはりそこなのだろうか?

 

それともブチャラティの前で娘を始末しようとしたからか?

麻薬に手を出したからか?

 

今でもあの男の心がわからない・・・

 

オレにとってあの娘は生まれてきてはいけない存在だった。

そもそも一度もあったことの無い娘に情など湧くだろうか、いや湧かない。

あの娘はわたしの正体を感じ、そして近づく邪魔者以外の何者でもないッ!

 

麻薬・・・ブチャラティの父親が麻薬が原因で死んでいたのは知っている。

だがそれがどーした?

麻薬と言うのはとても魅力的なものだ。どれだけ体に悪いと言おうが、手を出す奴は一定数いる。当然他のチームも手を出すのだ。

 

あの時はパッショーネという巨大な組織が牛耳っていたから、ある程度は均整がとれていたが・・・ひとたびオレたちが手を出すのを止めればどうなっていたか?

パッショーネが手を出さないことをいいことに、小さなチームがあちらこちらで麻薬を売りさばくのだ。売り場を巡って抗争が起き、巻き込まれる一般人も多く出ただろう。確実に状況は悪化していたのだ。

 

・・・今更こんなことを考えても無駄か・・・。

オレは無限に続くこのレクイエムを体験し続けるしかないのだ。

 

今度は家の中か?次はどーやって死ぬのだろう?強盗に刺されるか?それとも火事に巻き込まれるか?

・・・火事は嫌だな、体中が焼かれる痛みと息が出来ない苦しみがずっと続くのだ。はっきり言って御免被りたい。

だが・・・それも時期になれるのだろう。

 

そう考えてるうちにも包丁を持った男がやってきた。

強盗にしてはスーツを着ているしおかしかったが、まあ今のオレには関係がなかった

 

そうか、あれで刺されるのか。焼死じゃなくてよかった。

オレはいずれ来るだろう痛みに身をまかせるため目を瞑った。

 

「・・・ッ!?この男は・・・ッ!」

 

そんな声が聞こえた。こいつはわたしを知っているのだろうか?

いや、そんなはずはない。わたしの正体は誰も知らないはずだ・・・。

 

タッタッタッタッ

 

男の離れていく音がする。

どうしたのだろう、痛みが来ないのはいいが、今まで一度もこんなことはなかった。

わたしはうっすらと目を開けてみる。

 

先ほどの男がさっきとは違うものを持って立っていた。

それは鏃だった。どこか見覚えがあるがどうしても思い出せない。

 

金髪、紅い目・・・どことなく見覚えのある顔をしている。

誰だ・・・?

 

思い出されるのはオレをこんな目に会わせた元凶、ジョルノ・ジョバーナ。

あいつに似ている顔をしている。

 

そんなことを考えている間にも、目の前の男の隣にスタンドが現れた。

 

そうだ・・・スタンド・・・あの矢はァッ!オレがエジプトで発掘したァッ!

 

・・・神とやら、貴様はそこまでオレが憎いのか・・・ッ!この無限に続くレクイエムを・・・再びこのオレにィッ!

 

「止めろォ――――――ッ!」

 

しかしその声も虚しく、男は自らのスタンドに矢を突き刺した・・・。

 

オレが死と言うものに慣れたせいなのか・・・ッ!?また違う苦しみがオレを襲うのかッ!?

 

男のスタンドが変貌を遂げ、俺に近づいてくる。

 

や・・・止めろォッ!い・・・嫌だッ!もうあんな地獄はこりごりだ・・・、オレはッ!オレは・・・ッ!

 

「オレのそばに近寄るなああ――――――ッ」

 

男が伸ばした手がオレに触れた瞬間、オレは意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗い・・・意識が眠っちまってるみたいにおぼろげだ。

これが死と言うものか・・・昔、ジョジョのボディを奪った後の深海での時間に似ている。なんだ、死というものは生きている間にも体験できるものなのか。つまらん。

 

 

頭がぐらつくような吐き気も、体が裂けるような痛みもない。

案外承太郎に負けたと言うのは、いまだ深海で眠るわたしの夢だったのかも知れん。胡蝶の夢とでもいうのか?

・・・フッ、わたしも随分妙なことを考える。我が”世界”は承太郎のスタープラチナの前に敗れ去ったのだ。

気に障ることだが、・・・事実だ。

受け継いだ者こそが、この世の勝者だとでも言うのか。気に入らん。

・・・しかし、プッチはどうなったのだろう?わたしの残したノートを見てはくれただろうか?

彼はわたしがこの世のすべてを支配する為にもっとも重要たる駒だ・・・。

わたしが残したノートと、骨があれば・・・彼ならきっと『天国』へといけるだろう。

願わくは・・・ジョースターの血統に邪魔されないといいのだが・・・

 

まあ・・・いい・・・、眠たくなってきた・・・次・・・意識が戻るかは分からないが・・・・・眠・・・ろ・・・う・・・。

 

 

 

「ム・・・ここは・・・?」

 

わたしが次に眼を覚ましたとき、何故か夜の森の中で倒れていた。。

これはおかしい、ここが所謂死後の世界とでも言うのか。

答えも出ないまま、わたしはとりあえず立ち上がった。

 

・・・?いつもよりわずかだが目線が低い気がする。何故だ?

まさかッ!

 

自らの首筋に手をやる。

・・・あの忌々しい星のアザがない・・・

 

「フ・・・フハッ・・・フハハハハハハハッハァハハハァッ!素晴らしいッ!なんという奇跡だッ!約100年ぶりの我が肉体ッ!」

 

やはり自らの肉体はイイッ!ジョセフの血を吸った時よりもずっとッ!何倍も体が軽いぞッ!

 

・・・しかし、このままここにいるのは不味い。今は夜だからいいが、このまま朝になればこの森の中にも日が射すことだろう。

 

あたりを見回し、一番高さのある木に登る。ここからなら、わたしが身を隠せる場所も見つかるだろう。

 

・・・あそこがいいな、というよりはあそこしか見つからない。紅い館、わたし好みだ。

 

「・・・ザ・ワールド・・・」

 

とりあえず、今自分はどれ程まで時を止められるのか、試してみることにした。

 

バァ――――z____ンッ

 

紅い館をめざし、進む。

 

――5秒経過

 

まだまだいける。

 

――10秒経過

 

たやすく最高記録を越してしまった、まだいけるか?

 

――13秒経過

 

ここまでか・・・

 

「そして時は動き出す・・・」

 

ふむ、予想以上だ、しかも訓練次第ではもっといけそうだ。

 

まあいい、それはともかく早くあの館に行かなくては・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、時が・・・ッ!?」

 

わたしがいつものように館の掃除をしていると、不意に時が止まった。

自分以外に時を止めることが出来るのは、知っている限り影斗さんだけなので、彼の仕業だと考えたが時間がたつ(時間は止まっているのだけど)につれそれは間違いだったことに気づく。

影斗さんが止められる時間を大幅に超えているのだ。

 

これはおかしい、また、なにか起こるのでしょうか?

そんな不安が胸をよぎる。

 

次に気づいたのは、何ものかがかなりのスピードで近寄って来ていることだ。

これがさっきの犯人か?

 

・・・なんだか影斗さんと初めて会った時と似ている。

まあ、どちらにしろ、何ものかがここに近づいてきているのは確かだ。美鈴のことだ、きっと寝ているだろう、少し頼りない。

わたしが行かなくてはならないのか?

 

・・・行くしかないのでしょうね。

軽くため息を吐きながら、わたしは玄関を目指した。

・・・もしかしたら間に合わないかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フゥ~、この本、なかなか面白かったわ。」

 

紅魔館の一室、図書室で、パチュリーは読み終えた本をぱたりと閉じながら呟いた。

 

「あら、もうこんな時間じゃない。」

 

窓の外を見れば、もう朝日が昇り始めていた。

 

「へぇー、そんなに面白いのか?1つ私にも見せてはくれないか?」

 

「・・・ッ!?」

 

一瞬だった、窓のほうを見たほんの一瞬の間に、パチュリーの正面に男が腰を掛けていたのだ。

 

「ああ、驚かしてすまない。別に悪気があった訳じゃあないんだ。」

 

男は何も持っていないことを証明するかのように両手を上げながら言った。

 

「・・・影斗?」

 

パチュリーはこの顔に見覚えがあった。

ここにもよく訪れる蒼々影斗だ、彼によく似た顔をしている。格好も同じだ。

しかしよく見ればこの男、影斗よりも若干彫りの深い顔をしている。

 

「・・・?

誰と勘違いしているかは知らないが、わたしはそんな名前じゃあないよ、DIOと言う。」

 

「ディ・・・オ・・・?」

 

「そう、ディー・アイ・オーでDIOだ、よろしく。」

 

「DIOね・・・分かったわ、わたしはパチュリー・ノーレッジ、よろしくね。

そんなことよりわたしはなんであなたがここにいるのかを聞きたいのだけど・・・?」

 

「ああ、そのことか。信じてくれないかもしれないが、気が付いたらこの近くの森で目を覚ましてね。

わたしは太陽アレルギーなんだ、日が出てしまうと危ないから、その前にどこか身を隠せる場所はないものか、と探していたらここが眼に入ったんでね。失礼ながら上がらせてもらったんだ。」

 

「太陽アレルギー・・・の外来人・・・ね。」

 

「外来人?」

 

パチュリーの言葉に疑問を覚えたのか、DIOは聞き返す。

 

「そう、ここは幻想郷。忘れられたものが集う場所よ。」

 

それからパチュリーはDIOに幻想郷のことを説明した。

 

 

 

「・・・吸血鬼に・・・スタンド使いか・・・」

 

2つの単語を口にしながら、DIOは考える。

 

(吸血鬼・・・彼女の言うことを信じるなら、わたしやわたしの知っているそれとは別物の様だ。

それにしても・・・スタンド使いか・・・わたしの知るものなのだろうか?いや、きっと違うのだろう。我が障害にならないといいのだが。)

 

スタンド使いと言うのは貴重だ、どうせならこのDIOの駒として使いたい。

・・・そして

 

(こんなちっぽけな世界などどーだっていい。この幻想郷を抜け出して、あのにっくき承太郎を倒し、何者をも超越するため、『天国』へといかなくては・・・ッ!)

 

(そのために・・・ここで手駒を増やすのもいいかもしれんな。)

 

「あら、何か心当たりがあるの?」

 

「ああ、わたしは君が言う吸血鬼とは少し違うが・・・一応吸血鬼だよ。そしてスタンド使いでもある。」

 

別に黙っておくほどのことでもないだろう・・・そう思ってDIOはパチュリーに真実を話した。

 

「どーいうことかしら?」

 

「わたしは元々人間だったのだが、人間の限界を感じてね、メキシコの遺跡から発掘されたと言われる石仮面で・・・吸血鬼になったんだ。」

 

そのかわり太陽の光を浴びると灰になってしまう体になってしまったが・・・

 

DIOは自嘲するかのようにそう言った。

 

「ザ・ワールド・・・」

 

その言葉とともにDIOの分身ともいえる存在が現れる。

アメコミのヒーローのような風貌のスタンド、ザ・ワールド。

『世界』と言う名にふさわしい、まさに規格外の能力、時を止める。さらには近距離パワー型だと言うのに、射程距離10メートルを誇る最強のスタンドだ。

 

「これが我がスタンド、ザ・ワールドだ。」

 

「へぇ~、やっぱり個人差があるのね、影斗のものとはまるで違う・・・」

 

「それはそうさ、スタンドというものは個人の才能、似たようなものはあっても1人1人変わってくるものさ。」

 

「そうなの、わたしも欲しくなっちゃったわ。

それで・・・どーするの?あなたは?住むところがないんでしょう?」

 

「そうだな・・・」

 

悩むようにDIOは唸るが、内心考えていることは違った。

 

(最悪・・・肉の芽を埋め込めばいい。)

 

読書家であるDIOが簡単にここを手放すとは考えづらい。

そういうことなのだ。DIOには気に入ったここを手放さずに済むための手段がある。

 

「ここに住む?」

 

「いいのか?」

 

「まあ、レミィがOKを出したらだけどね。」

 

「レミィ?」

 

「レミリア・スカーレット・・・ここ紅魔館の主人で・・・吸血鬼よ。」

 

 

東方殺女王 第4部 星の影~開幕~

 

 

 

 

 




ここでアンケートを開催したいと思います。

ずばりドッピオが復活するかしないか・・・

詳しいことは活動報告欄にアンケートを用意するのでそちらにどーぞ。
めんどくせーって人は感想にお書きになっても一応反映させてもらいますが、感想稼ぎと思われたくないのでお願いします。

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