東方殺女王   作:ダイナマイト

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今回の話を書いてるとき、何故かネウロのDRを思い出しました。

つまりそんな話です。原作キャラがけっこーひどい目に会うのでご容赦ください。


緋想天と言う名の幕間その3
今にも落ちて来そうな緋色の空の下で


 

今日の服、承太郎のコート

 

幻想郷に吉良が現れてどれくらい経っただろうか?

一年以上は経っているだろう、あれから色々とあった。

 

月を攻めると・・・ふざけたことをのたまっていた紫が本当に行きやがったのだ。

何故か私も誘われたが、もちろん誠心誠意OHANASHIをして、丁重にお断りした。

争いなんてはっきり言ってごめんだし、そもそも宇宙空間ではキラークイーンの爆弾は爆発しない。

それでもなお食い下がる紫に、わたしの代わりに吉良でも連れて行けと言ったら本当につれていきやがった。

戻ってきた吉良に怒られたのは言うまでもない。

・・・まさか本当につれていくとは思わなかったのだ、仕方がない。

 

その後、外の世界から守矢神社とか言う輩がやってきて、博麗神社を明け渡せとか言ってきたらしい。

なんたる自己中心的考え・・・

少々の嫌悪感を抱いたものの、まあわたしには全く関係のない話だったのでスル―させてもらった。

 

そして今に至る。

 

最近・・・なにやら天候がおかしいらしい。

・・・いや、らしいというのもわたしの周りではいたって普通の天気なのだ。

だが一たび他の人物に会いに行くとその天候がガラリと変わる。

咲夜に会いに行けばいきなり雲が天を被ったり、吉良や幽々子に会いに行けば雪が降り、文に会いに行けば風と雨が出始める。

そう言えば霊夢が神社が倒壊したと言っていた。

 

流石にこれはおかしいだろう、そう結論付けたわたしは、この異変が起き始めたころから存在している緋色の雲を目指して出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ・・・こうも天気が悪いと飛べはしても・・・視界が悪いな・・・」

 

雲の中を飛びながら、わたしはそう呟いた。

 

「おや、こんなところに人間が・・・?」

 

その声に反応するかのように1人の女性が現れた。

黒の帽子にピンクの羽衣が特徴的な女性だ。

 

「・・・わたしも来たくて来たわけじゃあないんだ、すまないね。

ところで君は?」

 

「・・・わたしは竜宮の使い、いずれ起こる異変を告げるものです。」

 

「・・・それはこの緋色の雲は関係あるのかい?」

 

「関係があるも何も・・・この緋色の雲は異常の宏観前兆。いずれ大地を揺るがすことでしょう。」

 

「へぇ~・・・つまり地震と言うことか?」

 

「ええ、そうです。あなたも来たくて来たわけじゃないんでしょう?

はやく帰って防災の準備でもされたらどうですか?」

 

「いや、駄目だ。わたしのカンがこの先に何かがあると告げている。」

 

「・・・そうですか、わたしにはこの先へあなたが行くのを妨げる理由があります。」

 

そういって、目の前の女は身構えた。

それに対してわたしも身構える。

 

「それじゃあ1つ、君にはわたしの新技の試し相手になってもらおうか・・・」

 

その言葉と共にわたしたちははじけるように距離をとる。

 

「スペルカードルールだったか・・・?久しぶりだが、まずはこれだ。」

支配『ザ・ワールド』

 

バァ―――z___ンッ

 

わたしの宣言と共に世界は凍りつく。

わたしはポケットからナイフを取り出し、女に投げつけた。

 

「久方ぶりに時を止めたが・・・まだ鈍ってはいないらしい。

さて・・・時は動き出す・・・」

 

わたしのその言葉と共に世界は再び色を取り戻す。

 

しかしナイフは彼女の体を貫くことはなかった。

 

ガキガキ

 

と彼女が身に纏う羽衣に阻まれてしまったのだ。

 

「おや、驚きました。いったいどんな手品をしたんですか?」

 

「・・・種も仕掛けもないがね。」

 

今度は彼女が攻撃にうつった。

再びあの羽衣を硬質化させ、わたしを貫こうと放ってきたのだ。

それをキラークイーンに弾かせ、わたしはさらに距離をとる。

 

(ふむ・・・それにしてもあの羽衣は厄介だな、弱っちい攻撃なら簡単にはじかれてしまう。あれを破るには、それ以上の力で攻撃するか、点ではなく面で攻撃するしかない。)

 

「まあ、わたしにはその手段があるがね。」

 

この技は文の風を操る能力をヒントに、とある風の戦士の技を参考させてもらったものだ。

 

両の腕を内側に回転ッ!わずかに生じた風をわたしの能力で加速ッ!加速ッ!巨大化させるッ!

 

「闘技『神砂嵐』・・・」

 

その2つの拳の間に生じる真空状態の圧倒的破壊空間はまさに歯車的砂嵐の小宇宙!!!

 

それを見た彼女は再び羽衣で防御しようとする。

 

「無駄だァッ!」

 

わたしの言葉の通り、神砂嵐の圧倒的破壊力によってその羽衣はズタズタに引きちぎられ、彼女は無防備の状態で神砂嵐を喰らった。

そのあまりの衝撃に、彼女はそのまま意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜宮の使いを倒したわたしは、雲を突き抜けてなお先を目指していた。(ケガの治療と羽衣の修理は勝手にやらせてもらったがね。)

雲を突き抜けた先、そこには何者かが暮らしているかのような空間があった。

 

「ふむ・・・やはりここか?」

 

その空間を歩きながら、わたしはそう呟く。

やけに殺風景な光景だ。桃の木くらいしか目に入らない。

まあ、べつにここの環境がどーであろうと全く自分には関係ないのでその思考はすぐに切り捨てた。

 

「おおっと・・・!?」

 

不意に、地面が揺れた。

いやここは天空だし、地面ではないのだが・・・とにかく揺れたのだ。

 

「地震を起こす大ナマズは元々、天人が使役できる神だった。

天は大地を制する為に浮いた。何故なら・・・天は大きな要石だから。」

 

その言葉と共に少女が姿を現した。

バーミ○ンみたいな桃のついた帽子をかぶった少女だ。

 

「ふむ・・・いまいち要領を得ないな・・・」

 

「要石が浮いているから地上は動き続け、大地は豊かになるのです。

 

「プレートのことを言ってるのか?

ふむ・・・天が大きな要石・・・なるほど、面白い意見だ。」

 

「意見ではなく事実なのです。ところで・・・あなたは何故天界まで?」

 

「最初は地上のおかしな天候とこの緋色の雲に対する興味本位だったのだがね・・・先ほどそう言ったわけにもいかなくなった。」

 

「どうして?」

 

「さっきとある竜宮の使いに聞いたんだがね、近々地震が起こるらしい。

わたしはそれを何らかの人為的要因があるのでは・・・?と思ってね・・・、はるばるここに来たんだ。」

 

「・・・驚いたわ、正解よ、でもわたしが待っていたのはあなたじゃない、あなたじゃ役不足よ。」

 

ピクッ

 

「・・・つまりお前が地震を起こそうとしているのだな?」

 

「だからそう言ってるじゃない、わたしが緋想の剣を突き刺して人々から気質を集めた。

だからさっさと帰ったら?言ったでしょう?あなたじゃ役不足、大した気質を持たないあなたじゃわたしと戦ったって無駄だわ。」

 

ピクピクッ

 

「・・・貴様がやったことで、わたしたち地上の人間がどれだけの被害を被るのかわかっているのか?」

 

「知らないわよ、そんなこと。」

 

ピクッピクピクッ

 

そう言って目の前の雌ガキは、まるで邪魔者をあしらうかのように片手を振った。

 

「・・・つまり『敵』だなァ、貴様はァッ!」

 

堪忍袋の緒が切れた、こいつをぶちのめそう。そうでもしなきゃ、小娘に舐められたという『赤っ恥のコキッ恥』をかかされたわたしの気分が治まらん。

もうこいつに対する慈悲の気持ちはまったくねえ・・・

 

「あら?やるっていうの?いいわよ、あなた程度でもいい暇つぶしにはなるでしょう。」

 

「てめーはこの蒼々影斗が直々にブチのめす。」

 

――――さあ、覚悟はいいか?お仕置きの時間だ。

 

 

 

まずわたしはほんの小手調べに、懐からナイフを取り出しそれを投げた。

これを躱せないようなら・・・ただのガキの自惚れと言うことでいくつかわたしの溜飲も下がる。

結果、雌ガキは躱せなかった、いや躱さなかったのだ。

ナイフがガキの体を貫かずはじかれたのだ。

 

・・・これはおかしい、そう思った私は続けて2,3投げつける。

しかし、これも弾かれてしまった。

 

「天人のからだに・・・っ!そんなチャチなもん効くわけないでしょうッ!」

 

ふむ・・・いいことを聞いた。

―――つまり・・・

 簡 単 に は 壊 れ な い と 言 う こ と か 

 

ギロリ

 

「ひっ!」

 

わたしがガキを睨むと、そいつは身をビクつかせ果敢にもわたしに向かってきていた足を止める。

 

「フン・・・どうした?この影斗では役不足なのではなかったか?」

 

「うるさい!違う戦法を思いついただけよ!」

 

「怖がらなくてもいいじゃあないかァ・・・貴様の負けはすでに確定していることなのだ。」

 

「黙れェッ!」

 

そう言ってクソガキは何やら先ほどまで乗っていた石をこちらに投げた来た。

 

「ふむ・・・遠距離攻撃というわけか?」

 

「そうよッ!さっきみたいなチャチなナイフと違って・・・こっちの破壊力はたしかよッ!」

 

「・・・わたしに遠距離攻撃など・・・凡策以外の何ものでもないなァ・・・」

 

以前吉良のシアーハートアタックの時に編み出したわたしの能力の応用・・・

 

「心優しいわたしが、ひとつ無知なる貴様に教えてやろう。」

 

停止『ホワイト・アルバム・・・

 

「――――超低温は『停止の世界』だ。」

 

・・・ジェントリー・ウィープス』

 

まあわたしは時間を止めれるがね。

 

「何ィ――――ッ!何故わたしの要石がはじかれてるゥ―――ッ!?」

 

バチッギュンッ

 

何が起こったのか理解していないクソガキはアホな声を上げる。

 

「言っただろう?超低温は『停止の世界』・・・

空気だろうがなんだろうが、この世のすべての物質は動きを止めるんだ。

そしてこの石は空気の壁を跳ね返り・・・」

 

ギュインッギュインッバッギ―z_ン

 

「・・・貴様の元へと帰ってく・・・」

 

「ガァ・・・ッ!

 

戻っていった石を、ガキはなんの工夫もなくうけ、吹き飛ばされる。

ナイフは刺さらずとも、自分の放った石は効くらしい。

 

「これくらいで済むと思うなよ?」

 

「うるさいッ!お前だってわたしが終わると思うなッ!」

 

立ち上がったガキは、わたしの言葉が癪に障ったのか声を荒らげて反論する。

そして飛び上がり、いつの間に用意したのか、剣を構え宣言した。

 

『全人類の緋想天』

 

ガキのまわりに緋色の霧のようなものが集まっていく。

そして・・・一筋の光線が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やったッ!」

 

影斗から散々こき下ろされていた少女、比那名居天子は自分が技を放った跡を見て喜びの声を上げる。

しかし、その喜びは一瞬にして崩れ去る。

 

ガシッ

 

背後から何者かに頭を掴まれる感触があったのだ。

 

「まあ・・・とりあえず・・・」

 

ギギギ・・・

と、機械的に首を動かし振り返る。

 

「・・・お仕置きを続けようか?」

 

トントントン

 

そこには実にイイ笑顔を浮かべた影斗がいた。

 

「ひぃッ!」

 

影斗がいることに驚いた天子は素っ頓狂な声を上げる。

 

「どうしたんだい?ン?まさか貴様程度の技がこのわたしに通じるとでもうぬぼれたのかね?」

 

その表情に気をよくしたのか、影斗はまくしたてるように言葉を紡いだ。

 

トントントン

 

「な・・・なんで・・・?」

 

「ふむ・・・いいだろう、教えてやるよ。なんてことの無いただの光の屈折だ。」

 

「は・・・?」

 

「だから光の屈折だよ、屈折。貴様の目に届く光をほんのちょっとだけ曲げて、わたしが違う場所にいるかのように錯覚させたんだ。

まったく的外れなところに光線を打つ貴様の姿はひどく滑稽だったよ。」

 

トントントン

 

「それじゃあこの音は・・・?」

 

トントントン

 

「ああ、これかい?なんてことはない、ナイフをたたいてる音だ。モールス信号のように何度もね。」

 

影斗の傍らではキラークイーンがナイフの柄を指先でたたいていた。

 

「ほら、貴様は言ってたろう?ナイフみたいなチャチな物じゃ、天人の体には刺さらないと。」

 

トントントン

 

「ちょっとした実験でね、どれくらいまでなら貴様のからだは耐えられるのか?とふと疑問に思ったものでね。」

 

トントントン

 

「こうしてナイフを空中に固定して力をためているんだよ。そろそろいい頃合いかな?」

固定『クラフトワーク』

 

続けて小さく、影斗は解除・・・と呟いた。

 

「ちなみに・・・今は音速を超えている。」

 

グサッドサッ

 

「キャッ!」

 

足にナイフが突き刺さり、天子はその衝撃で倒れた。

 

「ム・・・はじめてやったせいか、狙いが少し外れたな。まあ問題はないが・・・」

 

そう言って、影斗は倒れている天子に近づく。

 

「それにしても・・・貴様の硬さには恐れ入るなァ、まさか数センチほどしか刺さらないとは・・・」

 

そう、音速を超えるほどの速さで放っても、天子の体にはナイフのほんの先っぽほどしか食い込まなかったのだ。

 

(な、何よこいつッ!地上で見てても異変にはあんまり動かないし、気質だって天候を変えるほどじゃないほど弱いモノなのに・・・なんでこんなに強いのよっ!)

 

自分の一番自信を持ったスペルカードまで破られ、天子のプライドはボロボロだった。

 

(すぐに立ち上がってこいつから逃げなくては・・・ッ!)

 

そう思って天子は体を起こそうとする。

 

「ン?何処へ行くんだい?まだお仕置きの時間だぞ?」

 

ニタニタとまるで悪役のような笑みを浮かべながら、影斗は淡々と右手のスイッチを入れた。

 

カチッ

 

バゴォン

 

「ひぎぃッ!」

 

それと同時に天子に突き刺さっていたナイフがはじける。

その衝撃で、天子はまたもや吹き飛ばされた。

足は千切れるだとか折れるだとか言ったほどひどくはないが、それでもしばらくは経てないほどの怪我を負っている。

 

「・・・さて、そろそろ何故こんな愚かな行為をしたのか聞かせてもらおうか・・・?」

 

「だ・・・誰があんたなんかにッ!」

 

ドガッ

 

「ギャアッ!」

 

その言葉を聞いて、影斗は天子の足をたんたんと踏みつけた。

 

「敗者に拒否権があるとでも思っているのかね?質問はすでに拷問へ変わっているんだ。」

 

養豚所の豚でも見るような冷たい目で天子を見下ろしながら、影斗は言った。

 

「・・・羨ましかったのよ、天界じゃ毎日、歌、歌、酒、踊り、歌の繰り返し。

地上で妖怪相手に遊んでるのを見て・・・わたしも異変を起こせばあの巫女が遊びに来てくれると思って・・・」

 

「フン、自己満足のためだけに何も知らない人里の民を巻き込んだのか。」

 

異変を起こそうとしただけでは影斗もここまで怒らない、地震と言うものはそれほどまでに危険であり恐怖するものなのだ。

 

「・・・地震をおさえる手段ならあるわよ。」

 

「ほう・・・そうか、つまり危険はないと言うのだね?」

 

「ええ。」

 

「ならいい、9割方気も晴れた。わたしは帰るとするよ。」

 

 

 

数日後、霊夢が異変を解決し、神社をたてなおしたらしい。

その際八雲紫がブチ切れたらしいが、見てみたかった気もするが、わたしには関係ないね。

 

 

 

 

 

 

 





天子「かまってほしくてさあ!!」

作者は別に天子が嫌いなわけじゃありません。
ただ、性格とか異変を起こした理由とかが影斗を切れさせそうだな、って思っただけです。
すいません。

影斗もそんな悪い奴じゃないんですよ~
地震とか怖いですし、年下のガキにあそこまでコケにされたらブチぎれちゃうのも当然と言うかなんというか・・・

すいません。

皆様のご意見ご感想お待ちしております。

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