東方殺女王   作:ダイナマイト

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今回は早いぞお――――ッ!

前回の感想であーんキラ(ryが来ると思ったら全然来なかったぜ!


デッドマンズQ(死神)

 

 

 

「う・・・ここ・・・は?」

 

吉良が眼を覚ましたとき居た場所は、さっきまでいた場所とは違った。

 

何故自分はここにいるのか?

八雲紫の術中はまって、わたしは死んだのではなかったのか・・・

 

ジャラ

 

そして何より、自分は何故鎖でつながれているのだろうか・・・

考えても答えは出なかった。

 

「貴方は死んだんですよ・・・吉良吉影・・・。」

 

不意に声が聞こえた。

声のした方を見るとそこにいたのは長身の女性だった。

 

「死んだ・・・?

まあそうだろう、覚えがある、だが何故わたしは鎖でつながれているんだ?」

 

「それはあなたが罪人であり、被告人だからですッ!」

 

「何ィッ・・・!」

 

「わたしは幻想郷の閻魔ッ!

判決を言い渡しますッ!吉良吉影ッ!

貴方は黒ッ!圧倒的 黒ッ!

その業は・・・地獄の底でも生ぬるいッ!

よってあなたには・・・記憶を失い、死神として働いてもらいますッ!

貴方と同じ罪深き者を裁くことで・・・その罪を清めなさいッ!」

 

映姫がそう言った瞬間ッ!吉良のすぐ下の空間が開いたッ!

 

「うわぁァァァ――――ッ!」

 

そしてそのまま重力に従い落ちていく。(幽霊に重力がかかるのかは知らないが)

 

それはスキマだった。

 

「八雲紫・・・これでよかったのかしら?」

 

「ええ、ありがとう・・・感謝するわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同居人の1人とともに買ってきた野菜を切りながら、煮ていた大根に味をつける。

切り終わった野菜と魚を、外の世界から拝借してきたアルミホイルで包み、蒸し焼きにする。

あとは時間がたてば完成だ。

わたしはそろそろ出来上がると言う旨を、わたしが厄介になっているこの家の主人に伝えに行った。

 

主人の部屋へと向かう途中、同居人の1人の人魂が、わたしに構ってほしそうやってきた。

 

「おいおい、今は急いでいるんだ、あとにしてくれないか?」

 

わたしがそう言うと、そいつは如何にもつまらなさそうにブーたれたようにわたしから離れていく。

 

「少し悪いことをしたかな?」

 

そう思ったが、ここの主人は食事の時間が遅れると怖いのだ、仕方がない。

 

部屋につくとまずわたしは、主人から『魂の許可』をもらうため、扉越しに話しかける。

 

「おい、幽々子、入るぞ?」

 

「どうぞ~」

 

厄介なことに・・・こうしていちいち許可をもらわねば部屋に入ることが出来ないのだ。

幽霊の世界と言うのにも『ルール』があるらしい。

 

「どーしたの?吉影?」

 

「どーしたもこーしたも・・・飯の時間だから呼びに来ただけなのだがね・・・」

 

「あーそうだったわね、でも吉影ったら掃除とかこういうときくらいしか部屋に来てくれないのね。」

 

「それが仕事なのだから仕方ないだろう。」

 

「別に・・・仕事以外でも来てくれていいのよ?ふふふ♪」

 

わたしの答えになにか不満があったのか、幽々子は身をくねらせながら妖しく笑う。

 

「おいおい、からかうのはよしてくれ。」

 

「別にからかってる訳じゃないんだけどね。」

 

「はいはい、分かったから早く来てくれよ。」

 

「はーい。」

 

わたしが外に出ようとしたとき、幽々子が思い出したかのように話しかけてきた。

 

「あ、そうそう。映姫さまが仕事があるって言ってたわよ。」

 

「・・・了解した、後で行くよ。」

 

今回の仕事が終わったら・・・・しばらくはゆっくりしたいな。

外から持ってきたスピーカーでワーグナーの曲でも聞き、陶酔したい・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、お前さんは吉影じゃあないか!」

 

「ああなんだ、君か・・・」

 

わたしが映姫に会うために無縁塚を歩いていたら、知り合いに出会った。

 

「君じゃないだろう、あたいには小野塚小町っていう立派な名前があるんだ!いつも言ってるだろう!」

 

「別に呼び方ぐらいなんだっていいじゃあないか、何かが変わるわけでもあるまい。」

 

「よくない!」

 

何が気に喰わなかったのか、彼女は少々ご立腹な様だ。

 

「わかったよ、小町・・・これでいいんだろう?」

 

「・・・えへへ///」

 

「ところで・・・だ。」

 

話も一段落ついたところで、わたしは先ほどから抱いていた疑問を彼女にぶつけることにした。

 

「君はなぜこんなところに居るんだ?君は船頭だろう?ここにいていいのか?」

 

「(ギクッ)」

 

わたしの言葉に、小町は一瞬たじろぎ、その後不自然に目をそらした。

いくらなんでもわかりやすすぎる。

 

「ハァ・・・つまりサボってる訳か・・・」

 

「いいじゃあないか!話し相手もいなくてつまらなかったんだ!それに・・・

死神でそこまで仕事熱心なのはお前さんぐらいだよ。」

 

ったく、死神が仕事熱心なんて最悪だね!

 

そう続けて小町はそっぽを向いた。

 

「日本人は真面目なんだ、仕方ないだろう。」

 

「まあいいさ、映姫さまに用があるんだろう?あんまり待たせちゃいけないぞ。」

 

「・・・それもそうだな、それじゃあわたしはもう行くとするよ。」

 

「いい暇つぶしになったよ、ありがとさん。」

 

そう言ってわたしは映姫を目指して、再び歩を進める。

 

あ、そうそう・・・

 

「君がサボっていたことは報告させてもらうぞ―――。」

 

遠くから小町の悲鳴が聞こえた。

言っただろう、日本人は真面目なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トゥルルルルル、トゥルルルルル

 

「もしもし、映姫か?わたしだ。

今ターゲットを発見した・・・今なら殺れるが・・・どうする?」

 

幻想郷の外、わたしは死神としての仕事を果たすためここへやってきた。

ターゲットの名は笹塚 慎二、12年前のS市で起こった一家惨殺事件の犯人だそうだ。

 

『さて・・・どうしましょうか・・・』

 

「おい、はやく決めてくれッ!

はやくしないと家の中に入っちまうッ!」

 

『・・・それじゃあ今は止めてください、今夜・・・お願いします。』

 

「分かった・・・ではわたしはそのための準備をすることにしよう・・・」

 

プツっ

 

電話を切ったわたしはまず本屋に入った。

別に売れてそうもない『鼻をなくしたゾウさん』というタイトルの本を見て・・・

 

「いったい、なんでまた鼻なんかなくしちまったんだ?」

 

・・・と、ものすごく中の話に好奇心を持ったからそれを拝借して本来の目的のモノを探す。

 

適当な雑誌の中からそれを探す、別に・・・服を着た男の写真であれば何でも良かった。

すぐに見つけた、それをちぎって、男の自宅を目指す。

日も暮れてきた、いい時間帯だろう。

 

一軒家・・・少々厄介だが、まあ想定の範囲内だ。

 

ピンポォォ~ン

 

チャイムを押し、レンズのところに先ほどちぎってきた写真を見せる。

 

『はい、どなたでしょうか?』

 

「スイマセ~~~ン、近所のモノなんですがァ―――ッ、貴方の家の荷物がうちに届いてましてェ―――ッ!」

 

『荷物?おかしいなァ?頼んだ覚えはないんだが・・・?』

 

「頼んだものじゃなくても送ってくることもあるんじゃあないですか――――ッ!」

 

『・・・それもそうか、今出るよ。すまないね。』

 

ガチャっ

 

「あれ?だれもいない・・・だって?

ッチ、たちの悪いいたずらだッ!」

 

「ありがとう『許可』が出たなら入らしてもらう。」

 

ターゲットが扉を閉めた瞬間、わたしはそいつの首を掴み、懐のナイフを取り出した。

 

「へ・・・」

 

「まったく、こんな悪人でも自分の家を持てるなんて・・・どうかしている・・・」

 

まだ今の状況を理解できていないであろうこいつの胸に、わたしはナイフを突き刺した。

 

 

 

―――――わたしの名前は『吉良吉影』

―――――いつ・・・何故わたしが死んだのかはどうしても思い出せない。

―――――一つだけ言えることは、自分は決して天国には行けないだろうと言う実感があるだけだ。

―――――これからどうするのか?それもわからない・・・・・

―――――永遠に時間があると言うのなら『仕事』を『生きがい』にしておけば 幸福になれるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『仕事』を終えたわたしは白玉楼に戻った。白玉楼に戻るころにはすでに日が昇り始めていた。

 

「あら、朝帰りなんてダメじゃない。」

 

「だから茶化さないでくれといつも言ってるだろう・・・」

 

帰るなり幽々子はそんなことを言うのだから、本当にイイ性格をしている。

まさかこれを言うためだけに今まで起きていたのだろうか?

・・・だとしたら尊敬する。

 

「それじゃあ、午後は買い物をよろしくね♪」

 

・・・まったく、仕事から帰ってきた男を労わる気持ちはないのか・・・?

・・・困ったものだ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、君は影斗君じゃあないか?」

 

「ああ!吉良さん、どうも。」

 

妖夢と共に買い物に来ている途中、知り合いに出会った。

彼は蒼々影斗、元々外の世界で暮らしていた外来人で、人里のはずれで診療所で営んでいる青年だ。

彼とは色々と馬が合って、今では良き友人関係が築けている。

 

それから彼としばらく話していたが、妖夢が帰ってきたことによりそれは終わりを告げる。

 

「それじゃあ・・・影斗くん、わたしはこれで。」

 

「ええ、また会いましょう。」

 

わたしたちは帰路についた。

 

「やっぱり・・・いいな。」

 

ここはとても静かで・・・

気の合う友人もいて・・・

衣食住もちゃんと確保されていて・・・

趣味も満喫が出来る・・・

 

「どうしたんですか?吉良さん?」

 

「いや、何でもないよ・・・。」

 

さわやかな風を見に浴びながら・・・わたしは今を楽しんだ。

 

 

 

 

 

東方殺女王 第3部 ダイアモンドは砕けない ~完~

 

 

 

 

 




吉良好きの私がッ!本当に殺すはずがないでしょうがァ―――――ッ!

騙されました?それなら嬉しいです。

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