東方殺女王   作:ダイナマイト

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ジョジョのアニメがいったん終わり、ジョジョ愛が落ち着き始めた今日この頃・・・
何故かネウロ愛が浮上してまいりました、皆様はいかがお過ごしですか?


影斗の世界その3

 

爆破音が聞こえ、わたしはそこへ向かう。

 

今日何度目になるだろうか?もう10回は軽く越えているだろうがする。

だがそれ以上にこれを繰り返している気がするのは気のせいだろうか?

 

しかし・・・そんなことを考えている暇はない、早く吉良を見つけなくては・・・

そう思いながら、文は音のする方へと駈け出して行った。

 

 

 

 

 

 

「今までよりも大きな音がした気がするのですが・・・気のせいだったんでしょうか?」

 

「久しぶりだね・・・射命丸文ァ。」

 

文が駈けつけた先、そこには吉良が実に愉快そうな笑みを浮かべて立っていた。

 

「き・・・吉良吉影ッ!」

 

やっとのことで吉良を見つけた文は、吉良に飛びかかろうと身構える。

 

「おおっと、わたしが傷つけば影斗も傷つくんだぞ?

それに君ひとりでわたしを捕えられるかい?」

 

「・・・ッ!」

 

そこで文は気づく、自分だけでは到底吉良を捕まえきれないということに。

 

「ン~、ところで、蒼々影斗はどーなった?」

 

文がどうするか思いあぐねていると、不意に吉良が文に問った。

 

「影斗さん・・・?やっぱり来ているんですか!?それに・・・どーなったとは・・・?」

 

「・・・いや、知らないならそれでいいんだ。

・・・と、そろそろさっきの爆発音を聞きつけて、誰かが来るかもしれないからな・・・逃げさせてもらうとするか。」

 

「あっ・・・」

 

逃げる吉良を文は追いかけようとするが、先ほどの言葉もあり、一瞬戸惑ってしまった。

そのうちに吉良は森の中へと消えていった。

 

「さっき吉良が言った通り・・・ここで待ってたら誰かが来るかも・・・」

 

そう思って、文はその場で人が来るのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、文じゃない。」

 

「おっ、本当だ。影斗がお前のこと探してたぜ。」

 

「みなさん!やっぱり来てたんですね!?」

 

吉良が去って約10分、文がそこで待っていると霊夢と魔理沙が姿を現した。

 

「影斗さんはどちらに?」

 

吉良や彼女らの話を聞く限り、影斗がここに来ているのは間違いない、だが姿を見せないのを不審に思った文は二人にそう問った。

 

それと同時に、何故か文に言いようもない不安が押し寄せてくる。

 

・・・このままでは大切な何かを失ってしまう・・・そんな予感だ。

 

次の瞬間・・・2人の体が爆ぜた。

 

「へ・・・」

 

「な・・・」

 

背中が裂け、おぞましい爆音が響く。はじめて感じる痛みに、2人はどうしようもなく戸惑っていた。

その間にも2人の体は絶えず爆破されていく。

その衝撃に、2人は鮮血をまき散らしながら・・・静かに意識を闇へと沈めていった。

 

そして・・・

 

ドグォォォン

 

一際大きな爆音が響いた後、2人の体はこの世から消滅した。

 

「ひ・・・ひぃ・・・嫌ァァァ――――――ッ!」

 

それまで目の前で急に起こった現実についていけなかった文が、やっと理解できたのか叫び声をあげた。

地面に膝をつき、どうしようもなく、文はその場で泣いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「文ッ!?さっきの爆音と悲鳴は・・・・っ!?」

 

「何事ですかっ!?」

 

ただならぬ気配を感じたのだろう、影斗と咲夜が息を切らしながら現れたのだ。

 

「影斗さぁ~ん・・・、霊夢さんが・・・魔理沙さんが・・・」

 

ボロボロと涙を流しながら、文は2人に訴える。

 

「2人がどうしたんだッ!」

 

「もしかして・・・吉良が・・・吉良の仕業なんですかッ!?」

 

咲夜がそう言った瞬間・・・文に異変が起こった。

 

「文さん・・・それは・・・」

 

咲夜はそう言いながら文の背中を指さす。

異変・・・本来はそこに存在するはずのないモノがそこにいたのだ。

 

小さなキラークイーンが・・・文の背中に不気味に佇んでいた。

 

「ま・・・まさかッ!バイツァ・ダストかッ!?」

 

『そうだッ!蒼々影斗ッ!貴様らがわたしを追い詰めてくれたおかげで・・・再び発現することが出来たッ!』

 

その姿を確認した咲夜は、その手に持つナイフでキラークイーンを思わず攻撃した。

 

スカッ

 

しかしその攻撃は空振りに終わってしまう。

 

『無駄だッ!貴様らがキラークイーンを見たときッ!すでにバイツァ・ダストは作動しているッ!

巫女と魔法使いはもう始末したぞッ!貴様らで最後だッ!』

 

そして・・・

 

ドグオォォォン

 

爆ぜる咲夜とそれを抱きしめる影斗・・・

その光景を見ながら、文の意識は闇へと閉ざされた。

 

――――――時間は巻き戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!」

 

不意に意識が覚醒する。それと同時に思い出されるのは吹き飛んでいく友人の姿。

 

「・・・ッハァッハァ・・・」

 

その光景に思わず息が荒くなる・・・。

 

「・・・わたしが何とかしなくては・・・」

 

そうして文は覚悟を決めた。

 

文が向かったのはさっき吉良と出会った場所、あの運命が起こる前に吉良に解除させるために・・・

 

 

 

 

 

・・・しかしいくら待っても吉良はそこに姿を現さなかった。

 

「な・・・何故・・・何故吉良は現れないんですかッ!」

 

そんな文から20メートルほど後方の木の陰、吉良はうろたえる文を見ながら考えていた。

 

(・・・先ほどの表情、そして今のうろたえよう・・・どうやら彼女は2,3回繰り返しているようだ。)

 

今の状況、文の様子・・・それを冷静に分析し、行動をとる。

 

(クールになれ、吉良吉影・・・今は慌てて出て行くような状況ではない・・・

誰かが吹き飛んだのを確認してから出て行くのが最善だ。)

 

そして最悪の運命は繰り返される。

 

「あら、文じゃない。」

 

「おっ、本当だ。影斗がお前のこと探してたぜ。」

 

「あっ・・・」

 

吉良の姿が見える前に霊夢たちが現れてしまったのだ。

文の顔が絶望の色に染まる。

 

そして・・・

 

バグオォォン

 

「へ・・・」

 

「な・・・」

 

新たに上書きされた運命の通り、2人の体はこの世から消滅した。

 

「う・・・うわぁぁぁぁッ!」

 

止めることが出来なかった・・・

何もできずに・・・2人を死なせてしまった・・・

わたしはこれを知っていたはずなのに・・・

 

そんなことを思いながら、文は自分を責めた。

 

「やあ、射命丸文、気分はどうだい?」

 

そんな文の耳を、悪魔の声が撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ン?どうしたんだい?わたしは気分はどうだい?・・・と聞いたんだ、答えてくれてもいいじゃあないか?」

 

絶望に顔を染める文とは対照的に、吉良の顔は実に晴れやかだった。

 

「それに・・・これで終わりじゃあないんだろう?誰を始末した?咲夜か?まさか影斗か?

・・・教えてくれてもいいじゃあないか、どうせ・・・なにも変わりはしないんだよ。」

 

「・・・まあいい、わたしは再び無敵になったんだ。

君には期待しているよ、それじゃあまた会おう。」

 

言いたいことを告げるだけ告げ、吉良は足早にその場を去った。

文は何も言えなかった、去っていく吉良をただ見ていることしかできなかった。

 

数分後、運命は繰り返される。

 

「文ッ!?さっきの爆音と悲鳴は・・・・っ!?」

 

「何事ですかっ!?」

 

そう言って近寄ってくる2人を見ても、文の表情はうつろだった。

 

勝てない・・・なすすべもない・・・どうしようもない・・・

 

そんな思いが胸を占める。

 

バグオオォォォン

 

その音を聞いても、文の表情は変わらなかった。

 

鼻腔をくすぐる血のにおいと、影斗の叫びを聞きながら、文は自分を呪っていた。

 

「文・・・」

 

「影斗さん・・・もう駄目です、もう勝てない・・・

霊夢さんも・・・魔理沙さんも・・・咲夜さんも・・・」

 

影斗の言葉にやっと反応した文が、絶望に染まった顔で無気力に答える。

 

「・・・わたしは絶望したぞ・・・」

 

影斗の言葉を文は静かに聞いている。

 

「この絶望がッ!わたしにもバイツァ・ダストを発現させるッ!」

 

「いいか・・・文、わたしの言うとおりにするんだ・・・分かったね。」

 

文は影斗の言葉に、力強くうなずいた。

 

「―――――バイツァ・ダスト―――――」

 

時間は3度巻き戻る。

 

 

 

 

 




とりあえず今回はここまで。

次回は早く更新できるといいな・・・

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