東方殺女王   作:ダイナマイト

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前々から考えていたこの展開、原作なぞるだけじゃああれですからね。

あ、今回からオリジナル入ります。


第三部 ダイヤモンドは砕けない
序章


 

 

 

「まったく・・・幽々子さまを人使いが荒いんですから・・・」

 

そう言いながら、彼女、魂魄妖夢は冥界の空を飛んでいた。

その手には、今買ってきたと思われる野菜がある。

彼女の主人、西行寺幽々子は彼女に無茶な命令を出すことが多い。

妖夢は幽々子の剣術指南役兼白玉楼の住込みの庭師だ。

それなのにも関わらず、幽々子は妖夢に異変の解決を命じたりと・・・本来の仕事とはかけ離れた命令を出す。

今回もその類だ。

 

「おや・・・あれは・・・」

 

そんな彼女の目に、1人の人間が倒れているのが見えた。

妖夢は何事かと思い、近づく。

 

「影斗・・・さん、でしょうか?」

 

妖夢の顔が引きつる。

以前、苦汁をなめさせられた相手だ、無理もない。

自分の技が通じず、今となってはどこにいるかもわからない祖父の形見ともいえる刀を砕いた相手だ。それに醜態もさらしている。

影斗にいい印象を抱いていないのも仕方のない事だろう。

それでも敬称を付けるのは、しっかりと謝ってもらったし、その後の宴会でも交流を持っていたからだろう。

 

そんな彼女の前には、スーツで身を包んだ金髪の男性がいた。

 

「いや・・・雰囲気は似ていますが、顔が違いますね・・・」

 

影斗も大概日本人らしくない顔をしているが、それに比べると目の前の男はまだ日本人らしい。

色気と言うよりは、気品を感じるとでも言おうか・・・(もちろん影斗が下品というわけではない。)

 

「・・・彼が好んで着ているモノと一緒・・・?それじゃあこの方も外来人でしょうか?」

 

とりあえず、ここで放っていくわけにはいかない。

そう思って、妖夢は男を担いで白玉楼へと急いだ。

 

――――――ヴァレンチノのスーツに身を包み、猫のドクロとでもいうようなモノがデザインされたネクタイを締めた男・・・・・――――――

彼の名を―――――吉良 吉影―――――と言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ン・・・ここ・・・は・・・?」

 

吉良吉影は、白玉楼の一室で目を覚ました。

 

「わたしは・・・死んだのではなかったのか・・・?」

 

吉良にある最後の記憶・・・クソカスどもにやられ、以前殺した鈴本鈴美の罠によって、あの『手』にバラバラにされたはずだ・・・

なのにこうして五体満足で生きている・・・

こうして自分にかかっている布団に触れていることから、死んでいるのではないことに気づいた。

ではなぜ・・・?

考えても答えは出なかった。

 

(だったらキラークイーンは・・・?)

 

自らの『スタンド』は無事なのか・・・?

そう思って、吉良は自らの分身とでもいうべき存在を呼ぼうとする。

 

「あら、起きたみたいね?」

 

声が聞こえた。

とっさに吉良は、キラークイーンを出すのを止める。

 

「・・・わたしは・・・なぜこんなところにいるんだ?」

 

先ほどの感覚では、キラークイーンは無事使えるらしい。

だから吉良は敵かと思い、すぐさま爆破することも考えた、が、殺すつもりならこうして助ける意味がないだろうと思い、その考えを捨てる。

 

「冥界で倒れていたのよ・・・と言っても、外来人のあなたにはわからないでしょうが・・・」

 

くすくすと、口元に扇子を当て、面白そうに笑っている女性、ここ白玉楼の主、幽々子だ。

しかし吉良の目には、そんなものは映っていなかった。

『手』だ・・・、とても美しい形をしている。

すらりと細く、長く伸びた指、丸っこい関節が実にそそる。

 

「・・・?どうしたの?」

 

「・・・あ、ああ何でもないよ・・・

ただ・・・冥界と聞いたものだから、わたしは死んでしまったのかと思ってね。」

 

正直、吉良は何をふざけたことを言っているんだ?この女は と思った。

冥界?そんなものあるものか、と思ったが、自分にも化学じゃあ説明のつかない力があるし、第一、自分の親父が幽霊になっていたではないか?

そう思うと、この女の話にも幾分か説得力が増す。

 

「そのことなら大丈夫よ、貴方はちゃんと生きているわ。」

 

「分かるのかい?」

 

「ええ、だってわたし幽霊ですもの。

それで貴方はこれからどうするつもりなの?」

 

それを聞いて、吉良は考える。

これからどーするのかを・・・

例えば・・・杜王町に帰るとする。

そうした場合、間違いなく『平穏』には暮らせない。

第一自分はもう死んだとされているだろう。

仕事もなければ、住む家もない。クソッたれの仗助に見つかったらまた闘いだ・・・。

だったらこのままこの冥界で暮らしていた方がマシなんじゃあないかと。

 

「”どうする”・・・とは?」

 

「ああ、それから説明しないといけないのね。

ここは”幻想郷”忘れられた者たちの世界よ。」

 

 

 

 

 

その説明を聞いた吉良は考える。

いくらなんでも荒唐無稽過ぎやしないかと。

外の世界とは隔離された場所だって?

幽霊・・・?そこまでなら何とか納得できる。

だが妖怪?能力?そんなモノ信じる方がおかしいだろうッ!

 

だが外の世界には帰れないのもまた事実。

ここで何とか平穏に暮らすしかないのか・・・

 

「外には帰らない・・・行方不明の人物がいきなり帰ってきて、こんなことを話したら、間違いなく脳の異常を疑われるからな。

平穏には暮らせなくなる・・・。」

 

「あら?影斗みたいなことを言うのね?

そう言えば・・・あなたの格好、影斗のそれと全く同じだわ。」

 

「影斗・・・?」

 

吉良は考える。

わたしの格好、つまりはスーツだが、ならば同じ格好をしているというその男は、わたしと同じ『外来人』だろう。

しかしスーツと言うだけなら全く同じと言う言葉は使わないだろう。

ならば趣味のいい奴だ。

そう思った吉良は、影斗について尋ねる。

 

「気になったの?

彼は、1年くらい前に幻想郷に来た人間で・・・

・・・あらゆる傷を治すことが出来るわ。」

 

幽々子が言いよどんだことにはわけがある。

スタンドと言うのは普通は見ることのできないモノだということを知っていたからだ。

目の前にいるこの男も知っているということはないだろう。だったら言わなくてもいいだろうと思ったからだ。

この男、顔はかなり整っていて、気品あふれる顔をしている。

けっこう美形だなぁ・・・。

幽々子はそう思った。

 

「あらゆる傷を治す・・・」

 

一方吉良はその言葉を聞いて考えていた。

傷を治す・・・クソッたれの仗助と同じものだ。腹が立つ。

まあ敵対するつもりなどないから、関わり合いにならぬよう気を付けるだけだ。

そう思って、吉良は思考を打ち切った。

 

「まあいいわ、それでこれからどうするの?

行くところがないなら・・・ここに住む?

もちろん働いてもらうけど・・・」

 

「・・・・・」

 

確かに今の自分は頼る人間もいなければ、何かできるわけではない。

それに、彼女の手はとても美しい。今は爪が伸びる時期じゃあないようだし、これから世話になる人物だ、殺すわけにはいかないが・・・

それでも目の前で見れる分マシだな

吉良はそう思った。

だったら・・・

 

「君さえよければ・・・お願いしてもいいかな?」

 

頷く以外はないのである。

 

「ええ、それじゃあよろしくね。

わたしは西行寺幽々子、貴方は?」

 

「わたしは・・・・・吉良 吉影と言う。

よろしく頼むよ。」

 

吉良はにっこり笑って、そう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 




短めと言ったら短めな今回の話、さて、みなさんいかがだったでしょうか?

大好きなキャラだったからか、筆が進む進む笑

あれ?もう東方じゃなくてよくね?と思った方
逆に考えるんだ、影斗みたいなチートキャラがまだ他にもいて、ラブコメが出来る作品を・・・
作者には生憎、他に思いつきませんでした。
ラノベとかあんま読まないですからね~、ジョジョをノベラライズした作家を少し見たくらいでしょうか?

ご感想お待ちしております。

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