東方殺女王   作:ダイナマイト

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起承転結の承にあたるのかな?

一応4話編成のつもりです。

それではどうぞ。



射命丸文は恋をするその3

 

今日の服、ディアボロの服

 

 

 

「やはり・・・ここもか・・・」

 

と影斗は呟く。

幽香に会うためにひまわり畑に来てみたが、ここも『花粉』で覆われている。

 

「幽香なら・・・無事だと思うが・・・」

 

確かに以前、影斗は幽香に勝ったが、今とあの時では状況が違う。

スタンドが可視化され、触れられる今では幽香に勝つことは難しい。

キラークイーンのパワーは、幽香のそれにわずかに劣る。

スピードも能力で加速しなければ、やはり劣ってしまう。

それこそ時を止め、殺す気でかからなければ負けてしまうだろう。

・・・と言っても、影斗にはそこまでして幽香と戦う理由はないのだが。

 

だから、影斗は幽香の力を信頼していた。

先ほどの妖怪に負けるわけがないと・・・

 

 

 

コンコン・・・と扉をたたくが返事はない。

影斗に若干の焦りが生まれる。

 

「まさか・・・いや・・・そんなはずはッ!」

 

嫌な予感が過ぎり、影斗は乱暴に扉を開ける。

そのまま廊下を駆け、いつも幽香がいる部屋へと向かう。

まだ時間的には早かったが、幸いにも幽香はそこにいた。

しかし見るからに体調は悪そうで、話しかけるのは戸惑われた。

それでも今は一刻を争う時だ・・・

そう思って、影斗は幽香に話しかける。

 

「・・・大丈夫か?」

 

「この顔色みてそんなことが言えるのなら・・・大したものね。」

 

「・・・まあ分かってはいるが。」

 

「それで・・・なんの用よ?」

 

「いや・・・君ならこの『異変』について、何か心当たりがあるのではないかと思ってね。」

 

「『異変』?この花粉のこと?」

 

「ああ、君にも害を及ぼしていて・・・人里の人間が倒れるほどの毒性を持った花粉だ・・・。」

 

「毒性を持った花粉・・・

ねえ、影斗、あなた・・・植物の姿をした妖怪に会わなかった?」

 

影斗がそう問うと、幽香は何か思い至ったようで、わたしにそう問った。

 

「ああ、あいつは確かに植物の様だった。心当たりがあるのか?」

 

「ええ・・・心当たりはあるわ・・・

でも、本当にわたしが考えている通りなら・・・はっきり言って最悪よ。」

 

「・・・ッ!やっぱり君は知っているんだな?」

 

「ええ、さて・・・なんて言ったらいいか・・・」

 

 

 

「とりあえず・・・あいつの名は『死津藻(しづも)』平安時代に退治されたはずの大妖よ・・・」

 

「あいつ自身はそこまで強いわけじゃないの・・・と言っても、わたしや八雲紫に比べると・・・だけどね。」

 

「でもあいつの恐ろしさはそこじゃない、本当に危険なのはあいつの能力よ。」

 

「自身を株分けして、自分の分身を作ったりするのだけど、それはあくまでおまけ・・・

一番恐ろしいのは、他の生物を弱体化させる花粉を出すこと・・・」

 

「それを普通の妖怪が吸えば、動くことは敵わない。人間なんてもってのほかね。」

 

「名の知れた妖怪でも、吸えば体が痺れたり、自身の能力が使いにくくなるほど蝕まれるわ。」

 

「わたしは花妖怪だから体調を崩す程度で済んでるけど・・・、他の奴はどうかしらね?」

 

「もちろんそんな状態ではあいつには敵わないし・・・これが『最悪』って言った理由よ。」

 

「わかるかしら?今、この状況の深刻さが・・・、博麗の巫女だって動けないだろうし、八雲紫も花粉を吸っていたとしたら・・・しばらくは動けないでしょうね。」

 

「ああ、分かるよ・・・今動けるのはわたししかいないということもな・・・。」

 

幽香の説明を聞いて、影斗はそう言った。

 

「行ってくる・・・」

 

影斗は覚悟を決めた。

自身の平穏を守るために、あの胸糞悪い妖怪を退治しに行くのだ。

 

「ええ、行ってらっしゃい。」

 

そんな影斗を、幽香はやさしく微笑みながら見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽香と別れて数十分、影斗は魔法の森へと来ていた。

 

植物と言うからには・・・やはりこういった場所にいるのだろう・・・と考えたからである。

 

「見つけたぞ・・・。」

 

そんな影斗の前に、死津藻が姿を現す。しかし以前と違って

 

「3体か・・・」

 

複数同時に現れた。

 

「そうだ・・・手を抜いて作ったとはいえ、簡単にやられてしもうたからな。」

 

「念には念を入れて・・・だ。」

 

「今回の分身は強いぞ・・・」

 

(チッ・・・今回も本体ではないのか・・・本体の場所を聞こうにも、教えてはくれないだろうしな・・・」

 

「フ~、やれやれだ。倒してもこれか・・・、まったく・・・貴様は植物の妖怪じゃなくて・・・ゴキブリの妖怪かなんかじゃあないのか?」

 

「「「・・・減らず口をッ!そんなことは我を倒してからいうんだなッ!」」」

 

3体の死津藻はこめかみをピクつかせながら、口をそろえてそう言った。

そのまま蔓を伸ばして、影斗をとらえようとする。

 

「マヌケがァ、このわたしに2度同じ手を使うことは・・・ッ!すでに凡策なんだよッ!」

 

バァァ────ン

 

そう言って影斗は時を止めた。

そのままキラークイーンの手刀で、死津藻の蔓を切り裂いていくッ!

そして手前の1体にふれ、爆破させる。

 

「そして時は動き出す・・・」

 

「「なッ!」」

 

分身が突然、蒸発するように消えていき、影斗がまるで瞬間移動したように現れたのを見て残りの2体は驚いた。

 

「まずは1体・・・」

 

「どんなトリックを使ったか知らないが・・・我を1体葬ったことは褒めてやろう・・・。」

 

「だが・・・ッ!それがどーしたッ!」

 

そう言って2体の死津藻は弾幕を放った。

 

「ここではこんなものが流行っているのだよな?」

 

「本来は抜け穴を用意するそうだが・・・もちろんそんなものはないぞ。

そして威力は・・・貴様を殺傷するのには十分ッ!」

 

影斗の眼前は光弾で埋め尽くされるッ!

しかし影斗はちっとも動揺していなかった。

 

「キング・クリムゾン・・・」

 

カチッ

 

影斗はそう呟きながら、キラークイーンのスイッチを押した。

 

瞬間ッ!この世の時間が消し飛ぶッ!

消し飛んだ世界で、放たれた光弾は影斗の体を通過していく。

 

「時は再び刻みはじめるッ!」

 

光弾がすべて通過した後、影斗はそう呟いた。

それが言い終わると同時に、世界は再び色をを取り戻す。

 

「もういいか・・・?」

 

「何ィ!」

 

「何が言いたいんだ・・・貴様ッ!」

 

影斗の呟きに、2人は過敏に反応する。

 

「もういいか・・・と言ったんだ。

本体はどうか知らないが・・・分身程度でわたしがどうにかなると思うなよ・・・

わたしはさっき、貴様らのことをゴキブリと言ったが・・・間違ってはいなかったようだな・・・

わたしにとって貴様らなど・・・新聞紙で殺せる命と言うことだ。」

 

「・・・クソカスが・・・」

 

「しかし貴様の言うとおり、分身程度では歯が立たないようだ・・・ここはいったん引こう。

だが・・・我が本体が・・・、貴様を縊り殺すと予告しよう。」

 

その言葉と同時に、2体の死津藻は地中へと消えていった。

 

「ここじゃないとしたら・・・妖怪の山か?」

 

そう呟いて、影斗は歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来てみたはいいが・・・やはりそう簡単に見つかりはしないか・・・」

 

死津藻の本体を探しながら、影斗は呟く。

 

(もしかしたら・・・ここでもないのか?)

 

そんな考えが過ぎる。

 

(しかしここでもないとすると、ヒントが全くないぞ?)

 

こうしている間にも、死津藻は他の妖怪を襲っているかもしれない。

 

「一刻を争うぞ・・・」

 

影斗に焦りが生まれる。

もしかしたら・・・吉良を追っていた仗助たちもこんな気持ちだったのかな、と頭に過ぎる。

しかしそんなことを考えている場合ではないと思い直し、思考を打ち切った。

 

ザッ

 

不意に・・・影斗の背後からそんな音がした。

 

(ようやく・・・真打の登場か?)

 

そんなことを思いながら、影斗は振り向いた。

 

しかしそこにいたのは、はたてだった。文を背負って・・・。

 

「やっと・・・みつけたわ。」

 

「はたてッ!大丈夫かッ!?」

 

まさか死津藻の奴に・・・

危惧していたことが起こってしまった。

 

「わたしは良いの!早く文をッ!」

 

その声を聞き、文を見る。

その体はボロボロで、服が裂け、身が裂け・・・顔には生気が宿っていない。

 

「クッ!」

 

それに気づいた影斗は、すぐさま文に触れ、その傷を治す。

 

「治ったぞ。」

 

影斗はそういうが、文の顔に生気は戻らない。

それどころか起き上がりもしなかった。

 

「何故・・・そんなはずは・・・

わたしの能力は傷を治せる・・・今までだってそうだった・・・完全に治ったはずだ・・・。

そうだ・・・疲れているんだな?きっと疲れが出て眠っているだけなんだろう?」

 

影斗はそう言うが・・・すでに気づいていた・・・。

文が先ほどから息をしていないことを・・・。

 

「いくら貴方の能力でも・・・失った命が戻るわけではないのね・・・。」

 

「はたて・・・それ以上言うな・・・」

 

「背負っていた時から・・・息をしていないことは気づいていたわ・・・

鼓動がないことも・・・、貴方の能力なら・・・と思ったんだけど・・・やっぱりだめなのね・・・」

 

「はたてッ!」

 

「記者としてのライバルで・・・いけ好かないところもあったけど・・・それでも・・・一緒にいて悪い気はしなかった・・・。」

 

2人は肩を震わせながら言い合う。

 

「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお────────ッ!」

 

影斗の慟哭が・・・森の中を響いて反射する。

ボロボロと涙を流しながら叫ぶ。

 

「これは・・・試練だ・・・」

 

不意に俯き、影斗は落ち着いた風にそう言う。しかし目元は置かく腫れ上がっている。

 

「影斗?」

 

「この『運命』に打ち勝てという試練と・・・わたしは受け取った・・・。」

 

 

 

 

 

ああ・・・文・・・・・

 

 

 

 

 

「キラァァァ────クイィィィ────ンッ!」

 

 

 

 

 

君を救うためなら・・・・・

 

 

 

 

 

「第3の爆弾ッ!」

 

 

 

 

 

わたしは地獄を受け入れよう・・・・・

 

 

 

 

 

「アナザーワンッ!」

 

 

 

 

 

何度だって・・・・・

 

 

 

 

 

「バイツァ・ダストッ!(地獄へ道づれ)」

 

 

 

 

 

君のためなら・・・・・

 

 

 

 

 

カチッ

 

 

 

 




はい、と言うことでオリジナル第2話いかがだったでしょうか?

自分なりに張っていた伏線を、自分なりに解消していってるつもりです。

批判でも応援でもなんでもいいので感想よろしくお願いします。

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