東方殺女王   作:ダイナマイト

15 / 42
幕間はジョジョネタが多めになると思います。


幕間その1
花妖怪との遭遇


博麗神社からほど近いひまわり畑・・・太陽の畑とも言われるそこはとある大妖怪が治めている。

風見 幽香(かざみ ゆうか)・・・それがその大妖怪の名だ。

どの存在よりも、花を愛する彼女は四季のフラワーマスターとも呼ばれるが、見た目は普通の少女そのものだ。

白のブラウス、赤いチェックの上着とスカートで身を包み、襟元には黄色いリボンが特徴的だ。そして何より目を引くのは大きな日傘だろう。

その佇まいと翠色の髪と紅い瞳が相俟ってひどく幻想的である。

 

そんな彼女はいま、とても上機嫌である。

 

(久しぶりに天気もいいし、朝からいいことがありそうね♪)

 

そう思って、ひまわりに水をやりながら畑を回る。・・・とある地点で足を止めた。

ひまわりが一直線上に倒されてる(・・・)のだ。まるでそこ目掛けてヘッドスライディングしたかのように。

その先には一人の男が倒れている、意識はないようだ。そいつの服はところどころが破けていたり、すすけていたりする。

十中八九、あの男が犯人で間違いがないだろう。何故あそこまでボロボロなのかは気になるが、関係のないことだ。わたしの縄張りを汚した罪を、その身に味わってもらおう。

幽香はそう考えて、いまだ目を覚まさないその男のもとへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ム・・・ここは・・・?」

 

花の香りが鼻をくすぐる場所で、わたしは目を覚ました。

レミリアに無理やり酒を飲まされたその後からの記憶がない。夜だったのにすでに日が出ている。場所も博麗神社ではない、周りにはひまわりが見える。

 

(うっ・・・)

 

体を動かそうとしたが出来なかった、全身に痛みが走る。服を見ればところどころ破れていたりする。お気に入りの服だったのだがね・・・。

・・・まあ、すべて直せば問題はあるまい。そう思って体の傷と服を直した。

 

「・・・へぇ、ただの人間かと思ったら 能力持ち だったのね、面白いわ・・・」

 

突然後ろから声が聞こえてきた。そこにいたのは一人の女性だった、外見的にはわたしと同じくらいだろうか?

 

「誰だ・・・って聞きたそうな表情してるから名乗らせてもらうわね・・・

わたしは風見 幽香、このひまわり畑を縄張りとする妖怪よ。ほら、あそこに家が見えるでしょう。」

 

彼女の言うとおり、ここからだと小さいが確かに家が見える。

 

「・・・心遣い感謝する・・・だったらわたしのほうも名乗らせてもらおう、

わたしは蒼々 影斗、何処にでもいるただの人間だよ。

ここは君の縄張りと言ったね?すまない、昨日の夜から記憶がないんだ、だからわたしがここにいる理由はよくわからないが、きみが望むならすぐに出て行こう。」

 

「いや、いいのよ、わたしもあなたに用があるし。」

 

「用?」

 

「ええ、ほらあっちを見て?」

 

そういって幽香はわたしの後ろを指さした、わたしはそちらを見る。そこには無残に倒されたひまわりたちに姿があった。

 

「ここら一帯のひまわりを育てたのはわたしなの、自分の子供のように可愛がっているの・・・」

 

そういう彼女の瞳からは抑えきれない殺気があふれている。今まで感じたそれよりずっと怖いッ!

 

「あれ・・・あなたの仕業よね?こんなことを見せられて頭に来ないヤツはいないわッ!」

 

そういって彼女はその手に握る傘を力任せに振るったッ!

 

ズド────z____ッ!

 

わたしはそれを間一髪で避けるッ!

その一撃は地をも砕くッ!あれを喰らったらわたしなぞ一撃で死んでしまうだろう。

 

「あなたには死んだことを後悔する時間をも・・・与えないッ!」

 

(なんて災難な日だ・・・静かなる人生を送りたい、この蒼々影斗が・・・・・こんなトラブルにあってしまうなんて・・・ッ!)

 

そう思ってわたしは立ち上がる。

 

グラァ

 

しかし、ふら付いてしまった・・・ッ!

 

「頭痛がする・・・は・・・吐き気もだ・・・くっ・・・ぐぅ

な・・・なんてことだ・・・この影斗が・・・・・気分が悪いだと?」

 

このコンディションで彼女と戦わなくてはならないのか・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(キラークイーンッ!)

 

二日酔いのせいで体調の悪い影斗は、キラークイーンを出しながら幽香と対峙した。

 

(確かに体調は悪いが・・・スタンドが見えない彼女とは、こちらのほうに分があるッ!

しかし・・・この体調では短い時間しか時を止めることはできないだろう・・・)

 

影斗はそう考えていた。確かに見えないというのは、大きなアドバンテージとなるだろう。

そしてもちろんッ!止められる時間が短いということはッ!吹き飛ばせる時間も短く、爆破の規模も小さくなってしまうということだ・・・

 

「へぇ・・・体調が悪いの?でもわたしには全然関係ないわね。あなたに対する慈悲の気持ちは全くないわ・・・

カワイソーとは全く思わないわ・・・このままなぶって始末してあげる。」

 

そう言って幽香は再び傘を構え、影斗に向かって飛びかかってきた。

 

「くそッたれめ・・・ッ!キラークイーンッ!」

 

『しばっ』

 

影斗は二日酔いのせいで精神がすり減っている。よって精神力がモロに影響をうけるスタンドは、当然パワーが下がってしまう。

影斗は彼女の花たちを荒らしてしまった罪悪感もあって、直接幽香を殴るのではなく、傘を殴ったッ!

 

ズドンッ

 

キラークイーンの拳がはじかれてしまうッ!本来の力ならば、逆に幽香の傘を弾き返していただろうその右拳はヒビが入り、流血しているッ!

それによって、影斗の拳も血を流すッ!

 

「何かに阻まれたッ・・・!?壁?・・・違うわッ!あの感触は拳ッ!

そこに立ってただけの影斗が怪我をしているッ・・・?何故ッ!

・・・まさか見えない分身のようなものがいるとでも言うのッ!」

 

幽香のその言葉を聞き、影斗は内心驚いた。

 

「ほぉ・・・たった一回の攻防で『スタンド』のことをそこまで理解するとは・・・たいした洞察力だ・・・感心するよ。

・・・それでまだ続けるかい?わたしとしては、これで終わってくれると嬉しいのだがね・・・・・

わたしも君の花畑を荒らしてしまったことは悪いと思っている。それもわたしの力で元通りに直そう、それじゃあだめか?」

 

「・・・だめよ、こんな楽しい戦い・・・そんなんで終わらせたりなんかしないわ。

貴方のこと・・・気に入ったわ・・・わたしのために生きる歓びを与えてあげる。」

 

そう言って幽香は嗜虐的な笑みを浮かべる。

幽香はこの戦いを楽しんでいた。しかしそれよりも影斗の態度を気に入ったッ!

立っているのもやっとの体で、それでも気丈に振る舞う姿には好意を覚える。

 

「どうやって?生憎だが、わたしは平穏に暮らすと心に決めているんだ。」

 

「勝利して支配する!それだけよ・・・」

 

「それじゃあやっぱり無理なことだなッ!君はわたしに敗れるのだから・・・ッ!」

 

「わたしが何の考えもなしに言ったとでも思っているの。」

 

幽香がそういうと周りの花から何かが吹き出された。

 

「これは・・・ッ!」

 

「花粉よ、花粉・・・わたしの『花を操る程度の能力』で花粉を飛ばしたの。

これなら、見えなくてもどこにいるかわかるわよね?」

 

「何を言っている?わたしのこれ(・・・)は、物質に干渉しないようにも出来るのだよ。」

 

そう言って影斗は幽香に近づく。

 

「・・・ッ!」

 

幽香は花粉の撒かれた空間が、ゆらりとうごめくのを見た、そこに拳を打ち込むッ!

 

ドガッ

 

「・・・それでも、貴方が何かに触れようとした瞬間は・・・見えるみたいね・・・」

 

「グッ!」

 

影斗の右手が、曲がってはいけない方向に曲がるッ!

 

「わたしが貴方に勝利することは、無理なことなんじゃあなかったの?

貴方のスタンドとやらは、わたしよりもパワーが弱いみたいじゃない?」

 

(くそッ、体調が万全だったら・・・ッ!

しかし・・・本当に近接戦闘では分が悪いようだ・・・)

 

影斗は歯噛みしていた、何かこの現状を打開する方法はないかと策を練っていた。

 

(あるじゃあないか・・・とっておき(・・・・・)が・・・)

 

キラークイーンにはまだ別の能力があったッ!

最強のスタンドともうたわれる『スタープラチナ』のラッシュをものともしない頑丈さを持つ爆弾がッ!

 

「シアーハートアタックッ!」

 

キラークイーンの左腕からそれが発射されるッ!

 

「こ、これはッ!」

 

幽香は驚いた、影斗がそういった瞬間、何か小さいものが花粉を退けながらこちらに向かってくるのだッ!

 

キュルキュルキュル

 

『コッチヲ見ロォォォ』

 

そいつからは声も聞こえてくる。

 

「何かわからないけど、さっきみたいにぶっ飛ばせば問題ないわねッ!」

 

幽香はそいつに向かって拳をふるうッ!しかしッその拳を受けてなおそいつは幽香に向かってくるッ!

 

「なッ!」

 

最強と自負するその拳が通じないことに、若干自信が砕かれながらも殴り続けるッ!

 

「・・・拳圧によって生じる空気摩擦の熱によって・・・ッ!

すでに、体温以上に熱は上がっているッ!」

 

カチッカチッカチッ

 

「シアーハートアタックに・・・弱点はない・・・・・狙った標的は必ず仕留める・・・・・」

 

カチリッ!

 

バグオォォンッ!

 

「うぐっ!!」

 

幽香はそこで意識を失った。

 

「やれやれだぜ・・・」

 

気絶した幽香を見下ろして、影斗はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしが目を覚ましたのは自身の部屋のベットの上だった。

わたしは負けたのか・・・目を覚ましてまず考えたことはそれだった。

 

(油断さえしてなかったら・・・

いえ、これはただのいい訳ね・・・あっちは体調が悪かった・・・それなのに負けてしまった・・・圧倒的有利だったにもかかわらずッ!

わたしともあろうものが人間に負けてしまうなんて・・・ヤキが回ったものね・・・)

 

そう思って、わたしは自嘲するように笑った。

そこでわたしは机の上に何かがあるのを見つけた・・・それは一枚の紙だった。そこにはこう書かれていた。

 

 

 

まず最初に謝っておこう、すまない

君の花を荒らしてしまったことと、君の家に勝手に入ってしまったことを・・・

悪気はなかったんだ、だから君の怪我と花たちは直しておいた。

これで許してくれるとうれしいんだがね・・・

またここに来るよ、その時に返事は聞かせてほしい。

それと・・・君は本当に花が好きなんだね、君をここに運ぶまでに色々と見させてもらったが実に美しかった。

よかったら他の花も見せてはくれないかな?

 

その言葉の通り、わたしの怪我はまるでなかったかのように完璧に直っていた。

 

(あらあら、ずいぶんと優しいじゃない。)

 

突然喧嘩を売られたと言うのに随分と優しいことだ。

そう思って、わたしは彼のことを考える。

 

(優しくて・・・わたしよりも強く・・・顔もかなり整っていて・・・花も好き・・・)

 

「あら、意外と好物件じゃない・・・?」

 

わたしの呟きは部屋の中で静かに響いていた。

 

 

 

 

 

 




アニメの影響で3部ネタが多いかな・・・?
・・・そこまでか・・・

ご感想お待ちしております

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。