Betrayal Squadron   作:胡金音

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※注意!(始めにお読み下さい)
・この作品には原作のゲーム設定が崩壊しかねないオリジナル設定を大量に含みます。
・また、キャラクター崩壊も含みます。予めご了承下さい。
・後で「この作品を呼んだせいで【艦これ】が楽しめなくなった!」や「こんなの俺の嫁じゃねぇ!」等のクレームについて作者は責任を負いかねます。自己責任でお願いします。
・少しでも皆様の暇つぶしになれば作者は幸せです。

[誤字は発見し次第訂正してます]


本編
一話 トラック泊地第55号大隊


 午前中にも関わらず燦々と降り注ぐ強い日差しを鮮やかな緑色の木々が照り返している。そんな木々に覆われた小高い山の山頂付近に赤茶色の煉瓦で飾られたトラック泊地所属第55号大隊司令部はあった。そして今、海に面した窓から白い海軍制服を着た将校が泊地沖の海面を双眼鏡で眺めていた。身長170cmほどの男でやや痩せ型の体格に短く刈上げた髪を持ち黒淵で楕円形の眼鏡を掛けている、齢は30ほどに見える。彼の執務室であるその部屋は机と椅子、本棚それとソファーが置いてあるだけのシンプルな部屋だった。

 ノックの音がして双眼鏡を下ろした将校が振り向いた。

「赤城です、泊地長からの封書と艦娘宛ての私信をお持ちしました。今よろしいでしょうか?」

将校は返事を返す。

「どうぞ」

失礼します、とドアの向こうから声がして窓から南国特有の蒸した空気が部屋に流れ込む。弓道着姿の赤城が姿を現した。

「こちらです」

「ありがとう」

将校は渡された書類を机に丁寧に置いてから改めて窓の外へ目を向けた。

「提督、何か見えるのですか?」

そう尋ねながら赤城は彼の隣に並んだ。

「ん。赤城さんも観ますか?」

双眼鏡を受け取り将校が見ていた方向に向けると、沖合いで艦娘達が向かい合って砲塔を構えていた。一人が発砲したのを皮切りに激しい砲撃戦が始まり、艦娘に命中した砲弾は炸裂・・・せず、代わりに緑色の染料を撒き散らした。

「模擬戦ですか・・・どおりで寮が静かだった訳です。でも、どうして急に?」

「青葉さん、衣笠さんが52号大隊に移籍してから少し元気が無さそうだったので、気晴らしにでもならないかと思いました」

「・・・!そうだったんですか!?表向きはいつもの彼女なので気付きませんでした・・・。ところで、ペイント弾なんて支給されていましたっけ?」

模擬戦中の艦娘達がペイント弾をばこばこ撃ってどんどん緑に染まっていくのを見て赤城が尋ねた。

「昨日晩から艤装班に作ってもらいました。後で北間(きたま)大佐に怒られましたが」

「そうですか(あれだけ撃ってるということは艤装班の皆さんは徹夜ですかね、可哀想に)。それにしてもみんな必死ですね」

「まあ、賞品が間宮の達磨アイス引換券ですからね」

「あ、ずるい。今から私も参加してきてもいいですか?」

赤城が口を尖らせた。

「秘書の分は別で取ってあるから安心してください」

「じゃあいいです。あと、最初から気になっていたのですが・・・アレって加賀さんですよね?すっごく不機嫌そうですけど・・・」

「加賀さんでしょうね。やはり不機嫌そうですか・・・」

執務室に沈黙が流れた。

 

 

「ぶっ・・・くくくくくっ・・・ぶはっ」

「ちょ、加古!?・・・加賀さん、ごめんなさい。気にしないで下さい」

「ぷっ、加賀さん写真とってもいいですか?」

「青葉まで!?加賀さん、本当に気にしないで!?」

演習を始める直前に加賀の姿を見た加古、古鷹、青葉の感想である。

 

 

時間は少し前に遡る。

「昨晩、司令から聞いていると思うが、今朝は朝礼の時間を使って演習を行う。通商破壊班と輸送船護衛班に分かれて紅白戦の形式を採る。点呼と同時に班も伝えるのでよく聞くように。睦月、如月・・・・・・」

朝で任務前の演習ということもあり司令棟1F、執務室の真下にある講堂に集まった艦娘の士気は低く威勢の無い声が続いた。

「・・・・・・加賀は訓練標的を装備して輸送艦役を頼む。・・・よし、全員居るな?勝った班には来月来航する間宮のアイス券を贈与する。質問がある者は居るか?・・・では艤装をペイント弾及び訓練用魚雷に換装後、作戦海域に出航!」

鳳翔の号令による敬礼に見送られて将校が退室し、艦娘達はおしゃべりを始めた。

「毎回毎回アイス券じゃねぇ。ま、いいけどさー」

「そうだな、ボクもたまには違うのがほしいかな」

「でも間宮さんのアイス、いつも美味しいじゃないですか」

少々不満げな望月と皐月を三日月が宥めた。

「まあ・・・姉貴の言い分も分からなくも無いがな」

「そうよね~たまにはアイスより、もっとあま~い物がほしいわよね~」

「アイスより甘いものってなに~?」

「ふふぅ~ん。それはねぇ~・・・」

「如月姉!文月姉に変なこと吹き込むんじゃない!」

すぐさま怪しい空気を感じ取った長月が如月を制止する。

「そういえばみんなは雪ダルマアイスって知ってますかー?」

睦月は妹たちが否定するのを確認してから続けた。

「なんでも雪ダルマみたいに二段になったアイスで、軍票が幾らあっても引換券がないと注文出来ないそうです。しかも!肝心のアイスも雪ダルマアイス特製の砂糖をたっぷり使っていていつものアイスよりも甘いの!って赤城さんに教えてもらったのです!」

満足気な顔で語り終えた。

「それは・・・食べてみたいな・・・」

「それも・・・おいしそうですね」

「その引換券ってうち等みたいな輸送部隊でも貰えんの?」

「・・・・・・」

「「「・・・・・・」」」

「・・・演習、行くか」

「うん・・・」

一喜一憂した一行が演習に向かうため講堂を出ようとしたところ、さっき説明を終えたばかりの将校が扉から顔を出した。

「まだ居るか?さっき言い忘れていたんが、今日の賞品のアイスはいつもと違うレア物の二段アイス券だ。頑張って勝って来いよ?」

「「「!!!」」」

「・・・菊月、出る!」

「あっ!ボクも行くよっ」

「私だって!!」

それを聞いた菊月が真っ先に駆け出して皐月と三日月が続く。

「では、行って来る」

「さ~やっちゃうわよ~」

「じゃ、本気出しますかぁーっ」

「あたし忘れ物したから取ってくるね~」

「遅れちゃだめですよー?ではでは、副司令。行ってきまーす」

残りの駆逐艦娘たちがぞろぞろと出て行き静かになった講堂に将校が残された。

「俺も仕事するか。それにしても若者は元気だねぇ・・・」

今年で45歳になる副基地司令、北間大佐はつぶやいた。

 

 

「加賀さ~ん、待って~!」

司令部から海へ続く坂道の中程で加賀は名前を呼ばれた。振り返ると文月が駆けて来て、まもなく追い付いた。

「何かしら?あなたの姉妹なら先に駆けて行ったわ」

加賀は屈んで目線を合わせながら伝えた。

「あのね、忘れ物しちゃったから少し待ってて欲しいの・・・」

上目遣いで頼まれ、手まで合わせられた。

「・・・分かった。ここでいいかしら?」

「うん!ありがと~、すぐ戻ってくるね~!」

それから加賀は寮の方へ向かって行った嬉しげな文月の背中を見送った。

(私も少しは懐いて貰えたのかしら・・・)

数分後、文月を待っていた加賀が目にしたのはダンボールで出来た大きな人形を抱えた黒いセーラー服だった。人形が大きすぎて前は見えていそうに無い。ご丁寧に肩の部分には輸送艦・・・と描きたかったのだろう。”輪送艦”と書いてある。

「これね~、次の演習の時に輸送艦役の人に『着て』もらおうと思ったの~。輸送艦役の人は的を持たなきゃいけないし、みんなから狙われるから大変でしょ~?だからね~訓練弾が当たっても痛くないように昨日の夜作ったんだよ~」

無邪気に話す文月を相手に、加賀は固辞する術を持たなかった。

 

 

「ふふっ、それで加賀さんはそんな格好をしていたのね」

今日の演習で審判を勤める鳳翔大尉は軽やかに微笑んだ。

南洋庁最大級を誇るトラック泊地を囲う環礁は周囲200kmを誇り、外洋の波から船舶を守るのに役立つと同時に、泊地内で波に影響されずに演習が出来る環境を作り出している。今、彼女達が集まっているのは55号大隊司令部のある春島東部5km程の地点である。

「加古、そろそろ笑うの止めなよ・・・」

「だってさ、輪送艦って・・・しかもあの加賀さっぐふっ、くくくぅ・・・」

「もうっ!」

現在、加賀は着ぐるみを着て頭の被り物を脇で抱えている様な格好でダンボール装甲を身に纏っている。集合場所で出会って早々に加古に大爆笑された。漢字の間違いを笑われて文月は涙目になっている。

「・・・鳳翔さん、早く演習を始めましょう」

加古を横目で睨みながら加賀が言った。それから加賀が頭の被り物を被って加古がまた吹き出した。

「そうね。さあ皆さん!」

鳳翔が手を叩いて注目を集めた。

「ここから南北にそれぞれ約5kmの地点にブイを浮かべておきました。破壊班は北、護衛班は南のブイ附近に集まってください。開始は今から5分後に私の電文で伝えます。では、班に分かれて移動してください」

鳳翔を残して艦娘達が2つに分かれて行った。

「加古、青葉!行くよっ!」通商破壊班=旗艦:古鷹・僚艦:加古,青葉(全員、上等兵曹)

「貴方達・・・・・・勝つわよ」輸送艦護衛班=旗艦:加賀(中尉)・僚艦:睦月,如月,皐月,文月,長月,菊月,三日月,望月(睦月型駆逐艦全員、二等兵曹)

やがて鳳翔は演習開始を告げるモールス信号を打った。

 

 

沈黙の中、司令棟2Fの執務室で演習を観戦していると不意に将校が窓辺から離れた。

「どうされました?」

「コーヒーでも飲もうかと。赤城さんも飲みますか?」

本棚の一部を占領しているポットとコーヒーカップを取り出しながら将校が答えた。

「言ってくださればご用意しますのに」

「では熱湯を用意して下さい」

赤城は快諾しポットを片手に給湯室に向かった。

その後、入れ違いになるように執務室のドアがノックされた。

「金沢(かねさわ)少将、少しお話があります」

 

 

赤城が執務室に戻ると白いスカートの軍服に身を包んだ女性将校が金沢と話していた。

「あら、赤城さんおはようございます」

「おはようございます、大端(おおばた)中佐。提督、お湯をお持ちしました」

「ご苦労様です。ではカップをもう一つ準備して貰えますか?」

将校、もとい金沢少将は赤城から熱湯の入ったポットを受け取りながら言って、赤城が返答する前に大端が答えた。

「いえ、お構いなく。私は職務がありますので。うちの千歳からの電文の確認お願いしますね。じゃ、赤城さんもがんばってっ」

そういって金沢に敬礼を、赤城にはウィンクして退室した。

「じゃあ、冷めない内に淹れてしまいましょう」

金沢がポットを傾けた時、窓の外・・・模擬戦をしている方向から大きな爆音が聞こえた。直ぐにポットを机に置き、双眼鏡を手に窓から身を乗り出した金沢が言った。何事か、と赤城も窓辺に向かう。沖合いで黒煙が細く昇っていた。

「すみませんがコーヒーはまたの機会に・・・」

双眼鏡を渡され赤城も同じように煙の麓を確認する。二度目の爆音が続いた。

「えっ?・・・ああ・・・入渠用意の連絡をしておきますね・・・・・・」

まだ口から湯気の立つポットを尻目に赤城は執務室を後にした。

 

 

輸送艦護衛班の中心で明らかに訓練弾のそれとは違う黒煙が上がっていた。不意な至近爆発に駆逐艦たちが戸惑っている。

「あら、大変」

鳳翔が艦娘達に演習の一時中止を伝え金沢に連絡を取りに行った。

「やばっ・・・魚雷の換装忘れてた」

加古の呟きに古鷹が絶句して固まっている。加古が撃った魚雷の射線は真っ直ぐに加賀に繋がっていた。足元には焦げたダンボールが水に浮いてる。

「・・・・・・頭にきました」

加賀が淡々とした動作で九九艦爆の矢を放った。放たれた矢は一旦空高くに飛び上がり放物線の頂上で九十九式艦載爆撃機に変化した。艦爆は弧を描きながら徐々にスピードを上げて加古に向かう。

「げっ・・・たっ助けて、古鷹!」

「え?えぇ!?」

「わっ!なんでこっちに来るんですか!?」

加古が古鷹に向かって逃げ青葉も巻き添えを食らう形になり3人が単縦陣で走り出した。

 

 

「・・・・・・以上です。最後に損傷状況を報告します。古鷹は中破、加古と青葉は小破、加賀は軽微です。古鷹は入渠させておきました。なお、全員艤装の損傷は軽微でしたので古鷹も明日には復帰可能かと思われます」

「ご苦労さまです。状況は分かりました。さて、何をしてるんですか?」

執務室には加古、加賀、そして秘書である赤城が集められていた。ポットの口からはもう湯気は立っていない。

「調子に乗りました、すいませんでした」

「・・・申し訳ありません」

組んだ指の上に顎を乗せた金沢に2人は謝った。ちなみに青葉は古鷹の代理で出撃する任務に供えて小休息を取っている。

「二度とこんな事は無いように。加古、駆逐艦に直撃していたら損傷では済みませんよ?それと演習とはいえ旗艦の損傷の方が大きいのは非常に問題です。加賀も旧型機とはいえ実戦と公式の演習以外で飛ばさないように。」

金沢は一息吐いてから続ける。

「では、加古さんは青葉さんに同行、加賀さんは予定通り51大隊との公式演習に向かってください。」

2人は敬礼と掛け声で返答した。

「赤城さんは予定通り加賀さんと演習に行って下さい。では解散っ」

3人を見送り、金沢は隣の指揮室に移動した。

 

 

55号大隊司令部の指揮室は有事の際、内地の司令長官が前線で指揮を取れるように基地の規模に比べてかなり大きく造られている。海に面した大窓から雛壇状に机が設けられ各席にモールス信号を打つ為の機械類、ヘッドホン、ペン立て等が用意されている。最上段にのみ基地内放送用のマイクが設置されていた。金沢はすでに待機していた部下達と挨拶を交わして最上段の席に向かいマイクのスイッチを押した。

「各隊、本日の任務を開始してください!」

トラック泊地の一日が始まった。

 

 

「古鷹、大丈夫ですか?」

「ああ、司令。わざわざすみませんな」

昼休み、古鷹が入渠している部屋に金沢が入ると、先客が居た。

「栗崎(くりさき)大佐、お疲れ様です」

部屋には簡素な造りのベットと長さ2メートル直径1メートル程の無骨なカプセルが置いてある。年相応の皺を日に焼けた顔に刻んだ栗崎はベットの対面の丸椅子に腰掛けていて読んでいた本から顔を上げた。

「今朝はうちの加古が面倒を掛けて申し訳ない」

「終った事です。それより古鷹の容態は?」

金沢は声を小さくして尋ねた。古鷹がベットの上で眠っていた。

「そんな心配そうな顔をせんで下さい。治癒力増強の為に睡眠薬で眠っているだけです。中破とはいえ高速修復液を使わずとも明日には復活出来るそうですよ」

「それは良かった。・・・それにしても、娘達の治癒力には毎度驚かされますね。いくら戦闘用に『作られた』と言っても」

「私も初めて艦娘を中破させて翌日元気な姿を見た時は驚きましたよ。何度も整備員に確認して呆れられたものです」

「日本の技術も向上したものですね。尤も、本来海軍に在るべき巨大な鉄の艦船を造るだけの資源が枯渇して人間を強化せざるを得なくなっただけかもしれませんが。しかし海戦の為に人体に手を加えるとは・・・」

「まあ・・・今や昔と変わらない船は、材料を選ばない輸送艦や客船ばかりですからなぁ」

「こんな事言っても仕方ありませんね。・・・さて、僕は昼食を取って来ます」

「ああ、どうぞごゆっくり」

「あ、あと加古への説教は済ませておきました。帰って来たらどうかいつも通り迎えてあげて下さい」

「了解です」

栗崎に見送られて金沢は部屋を後にした。

 

 

トラック泊地本部が置かれ街が開発されている夏島や夜間発着用の照明が航空機の滑走路に設置されている春島東部と比べ、春島西部に在る司令部からは比較的と言った程度だが星を眺める事ができる。空が紺青に染まる頃日光の熱が残る執務室には明かりが灯っていた。

「あら、皐月さんに睦月さん。どうしたの?」

司令棟の前で赤城は2人の駆逐艦に会った。

「提督から手紙が来たって呼ばれたんだ」

「ブルネイからだからきっと弥生ちゃんと卯月ちゃんからですねー」

「そうなの、よかったわね。一緒に行きましょうか、私も提督に用があるの」

3人は執務室に向かった。

 

 

 「提督!皐月、来たよ!」

「睦月も来ましたー!」

「提督、失礼します」

開けっ放しになっていたドアを叩きながら3人は執務室に入った。

「おや、3人共一緒でしたか」

金沢は読んでいた今朝の封書を裏向きに置いて、引き出しを開けた。

「この中です。すみません、朝渡せたら良かったんですが遅くなってしまいました」

金沢は封筒を渡しながら言った。

「明日の朝礼の時で良いのでまた報告書をお願いします」

「「了解!」」

  駆逐艦の2人が部屋を出るのを見送ってから赤城は尋ねた。

「提督、今日も検閲されなかったんですか?」

「まあ、後で書いてあった事を簡単に報告して貰ってますから上への報告は大丈夫ですよ」

「そんな事では何かあった時に即座に対応できませんよ?」

「駆逐艦達の手紙を検閲しないからってそんな大変なことにはなりませんよ。それとも・・・赤城さん達はクーデターでも起こす算段を立てているんですか?」

冗談っぽく金沢が言った。

「まさか。もう、後で本部の方に怒られても知りませんよ?」

金沢と赤城は笑いあった。

「それで赤城さんは何か用があったのでは?」

「あ、はい。帰還した青葉さんと加古さんの入渠を開始しました。明日の朝には復帰できるとの事です」

「分かりました。でも、その位の連絡なら基地内電話で済ませてもらっても構いませんよ。わざわざここまで来てくれなくても」

「いえ、気にしないで下さい。それより、今から2人でコーヒーでも飲みませんか?ほら、今朝飲み損ねた事ですし」

「あー、すみません。夕飯もまだなので、また次の機会にしましょう。代わりと言っては何ですが・・・」

「・・・はいっ!」

「少し早いですけど今日はもう休んで貰って良いですよ」

 

 

赤城が執務室を出た後、金沢は今朝届いた泊地長からの封書を再び開いた。金沢の眉間に皺が寄る。

「これは・・・どうしたものか・・・」

 

【・・・ベク、南太平洋護衛艦隊ノ更新ヲ行フ二当タリ、以下ノ人型艦船ノ破棄ヲ決定ス。・・・】

 

 執務室の明かりが消えた時、空の色は紺青から漆黒の闇へと変わっていた。

 

Continue>>>【二話 間宮来航】

 




拙い作品を最後まで読んでいただきありがとうございました。
続きます。投稿ペースは遅いとは思いますが、全10話ほどに成ると思います。
もし、よろしければ最後までお付き合い頂けると幸いです。

2014/3/15                           胡金音


【追記】
文月ちゃんが持って来たアレは、あずまき○ひこ先生の作品「よつば○!」に登場する「ダン○ー」を想像して頂けると分かりやすいかと思います。

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