異種族ハーレムを作るぞ?   作:Amber bird

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第23話

 無事に我が家だけど戻ってこられた、元はデルフィナさんの洞窟だけど。

 あのオッサンに追跡されてないか注意しながらの移動は精神的に辛かった。

 

 追跡を見破ったら、それはそれで問題があるわけで……いきなり襲ってくるかもしれないからね。

 

 相手に気付かれずに姿を消すのが理想だが、どうやら追跡はされてなかった。

 まぁデルフィナさんの知名度を考えれば、追跡しなくても住んでる所が分かるのかもしれない。

 実際に盗賊は襲ってきたからな。悩み事か尽きないとは、これ如何に?これが守る者が居る責任と重圧?

 だが他に特に何事も無く洞窟に辿り着けたのは良かった。

 

 旅の疲れを癒すために三人で露天風呂に入る。

 

 今まではアリスは種族的特性で汚れなかったために露天風呂を使わなかったのだが、公衆浴場で何かを感じたのか一緒に入るようになったのは単純に嬉しいです、ハイ。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「デルフィナ、お風呂って気持ち良いね!レイスだけど命の洗濯?お兄ちゃん、何で隅に居るの?コッチにおいでよ」

 

 バシャバシャとお湯をはねさせて遊ぶのはマナー違反だよ、アリス。

 

「そうですわ、主様。もう私たちは互いの総てを見知った仲です。何の遠慮も要らないのですよ?」

 

 胸を布で覆い隠してはいるが、張り付いて胸独特の形状が丸分かりだ!

 そして湯の中の尻尾で、僕を軽く突いたり撫でたりと尻尾プレイを仕掛けてきます。

 これがアナコンダとかだとショック死モノだが、彼女の尻尾だと不思議と楽しい。尻尾の先端を摘むと嬉しそうに微笑む。

 

 尻尾プレイ万歳!

 

 月明かりの中、露天風呂の縁石に座るデルフィナさんとアリス。

 お風呂限定だが、僕の前では完全に裸になることに抵抗が無くなったみたいだ。

 特にアリスは常に全裸だが、デルフィナさんは自分の手とか布とか、時にはアリスを正面に抱いて胸を隠してくる。

 

 たまに無防備なポロリがご馳走なのです!

 

 確かに恥じらいも必要だが、必要以上に警戒されては彼氏としては良くない!

 僅かな月明かりでも分かる、その白い肌は輝くばかりに魅力的だ。だが敢えて言わせてもらえば、それ(露出癖)は誤解だ!

 総てを見られたのは僕だけで、君たちの総てを僕は見ていない。しかも彼女たちは僕に露出癖があるが如く対応する。

 

 まるで「えっへっへ、お嬢ちゃん。見てくれよ、ほらぁ!」みたいなベタな露出癖が……

 

 僕は見たい派で見せたい派じゃないと、ここで明言しておきますよ。

 

「ふぅ、長旅でお風呂に入れないのは辛いですわ」

 

 肩まで湯に浸かった彼女が自分の肩を揉みながら、しみじみと言う。

 

「三日間だけじゃん!そのうちの一日は川で水浴びしたでしょ」

 

 アリスは湯の上に浮いている。湯あたりしたのかいつもは雪のように白い肌が薄ら桜色ですし、大事なお尻が丸見えですよ!

 彼女たちの会話を聞きつつチラ見しながら肩までお湯に浸かり筋肉を解していく。

 

 確かに現代人の感覚で風呂無し三日間はキツいよな……

 

「主様、明日から特訓しますわ」

 

 いきなり話を振られた。確かに強くなるために特訓と言うかレベルアップは必要だ。

 

「何故に?いや強くなるのは賛成だよ。でも、いきなり過ぎないかな?」

 

「そうだよ、デルフィナ。お兄ちゃんの育成は必要だけど、急に言いだすからビックリしたよ」

 

 アリスも同じ意見だったみたいだ。いつも思慮深く理路整然とした物言いの彼女にしては、珍しく突然な特訓宣言だったから……

 

「アリスも特訓よ。主様もそうですが、獲物を捌くことを覚えましょう。

お金を稼ぐにはモンスターを解体し素材を買い取ってもらわないと駄目なんです。それにアリス?」

 

 デルフィナさんが先生モードになっているので呼ばれたアリスがピクリと反応する。器用に湯の上に浮かび正座する。

 

「なっ、何かな?」

 

「魚の内臓も出さずに焼くのは駄目よ。川魚でも体内に毒を持っているのも居るし、今の時期は魚は虫も食べるでしょ。

魚には効かなくても人間には危険な毒虫も居るの!主様?」

 

「はっ、はい!何でしょうか、デルフィナさん?」

 

 僕も湯の中で正座する。

 

「動物を捌けないのは仕方ないですが、今後はちゃんと素材と食材を切り分けますよ。

幾らなんでも太股の肉しか食べないのは効率が悪いです。分かりますね?」

 

 確かに内臓とか触りたくないから、いつも手足の肉しか食べずに残りは捨てちゃってたな。

 太股の肉って漫画の骨付き肉みたいだったし、毛皮も何回か剥いだが内臓はそのままにしてたからな。

 基本的に臓物にはノータッチだったが、それでは商品価値のある毛皮は剥げないんだ。

 移動中は荷物になるから保存食に加工しなかったけど、今後は必要な技能だよな。

 

「「はい、デルフィナ先生!」」

 

「よろしい。明日は毛皮と保存食の確保のために、また主様の特訓を兼ねて頑張りましょう」

 

 さて、そろそろ上がらないと逆上せてしまうな。混浴はね、女性達が浴槽から出るときを見るのも楽しい……

 いや、アリスは飛んでいくしデルフィナさんもシュルシュルと尾っぽをくねらせて出ていった。

 

「まぁ跨いだりしないよね、残念……」

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「一概に戦闘技能を磨くと言っても相手により変わります。

獣タイプのモンスターは基本的に武器のリーチが狭いのです。牙や爪、強靱な肉体を武器に接近戦を挑みますから。

勿論、ブレスや尻尾などで中遠距離攻撃をする相手も居ます。

人間タイプのモンスターは武器や魔法を使います。基本的に前者は本能で動き後者は思考してから行動します。

ここまでは良いでしょうか?」

 

 洞窟から少し離れた平原でデルフィナさんから戦いについての注意点を教わる。

 人と獣の差についてだが、僕はスライムと犬擬き、カエル擬きと盗賊としか戦闘経験は無い。

 確かにレベル差のせいか獣タイプのモンスターと戦ったときは半分作業みたいだった。

 

 だが盗賊相手には無い知恵を絞ったな……

 

「はい、デルフィナ先生!分かりました」

 

 デルフィナさんに眼鏡と白衣を着せたい!この世界では無いかもしれないが、脇差があるのだから元の世界の道具とかもあると思いたい。

 

「はい、良い返事ですよ。

今日は午前中は何体かのモンスターを狩って解体作業を覚えてもらいます。昼食後は私たちと模擬戦をしましょう。

見たところ、主様は肉体のスペックに技能が追い付いてないと思いますから……」

 

 流石はデルフィナさん!

 

 僕のアンバランスさを正確に見抜いている。聞けば彼女はラミア族の中でも有名な戦士らしい。

 

「分かった、頑張るよ!」

 

 意気込みは最初だけだったんだな……コレがさ。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 元の世界だと近い動物は、多分アリクイだ。長い顔に尻尾、フサフサな体毛。手足も長く先端の爪は鋭い。

 動きは機敏ではないが、手足のリーチを生かした攻撃は決定打を体に打ち込むことが難しい。

 ロングソードを構えて相手の攻撃をいなし、側面に回り込んで柔らかい脇腹を斬り付ける。

 突き刺さないのは最悪ロングソードが抜けない場合に、無防備で反撃を受けてしまうから。

 一度切り付ければ相手の動きが徐々に弱くなるので何度か繰り返して、止めは頭を切り落とすかカチ割る。

 

 ロングソードとは本来は圧し切る武器だ。切れ味を抑えて頑丈さと重さを増しているから。

 

 二体のアリクイ擬きを倒し木の下に移動したら、最初にカマドを作り湯を沸かした。

 そして次に穴を掘った。直径1m、深さも1m。掘るだけで一時間は掛かりましたよ!

 

「先ずは血抜きをします。後ろ足を縛って木に吊しますよ」

 

 最初に倒したアリクイ擬きをデルフィナさんと二人掛かりで引っ張り上げる。体重は50㎏はあるだろう。

 

「血抜きは太い血管を切り裂きます。首が一般的ですが、脇の下や太股にも太い血管はあります。

本来は倒して直ぐに血抜きをしますが、今回は手順を学ぶためですから。

はい、どうぞ」

 

 ハイって笑顔でナイフを渡されたぞ。

 

 因みにナイフは煮沸消毒済みです、熱湯に10分は浸けてました。

 汎用性のあるナイフは色々と使ってるから、確かに消毒しないと駄目だ。覚悟を決めて喉の辺りと脇の下を切り裂く。

 ダバダバと流れて穴に滴り落ちる光景を見て吐き気が喉元まで来るが、何とか飲み込んで耐える。

 

「良くできました。

次は速やかに獲物の内臓を抜きます。最初は私が実践しますから、よく見ていてくださいね。

最初に肛門の周りをグルリと切り取り口を縛ります。これは何かの拍子に傷を付けて便が漏れだして肉を汚さないためです」

 

 そう言うと肛門周りを丸く切り裂き直腸を現すと紐で口を結んだ。

 肛門括約筋をゾリゾリと切り裂く姿を見て、お尻がキュンって締まったのは僕だけの秘密です。

 

「次に腹をナイフで縦に切り裂きますわ。このときに膀胱や胆嚢を破かないように注意が必要です」

 

 小刻みにナイフを動かし縦一文字に腹を裂く。慣れだろうが、手際が良すぎます。

 腹を裂いていくと内臓が自重で下がってくるのが分かる。

 

「首元まで割いたら臓物が下がってるのが分かりますね?ここで横隔膜を切ります」

 

 スパッとナイフを煌めかせると綺麗に横隔膜が切れた。そして臓物がドバドバと掘った穴に落ちる。

 穴が大きめが良いのは、獲物の内臓が意外に多いからだった。

 

「内臓で食べられる所もありますが、加工も保存も難しいから今回は埋めます。

モンスターにはよく分からない器官もあるのです。毒袋とかですね……

心臓やレバーは食べられますよ。特に心臓は輪切りにして軽く焼くと美味しいです」

 

 レバ刺しとかモツ煮とか確かに美味しいけど、臭味を消す調味料が無いと辛いと思う。塩胡椒だけじゃ無理だな。

 

「内臓を取り出したら次は皮を剥ぎます。

出来により買い取り値段が変わりますから、慎重に行いますわ。

先ずは腹を縦に裂いているので、そこから手足の中心を手首・足首に向かって切ります。手首・足首はグルリと切っておくと剥ぎやすいです。

因みに皮下に脂がのっているので、肉の方に付けるようにナイフを使い少しずつ削いでいくと良いですよ。脂の乗った肉は焼くと本当に美味しいですから」

 

 見惚れる笑顔なのですが、血だらけのナイフを片手にじゃ笑えません。本気で怖いです、ハイ。

 

「最後に皮を剥いだ肉の切り分け作業です。

作業台で切り分ければ簡単なのですが、普通は雑菌が怖いので吊したまま切り分けます。

手足の肉は関節の周辺にナイフを入れて反対側に折れば簡単に取れます」

 

 膝の部分を反対側に曲げれば、パキンと軽い音がして取れました。

 

 これは簡単だ!

 

 前は力任せに捻切ったので筋肉の繊維がブチブチと千切れて見た目も悪かった。けどコレなら普通に形の良い骨付き肉だ!

 

「モモ肉は大腿骨に添ってナイフを入れれば切り離せますわ」

 

 スッスッスッとナイフを滑らせれば簡単に切り分けられていく……肩ロース・モモ肉・肩肉と部位毎に小分けに切り分けて終了。

 デルフィナさんの手際は本当に凄い。此処まで僅か15分くらいだよ。

 これが牛や豚なら舌とかも食べるのだけど、流石に獣タイプのモンスターでも無理かな……食中毒とか未知の細菌とか無いのか心配だ。

 

 O157やO111、またはカンピロバクターや黄色ブドウ球菌とか考えだしたらキリがない。

 

 だが何と魔法には解毒や麻痺を治せる物があり、アリスは解毒魔法のキュアポイズンが使える。つまり食あたりは大丈夫そうだ。

 

「さて、主様。次は主様の番ですわ。教えた通りに実際にやってみてください。アリスもですよ」

 

「はーい、アリス頑張るよ、エイッ!」

 

 デルフィナさんが吊ってくれた二匹目のアリクイ擬きの喉をスパッと切り裂いた。返り血が飛び散り、アリスの頬を汚す。

 

「さぁ、お兄ちゃんも脇の下をスパッと切り裂いてよ!」

 

 頬に返り血を付けて笑ってはいけません!

 

「う、うん。そうだね、頑張るよ……」

 

 女性は血に強いって本当なんだな。


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