聖櫻学園記   作:ササキ=サン

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お久しぶり、テスト終わったお。

更新更新。


第二十一話 助けてマイヒーロー、はいつも助けると思っていたのか?

「くぁ、疲れた」

 

帰宅早々、ベットに飛び込む俺。客観的にも主観的にも疲れていることがよく分かる。

 

ゲロをぷきゃーした後、俺は気合で表情筋を取り繕い、特に何事もなく現状に至る。あばばばば、MPがもはや一桁台。こんな気力じゃ徹夜もできぬ。MPはマジックポイントではなくメンタルポイント、がっつりSAN値直葬中。

 

「ふぁー、あー」

 

口から変な声が漏れるでござる。駄目、声が漏れちゃう.......。おぼろろろろろろ。想像するとガチでキモい。擦り切れた精神にこれ以上変な毒物は良くないと思うのでちょっと反省。俺の思考、少し落ち着け。

 

「............( ・ω・)」

 

精神安定に寄与するため、変顔をしてみるもどうやら逆効果っぽい。やばい、ちょっと俺を客観視すると明らかにキチってる。

 

......まずいな、俺はストレスで少しおかしくなっているようだ。まったく、お菓子食い過ぎたせいか?冗談だぜ。とりあえず溜まったストレスを発散するための場所を少し考える。

 

「あっ」

 

そういえば現在、殴ると勝手に消えて、ぶっ飛ばしても誰にも咎められない変態的な謎の素敵生物ことサンドバッグが街中を大量に跋扈しているじゃないですか。

 

きた、これは勝つる。ふははは、我が世の春が来たっ!

 

思い立ったら即行動、さっそく俺は外に飛び出す。もちろん窓から。

 

「やっほー、綻........君?」

 

俺が飛び出した後、どうやら櫻井が部屋に来たようだ。なんだ、次はお前のターンだったのか?イズディス櫻井ルート?とりあえずまあ、部屋から声が聞こえた。

 

「あっ、やべ」

 

大きく開けられた窓に、風にたなびくカーテン、不在の部屋主。これって最悪の出来事が起きたのかと勘違いさせるには十分なんじゃね?

 

.........我知らぬ存ぜぬ。世は諸行無常春の夢の如し。つまり、人生短いから細かいこと気にしたってしょうがないよね!っていうことだろ?だからオラ知らねーぞ。

 

「ほころ、び、くん?.........綻くんっ!!?」

 

お、オラ知らねーぞ(震え)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

油断していた。私は挫いた足の痛みを感じながら、考えました。

 

ここ2年近く逃げおおせていた自信があったからでしょう。どこか大丈夫だという慢心の気持ちを持っていました。

 

きっかけは図書室に忘れた本でした。どうしてもその続きが気になっていて、つい不審者が出ている時期なのにそれを取りに行くために夜の一人歩きを行ってしまいました。

 

「へっへっへっ、お嬢ちゃん。観念して俺と夜のゴールデンウィークデートと洒落込もうや」

 

結果は、この様(ざま)です。あまりにも不甲斐ない。

 

いつもはこうなる前に誰か男子生徒に助けられていました。そういった事実が無意識に私に安心感を与えていたのでしょう。だから、油断した。

 

自分がこれからどうなるのか。未知の恐怖に今にも涙が出そうになりました。

 

ガシッ、腕を不審者に掴まれ、口元からヒッという悲鳴が漏れます。

 

「さぁ、レッツ「おしこれで超レア100体目」あべしっ!」

 

突如、頬を撫でた一陣の風。気づけば不審者は消えていて、そこにはついこの間見知った人が立っていました。

 

「あなたは.....」

 

「どうもこんばんワニ。いつもニコニコあなたに這い寄るストーカーです」

 

「..........」

 

..........。この人は、なんでこんなに分かり易い嘘をつくのでしょうか。私は不思議に思いました。

 

普通、嘘は自分に不都合なものを覆い隠す為につくものです。じゃあ、この人はなんで私に嫌悪感を与えるような嘘をわざとつくのでしょうか?私に嫌われることがこの人にとって良いことなんでしょうか。

 

ここで少し考えて思い立ちました。ああそうか、この人は私が嫌いで、でも困った人がいると見捨てられない心優しい人だから、その二つの両立をするために私にあえて嫌われるような態度をとっているのだと。

 

そう考えれば、この人がどんな人なりなのか少し、理解できた気がしました。

 

「ここ笑う所だお.......(小声)」

 

「え?」

 

「ああいや、なんでもないですよ。えーっと、.........村内先輩。どうやら足を怪我しているようですね」

 

村上です、綻さん。私が覚えてるのに、綻さんは覚えてないんですね。そもそも本当のストーカーなら、名前を間違えることなんてないと思うのですが。

 

「はい、逃げている途中に足を挫いてしまって」

 

すると、綻さんは満面の笑みを見せて言いました。

 

「いやーはっはっはっ。辛そうですね、辛いですよね?頑張って帰ってくださいね。でわ」

 

凄い勢いで走り去る綻さん。.........あの人って、実は凄い下衆なのではないでしょうか。

 

温厚、と言われる私の性格でも、少し胸の中に何か抑え難い怒りを感じました。

 

「.........?.........痛くない?」

 

ふと、気づくと、いつの間にか先ほどまで足に感じていた痛みはなくなっていました。もしかしてアドレナリンの作用でしょうか?

 

その後、不思議な気持ちで私は寮に帰りましたが、不審者に会うことは一度もありませんでした。

 

 




村上先輩hshs。

やっぱ一番はふみちゃんだろ

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