聖櫻学園記   作:ササキ=サン

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ふう、特に書くことがない。

あっ、ついにユニークが5000超えました。ありがとうございます。


第十二話 新聞部 上

俺と櫻井は中庭での一件が終わり、現在教室に向けて移動中であった。

 

ざわざわ、がやがや

 

「あれ?なんだか賑やかだね、何かあったのかな?」

 

「はっはっはっ、なんだか嫌な予感がするから俺はさっさと帰ることにするでござる。」

 

「まあまあ、ちょっと見て行こうよ!」

 

「いや、俺は遠慮したい.......って強制連行かい。」

 

櫻井に手を引っ張られ、やけにがやがやしている人の群れの中に連れていかれる。どうやらこの人だかりができているのは壁に貼られている新聞らしきものが原因らしく、視力が月面にいるミジンコを目視できるほど良い俺は櫻井より先に新聞の見出しを読んだ。

 

「なになに、見出し記事は聖櫻学園に誘拐犯が出没!?らしいな。」

 

「え、この距離から読めるの!?」

 

「馬鹿にすんでねぇ、これくれぇさ楽勝だぁ。」

 

「急に訛った!?」

 

いやいや、これは訛るよ。ねえ、ほら、察しろ。

 

誘拐犯、ねえ。いや、まさか客観的に見たらそれみたいだな、ははははは!なんて思ってたけど、本当に誘拐犯扱いされるとはな。

 

櫻井が人ごみをするりと掻き分けて新聞の内容を見に行く。いや、ここで内容を知って、そんなことする人だったのね、最低ー!べしん!ってなるんなら、うひょー!もっとぶってぇぇええ!!ってなるんだが、あの櫻井だからな。面倒なことになりそうだ。最近冗談って言わなくてもみんなが察してくれるような気がする。

 

新聞のでっかい見出しの真下にある写真。それにはどこか見覚えのある緑色の髪の少女を、肩に担いだ瞳にハイライトがない超男前な美青年が映っていた。はーい、拙者でござんす。だいぶ嘘つきました、すみません。

 

周りの一般ピーポーが俺を見てさらにざわざわしている。まあ、当事者がその場にいるんだからな。そりゃ注目もするか。

 

俺はあえて腕を組み、悪のラスボスのように泰然自若として大物オーラを出す。分かる人には分かる、こいつ........できる........ってやつだ。多分武術とか習ってる奴は今まで感じたことのないプレッシャーを感じているだろう。ただの一般ピーポーもなんだかゾクゾクするなー程度には威圧を感じているはずだ。

 

「綻君ー!これどういうこと!?」

 

新聞を読み終えてきたのか櫻井が俺に詰め寄る。いやまあ、予想はできた。

 

「ああ、とあるクライアントからの依頼でね.......。」

 

「綻君?」

 

「あっ、はいすみません冗談です。」

 

櫻井の指が肩にかなり食い込んでる。少しじゃない、かなりだ。いやちょっと待て櫻井、目の光彩がないぞ?しかもこれはあれだ、若干脳のリミッターが外れかかってるやつだ。滅茶苦茶痛え。

 

「あれだ、落ちてたから保健室まで運んだんだよ。」

 

「いや、女の子を物みたいに扱うって酷くない!?」

 

「おいおい、こっちの身にもなってみろ。なんとなくで歩いてたら人が倒れてんだぞ、まじビビった。」

 

「ああ.......真衣先輩なら有り得る.......。」

 

後輩にも病弱で知られてる先輩なのか。あの人も大変だな。

 

というか周りも俺と櫻井の会話に聞き耳を立てていたのか、なんだかああ.......と言ったような納得した表情を浮かべている。これは悲しい。あの人はもしかしてしょっちゅう廊下で力尽きているのだろうか?いや、知っているなら付き添いの一人や二人は付けよ思うのは俺だけだろうか。

 

「で、綻君。」

 

「なんだい。」

 

「どうしてあんな雑な運び方したの?」

 

普通の人はなんだ、お姫様抱っことかして運ぶと思う。だから断る。俗っぽいのなんて真っ平御免、俺は俺の道を行く!(キリッ

 

なんて言ったら殴られそうな気がするので、ここは誤魔化そう。

 

「櫻井、知ってるか?」

 

「?何を?」

 

「この年頃は、人間どれだけ痩せようが最低でも40キロはあるんだよ。分かるだろ?察しろ。つまり、

 

 

 

 

 

 

 

重いからだ。」

 

周りの男子女子共にうわー.......ちょっ、ねぇーわ.......みたいな顔をしている。いやー、まことに同感です。

 

「うん、で、本当は?」

 

ゲゲ、櫻井さんエスパー!?

 

「相手が美少女過ぎて、お姫様抱っこだと顔がよく見えて恥ずかしかったから。」

 

本当は恥ずかしかったんです、てへぺろ。

 

ギリギリギリギリギリギリ

 

櫻井さん櫻井さん櫻井さん食い込んでる食い込んでる食い込んでる!待て、こいつ本当に人間か!?

 

「で、本当は?」

 

櫻井様がにっこりとお笑いになさった。しかし、目が全然笑ってない。

 

「普通の人ならここでお姫様抱っこをすると思ったので、普通が嫌いなのであえて担ぎました........。」

 

自白させられました.........。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新聞部の部室。

 

「すいません!」

 

ガラリと、櫻井は扉を開けて新聞部の部室に勇良く突入する。

 

「ありゃ、明音ちゃん?どうしたの?」

 

部室に入った櫻井に、櫻井の知り合いらしきメガネの人物が応対する。誰かよく知らないけどゴシップ記事とか好きそうな顔をしているな、と思った。

 

「おお!明音ちゃんじゃない!明音ちゃんがここに来るなんて珍しいね!ちょっと写真取らせてよぉ〜!」

 

「ちょ、エレナ先輩どこを触ってるんですか!?」

 

例の写真を撮った金髪の女子もいるようだ。ふむ、あれ、先輩だったんだな。なんだか敬するに値しない人な気がしてきた。

 

「エレナさん、悪ふざけはよしてください。明音さんは用事があってきたようなんですよ?」

 

「ちぇ〜、しょうがないな〜。」

 

鶴の一声。まさしくそう形容するに相応しい光景だな。それを放ったのは一番風格がありそうな黒髪の美少女......んー、美女と言った方がいいか?いや、これは人によるな。俺はババアと言っとこう。口に出したら殺されるな、だが、後悔はしない。女は小学校を卒業したらみんなババアだ。冗談でごわす。

 

「さて、今日はどんな用があってきたんですか?明音さん。」

 

「あっ、はい!つい先ほど掲載されてた新聞に間違いがあったので来ました!」

 

櫻井がなんだかいつもよりキリッとした表情で言葉を言い放つ。ふむふむ、なんだか櫻井がカッコいいな、まじイケメソだ。

 

「さっきの新聞.......ああ!あの誘拐犯男の奴ね!女の子をあんな風に持ち運ぶなんて許せないわ!」

 

いやー、面目ないです。

 

「あ.......確かにあれは駄目だと思いますけど、綻君は誘拐なんてしていません!事実でないことを書くなんて、絶対に駄目だと思います!」

 

「あら、明音さん。私達新聞部は、新聞に彼が誘拐犯だなんて決めつけるようなことは一切書いてないわよ?」

 

「えっ?」

 

「ただ、誘拐犯みたいに見える人を見つけました、あんな風に女の子を持ち運ぶなんてあまり良くないことだと思います。端的に言えば、私達が書いたのはそういう記事よ?」

 

ああー、櫻井、お前中途半端にしか記事を読んでなかったんだな。俺もあの記事読んだけど、いざという時はしっかり言い逃れできるような嫌らしい記事だと思った。いや、ほんとどこかの政治家みたいな記事だったぞ。とまあ、そこで威厳ある人........多分部長さんだな、部長さんはニヤリと笑う。そこで俺は察した、あっ、この人ドSだと。金髪の女子はその姿を見てプルプル震えてる。何かトラウマでもあるんだろうか。

 

「で、でも、あんな写真があったら誤解しちゃう人も多いんじゃ........。」.

 

「いえ、明音さん、あの写真は合成でもなんでもない写真です。厳然たる事実を切り抜いた写真です。あの写真を見てどう思うかなんて、人それぞれであって私達新聞部が関与する場所ではありません。」

 

「えっ.......でも、やっぱりそれじゃ綻君が.......ってあれ、綻君?」

 

やっと気づいたか、櫻井。

 

「綻君、どこ行ったの.......?」

 

櫻井の様子に先輩方は首を傾げる。まあ、そろそろ行こうか。

 

思い描くのは目一杯底知れず、得体の知れない自分。さあ、イッツショウタイムだ。

 

「いえいえ、新聞部部長さん。貴方の論理には致命的な穴がありますよ?」

 

ばっ、と。室内の全員が唐突に聞こえた声の方向に振り返る。

 

俺は薄く笑う。どっかのゲームのラスボスみたいに威圧感を振りまきながら、窓枠に腰かけながら足を組んで腕も組む。

 

「ここ、四階ですよ.........?」

 

「ええ、ちょびっと壁をひとっ走りして登ってきました。」

 

冗談ですけどね。呟いて、クルリと一回転してスタッと着地する。多分今の俺は無駄にキマっている。

 

「楽しそうな話をしていますね、ちょっと俺も混ぜてくださいよ。」

 

あれ、なんかギャグがないぞ。

 

後編に続く。(ちびまる子ちゃん風)




そういえば最近櫻井さんの様子がおかしい。大丈夫、まだ病んでない。病んでるのは邪神だけ.......なはず。

ヤンデレタグ、付けた方いいっすかね?

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