___ 皇歴 2009年
「はっ!?」
神聖ブリタニア帝国の首都『ペンドラゴン』の南、皇帝が住まう皇居の東南東にある後宮の1つ、第5皇妃マリアンヌが主のアリエス宮。
その長子が住まう部屋。豪華なレースに囲まれた天蓋付きのベットの中、つい先ほどまで穏やかな寝顔を見せていたルルーシュの寝息が不意に乱れたかと思ったら、その目をカッと見開かせて、ルルーシュは布団を勢い良くはね除けながら上半身を飛び起こさせた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……。」
胸の内側から轟々と燃え上がってくる灼熱の痛み。
ルルーシュは歯を食いしばり、胸を両手で掻きむしり抱くが、胸の熱さは増すばかり。
仰け反る顎先と激しく上下を繰り返す肩。珠の様な汗が額に次々と噴き出ては零れ落ち、ポタリ、ポタリと零れ落ちてゆき、白いシルクのパジャマに幾つもの染みを作ってゆく。
明らかに尋常でない様子。とは言え、体力の無さを母や妹に指摘され、呆れられる事は常々あるが、ルルーシュは突発的に体調不良となる様な持病は持っていない。
しかも、今の季節は春。夜になれば、まだまだ肌寒いくらいである上、真夏の寝苦しい熱帯夜でも、ここまで汗はかかない。その姿はバケツの水を頭からかぶったかの如し。
「ぐぅっ!?」
ルルーシュの絶え間ない息遣いだけが聞こえる中、連続したブチブチブチッという音が響く。
とうとう火照る身体の熱に耐えかねたらしい。ルルーシュが胸を掻き抱いていた左右の手を勢い良く開き、パジャマのボタンを引きちぎった音である。
一拍の間を置き、ルルーシュは大きく息を吐きながら脱力。ベットへ力無く倒れ戻り、ベットのスプリングがルルーシュの体重を吸収して軋んだ音を二度、三度と鳴らせる。
素肌が晒されてだろう。まだまだ呼吸は荒いが、今先ほどよりはマシなモノとなってゆき、熱湯風呂に入ったかの様に真っ赤だった全身の肌も色を次第に取り戻してゆく。
だが、意識は未だ夢うつつ。猛烈な乾きを覚えて、サイドテーブルに置かれた水差しへ震える手を彷徨い伸ばすが、水差しを床へ落としてしまい、更に自身もベットから転げ落ちてしまう。
「うぐっ!? はぁ……。はぁ……。はぁ……。はぁ……。はぁ……。」
妹のナナリーよりも食が細いルルーシュは、ブリタニアにおける同年齢の子供の平均体重と比べても体重は軽い。
しかし、今のルルーシュは半覚醒状態。脱力しきった身体でベットから落ち、受け身すらも全く取らなければ、結構な音となるのは必然。
本来なら、この異音に気づき、ルルーシュの部屋へ誰かしらが駆け込んできてもおかしくなかった。
なにしろ、ルルーシュは第17位の皇位継承権を持つ第11皇子であり、この国のVIP。アリエス宮の警備する者達がルルーシュの部屋の前を15分置きに巡回しているのに加えて、こういった事態に備え、ルルーシュ付きの侍女が隣部屋で寝ず番をして控えている。
ところが、今夜に限って、この異音に誰も気付かず、幾ら待っても、この部屋に駆け込んで来る様子が無かった。
その直前にルルーシュは水差しを床に落としてしまい、ガラス製の水差しは割れこそしなかったが、こちらも結構な音を立てているにも関わらず。
「はぁ……。はぁ……。はぁ……。はぁ……。はぁ……。」
暫く、ベットから転げ落ちたまま俯せとなっていたルルーシュだったが、喉の渇きに耐えきれず、震える両手を突いて立ち上がる。
立ち眩みにグニャリと歪む視界。右に、左にフラリ、フラリと覚束ない足取り。いつもより重く感じる出入口のドアへ寄りかかり、ルルーシュは自分の体重を利用して、ドアをやっとの思いで開ける。
「んぐっ!?」
既に就寝したルルーシュとナナリーを思ってか、まだ大人が寝るにはまだ早い時間ではあるが、夜間灯が灯された薄暗い廊下。
室内と比べて、廊下は肌寒く、大量の汗をかいたままにしているルルーシュはブルリと身震いを一つ。
その瞬間、再び胸に一際強い激痛がズキリと走る。ルルーシュは歯を食いしばって耐え、右手を思わずあてがう。
だから、ルルーシュは気付かなかった。右手の下、肌色を取り戻した胸の中央に就寝前までは全く無かった赤い痣が縦に細長く現れている事実に。
「はぁ……。はぁ……。はぁ……。はぁ……。はぁ……。」
ルルーシュはもう片方の左手を壁に突きながら重たい足を引きずって歩き出す。
最寄りの洗面所がある右手方向ではなく、玄関ホールがある左手方向へ何かに導かれるまま歩き出した。
******
「神話の時代から男を惑わすのは女だって話だよ」
今夜、神聖ブリタニア皇帝『シャルル』の兄であり、盟友たる『V.V』から内密な話があると持ち掛けられ、その来訪をマリアンヌは待っていた。
但し、ブリタニアにおいて、V.Vの存在を知る者は極少数に限られており、国家機密の上をゆく極秘事項。
何故ならば、V.Vは不老不死の証である『コード』の所有者。コードを得た当時の幼い頃の姿を止めている為、その当時の宮廷闘争にて謀殺されたという事になっているからである。
それ故、マリアンヌはV.Vの存在を見られてはなるまいと、1週間前からアリエス宮の警備員達や使用人達へ休暇を順々に与えてゆき、今夜はアリエス宮運営に欠かせない必要最低限の人員数にまで絞っていた。
その上、予想外の来客を拒む為、アリエス宮の灯火全てを早々と夜間灯に切り替え、息子と娘のルルーシュとナナリーを含む自分以外の者達の夕食に睡眠薬を混ぜる徹底ぶり。
ところが、約束の時間となり、V.Vを迎えた薄暗い玄関ホール。挨拶もそこそこ、V.Vの雰囲気に剣呑さが混じり、マリアンヌは玄関ホール中央の階段を下りながら戸惑いを感じていた。
「っ!?」
だが、その身に纏うマントの下、背中に隠されていたサブマシンガンがV.Vの右手に現れた瞬間、マリアンヌはV.Vの意図を即座に悟った。
同時にマリアンヌの身体が考えるよりも早く反応する。
嘗て、幾多の戦場を渡り歩き、味方からは『閃光』の二つ名で賞賛され、敵からは『魔女』と恐れ忌み嫌われ、皇帝直属のナイト・オブ・ナイトの地位『ラウンズ』にまで至ったマリアンヌである。
例え、素手であろうとも、その全身が必殺の武器。間違っても、不老不死とは言え、非力な子供でしかないV.Vに負ける理由は見当たらない。
事実、ソレがなければ、マリアンヌは階段の下り途中であろうとも、2人の間にある約10メートルの距離を一瞬にして詰め、『閃光』の二つ名に恥じない蹴りをV.Vへ放ち、サブマシンガンをV.Vの手から弾き飛ばしていただろう。
「「マリアンヌ様っ!?」」
「貴方達、下がりなさいと!」
しかし、ソレは起こった。マリアンヌの背後、今先ほどマリアンヌが降りてきた玄関ホール中央の階段の上から投げられた驚き声。
この時、マリアンヌは判断を誤る。もし、ラウンズの座にあった現役時代のマリアンヌだったら、己の生存を最優先にして、背後の2人など思考の片隅にすら置かず、そのままV.Vへ蹴りを放っていたに違いない。
だが、戦場から遠ざかった十年という年月は、マリアンヌが持っていた戦場の勘を確実に鈍らせていた。
マリアンヌはV.Vの高い秘匿性を優先。玄関ホールに現れた2人の使用人を叱り飛ばして、背後を身体ごと振り返るという致命的なミスを犯してしまう。
「フフッ……。」
その失敗に気付き、すぐさまマリアンヌが振り向き戻るが、時既に遅し。V.Vの口はいやらしくニヤリと弧を描いていた。
今夜、このアリエス宮を訪れるのに辺り、V.Vは自分に忠実な子飼いの部下を連れていた。
そして、V.Vの合図を待って、その部下がアリエス宮へ侵入。これをアリエス宮の警備システムが感知。未だ眠気に耐えて起きていた使用人達は、アラートの発生源である玄関前を調べに訪れて、ビックリ仰天。
それが現在を表す状況であり、つまりはV.Vの策だった。
「させるかああああああああああっ!?」
「「「「っ!?」」」」
ところが、本来なら有り得ないイレギュラーによって、今正に掴みかけた勝利がV.Vの手から瞬く間に零れ落ちる。
突如、玄関ホールに轟き渡る魂の咆吼。その場に居る全員の視線が反射的に発生源へ集うと、心の先走りを表すかの様に極端な前傾姿勢となって駆けるルルーシュの姿がそこにあった。
眉を吊り上げた憤怒の表情。その意図は問わずとも誰の目にも明らかだった。慌ててV.Vがマリアンヌへ振り向き戻り、サブマシンガンの引き金を引き絞る。
しかし、ルルーシュは既にV.Vの目前。V.Vとマリアンヌの間に両手を大きく広げて割り込み、瞬きの刹那だけ遅れて、サブマシンガン特有の連続した銃撃音が玄関ホールに鳴り響き、アリエス宮の隅々にまで広がってゆく。
「ルルーシュっ!?」
数多の銃弾を至近で浴び、着弾と共に跳ね後退るルルーシュの小さな身体。
それでも、ルルーシュは決して倒れなかった。俯いた顔の目から力が失われてゆき、その瞼が閉じかけていたが、両手を大きく左右に広げたまま立っていた。白いシルクのパジャマを真っ赤に染めて、その足下に血だまりを広げながら。
その無惨な姿に倒れ伏したマリアンヌが顔だけをルルーシュへ向けて、悲痛な叫び声をあげる。
どうやら、ルルーシュの小さな身体では全ての銃弾を防ぎきれなかったらしい。数発の銃弾がルルーシュの身体を貫通、その背後に居るマリアンヌをも襲っていた。
但し、マリアンヌが着ている薄紫色のドレスに広がる血の染みは下半身のスカート部分に集中しており、その様子から辛うじて致命傷には至っていない。
「「マリアンヌ様っ!? ルルーシュ様っ!?」」
「ちっ!? 何なのさ! お前は!」
マリアンヌの叫びに我を取り戻して、慌てて階段を駆け下りてくる使用人達。
それと共に聞こえてくるアリエス宮のざわめき。先ほどの銃撃音を聞き付けての事に違いない。
V.Vは忌々し気に舌打ち、残された時間の少なさを感じつつも、冷静に階段を駆け下りてくる使用人達へ狙いを定めると銃撃。
その2人が崩れ落ちたのを視界の端に捉えながら、空になった弾倉を抜いて、お尻のポケットから取り出した新たな弾倉をサブマシンガンに装填。
マリアンヌへトドメの一撃を放つ為、目の前に未だ立つ邪魔者を退けようと歩み寄り、ルルーシュの顔へ銃のグリップ尻を叩き付けようとしたその時だった。
「な゛っ!? ……そ、その目はっ!?」
またしても、掴んだと確信した勝利がV.Vの手から零れ落ちる。
俯き伏していた顔を勢い良く上げて、力を失いかけていた目をカッと見開くルルーシュ。その2つの眼は赤く染まり、翼を広げた鳥を模したかの様な紋章が輝いていた。
その紋章を魅入られ、V.Vは驚愕のあまり動きを止めてしまい、サブマシンガンを持つ右手首をルルーシュに掴まれる。
なにせ、ルルーシュの両目に輝く紋章こそ、ギアスの到達点『達成人』の証であり、不老不死性を持つ『コード』者からコードを奪い取る事が唯一可能な天敵とも言える存在。
「ひっ!? な、何をするっ!?」
その証に加えて、瞳の中に込められた凄まじい憎しみの気迫に気圧され、V.V
は右足を引いて後退ろうとするが、ルルーシュが逃がさない。
V.Vの右手首を掴む左手とは反対の右手でV.Vの顎を目一杯に掴むと、そのまま歩を進めて、V.Vを巻き込みながら倒れ込み、その上に馬乗った。
「V.V! お前だ! お前! お前さえ居なければああああああああああ!」
「むーーーっ!? むーーーっ!? むーーーっ!? むーーーっ!? むーーーっ!?」
互いの鼻先を付け合うほどに顔をV.Vへ寄せて、その口から鮮血と共に呪詛を撒き散らすルルーシュ。
同時にルルーシュの2つの眼の中にある赤い紋章が輝きをますます増してゆき、それに呼応するかの様にV.Vの額に浮かび形作ってゆくルルーシュと同様の赤い紋章。
その額の紋章もまた輝き始め、V.Vは顔をルルーシュの鮮血で汚しながら涙を瞳一杯に溜めて、何かを拒んで顔を左右に振りまくり、ルルーシュの拘束から逃れようと身体を必死に藻掻かせる。
しかし、息も絶え絶えに瀕死でありながら、ルルーシュの憎しみはV.Vの思いを上回って、拘束はちっとも解けず、V.Vは藻掻けば藻掻くほどに体力を失ってゆくばかり。
せめてもの抵抗に未だ右手の中にあるサブマシンガンの引き金を引くが、手首を床に押さえ付けられていては無駄の一言。銃弾を玄関ホールに虚しく撒き散らすのみ。
「……ル、ルルーシュ?」
一方、両手を床へ突き、上半身だけは何とか起こしたマリアンヌだったが、目の前で繰り広げられている現状についての理解が追いつかない。
どうして、睡眠薬を飲んで寝たはずのルルーシュがここに居るのか。どうして、ルルーシュがV.Vを知っているのか。どうして、ルルーシュがV.Vと争っているのか。
何もかもが解らず、ただ1つだけ解るのは、V.Vが盟友たる自分の暗殺を企み、それを息子のルルーシュが阻止してくれた事実のみ。
だが、『しかし』とマリアンヌは考える。果たして、目の前の息子は本当に自分の息子なのだろうかと。
何事にも聡明であり、学問においても天才の片鱗を既に見せ始め、将来は間違いなく帝国を担う政治家になるだろうと周囲から褒め称えられるルルーシュ。
しかし、身を剣一本で立て、今の地位となったマリアンヌとしては不服だった。やはり自分の技を継ぎ、武官となって、ゆくゆくは己がそうであった様にラウンズの地位を極めて欲しかった。
ところが、ルルーシュときたら、自分のお腹に運動神経を置き忘れてきたのか、からっきしダメダメ。剣の鍛錬をするどころか、それを始める前の準備運動の段階でへばっている有り様。
嘗ての同僚であり、今もラウンズの第1席の担うビスマルクにも、とても微妙な顔をされた。『残念ながら、ルルーシュ殿下に才能はこれっぽっちも御座いませんな』と言う有り難いお墨付きまで貰っている。
もっとも、その代わりと言う訳ではないが、妹のナナリーは煌めくモノを持っており、このまま長ずれば、もしかしたら自分以上になれるかも知れないと期待していた。
性格的にも、ルルーシュは負けず嫌いではあるが、それはチェスなど、ゲームでの事。荒事に向いてはいない。
剣の才能が無いと解った今も、自衛くらいはと鍛錬をナナリーと共に日課として行わせているが、ルルーシュは痛さを知るが故に自分からは基本的に仕掛けず、仕掛けても躊躇いがありありと見える。
良く言えば、優しい。悪く言えば、臆病。だからこそ、目の前の光景が信じられなかった。
銃弾の前に立ち塞がった勇気も驚愕に値するが、それ以上に驚くのが、その身に幾多の銃弾を受けて倒れないどころか、前へ進める気概と敵を気圧す気迫。これほど熱いモノをルルーシュが持っているとは知らなかった。
「光を失えぇっ!?」
心では既に決別したはずだったが、ルルーシュにとって、やはり懐かしい母の呼び声。
ルルーシュは抗えない欲求に突き動かされて振り返るが、その振り返る途中、ソレを見つけて、刹那だけ緩んだ表情を憤怒に染める。
階段の左右に配置されて、玄関出入口まで5本列び、吹き抜けの天井を支えているドーリア式の白い柱。
ルルーシュが玄関ホールへ駆け入ってきたのとは逆側、階段脇にあるその影。女の子座りでへたり込み、開ききった目と口を恐怖に震わせながら涙をポロポロと零す幼い少女。
彼女の名前は『アーニャ』、行儀見習いとして、同い年のナナリーの遊び相手として、このアリエス宮に一週間前から住み込みで務めている貴族令嬢。
ルルーシュは怒りに染まりきった思いのまま叫ぶ。アーニャからマリアンヌへと視線を向けて叫ぶ。
「えっ!? ……め、目がっ!? な、何がっ!?」
その力有る言葉と共にルルーシュの両の眼から羽ばたく赤い紋章。
そして、それはルルーシュの視線の先にあるマリアンヌの瞳の中へと飛び込み、マリアンヌの脳を焼いて、その言葉通り、マリアンヌの視界から光を奪う。
突如、目の前に果てしない暗闇だけが広がり、マリアンヌは混乱の極み。すぐさま両手を目へあてがうが、感触は有れども、目の前にあるはずの指が見えない。
マリアンヌが見た最後の光景。それは憎しみに溢れた我が子の表情とその額に浮かび上がり、輝き始めた赤い紋章、力尽きて崩れ落ちるルルーシュの姿だった。
「ひ、ひぃっ!? ぼ、僕のコード……。ぼ、僕のコードがっ!?
うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?」
V.Vはルルーシュの額に輝く赤い紋章を目の当たりにして、自分自身の中で起こった変化を理解した。
額を震える右手で押さえながら、目をこれ以上なく見開き、腰を落としたまま後退り。震える脚で立ち上がるが、膝に力が入らず、その場へすぐに尻餅をつく。
今一度、見開ききった目でルルーシュの額を見ると、V.Vは絶望のあまり半狂乱な叫び声をあげながら這い、立ち上がり、たたら踏んで転倒。すぐさま立ち上がり、アリエス宮から脇目もふらず駆け出て行った。
「ルルーシュ! 何処なの! 返事をして! ……ルルーシュ!」
「はわわっ……。」
凶劇が去り、玄関ホールに残ったのは2人。
床を這い蹲って進みながら、ほんの2、3歩先に倒れているルルーシュを探し求めて、必死に手探るマリアンヌ。
ほぼ一部始終を目撃しながらも難を唯一逃れ、ようやく得た安心にそれまで耐えていたモノが漏れてしまい、ただただ茫然と大きな水溜まりを作ってゆくアーニャ。
それは後に『アリエスの悲劇』と呼ばれる事となるルルーシュ8歳、ナナリー5歳の時の出来事だった。