……明久side……
『くたばれやぁぁあ!!!』
『くっ、皆! 俺の屍を越えてゆけぇぇぇええ!!!』
また一人、Bクラス生徒を戦死させたみたいだ。
台詞の違いでどっちが戦死したかすぐ分かるってどういう事なんだろう……
「しっかしBクラスって卑怯なイメージがあったけど、なんかあんな台詞聞いてると印象が185°変わるよね」
「あの、吉井くん? 180°の事でしょうか……?」
「…………」
ちょ、ちょっと間違えちゃっただけだい!!
「でも確かにそうかもしれませんね。
私も前の戦争ではラブレ……じゃなくて!」
「?? らぶれ?」
「な、何でもありません!!」
どうしたんだろう……?
駅前で売ってる『鳩ラブレ』でも盗まれたんだろうか?
確かにそれは大変な事だ! 貴重なカロリーが!!
「そんな事より、敵はまだ残ってますよ!
援護お願いします!」
「うん、そうだね。分かった!」
流石の姫路さんでも大勢の敵に囲まれるとかなり危なくなる。
剣によれば装備が重くて硬いが、その分いざという時の離脱が難しい。
姫路さんが戦死してしまうと単純に戦力の低下だけじゃなく全体の士気の低下にもつながる。
だから死んでも護り抜けとの事だ。
『……それに、お前が戦死して喜ぶ奴も多分居るからな』
『何だとコラ!?』
『操作技術でMVPを取りかねないから、早々に退場してほしいという奴も居るかもというだけの話だ。悲しむ奴も居る。
例えばツンデレの雄二とか』
『誰がツンデレだ!!』
……おっと、脱線した。
とにかく、僕の役目は姫路さんが囲まれないように上手く立ち回る事っ!
「てやぁっ!」
「おわっと、危なっ!!」
「あ、ごめんなさい……」
……そして、姫路さんの攻撃に当たらないようにする事。
雄二や剣や秀吉やムッツリーニとかなら完璧に息を合わせられる自信があるんだけどね……
流石に姫路さんと息を合わせるのは無理みたいだ。
「気にしないで! 全部避けるから!!」
「は、はいっ!!」
そもそも同士討ちは人数が多いとどうやっても出ちゃうから仕方ない。
それに、今なら僕が戦死しても、姫路さんならきっと大丈夫だ。きっと。
姫路さんが戦場に立ってからかなり優勢になってるからね。
このまま、本陣まで攻め込めるかな。
……明久side out……
……御空side……
私たちが『Fクラスの特記戦力』と定義しているのは、警戒度が高い順に、空凪くん、姫路さん、土屋くん、吉井くん、島田さん、あと坂本くんだ。
坂本くんの評価が低いのは代表だからそう簡単に戦闘に参加出来ないから。合宿での様子を見ている限りだとそこそこ高い点数を保持していそうではあるんだけどね。
現在、最前線で目撃されているのはその内の3人。
残りの3人のうち、空凪くんと坂本くんの2人は多分教室。土屋くんは不明……か。
「こっちからフィールドが指定できれば土屋くんはそこまで脅威ではないんだけどね」
「空凪が教室に残ってるのか……」
「全員残ってるよりはずっと良いんだけどね」
「まあそれはそうなんだが……」
「どっちにしろこれ以上は引っ張れないからね。
覚悟を決めてね」
「……本当に、俺にできるだろうか?」
「もっと自信を持ちなさいな。
私たちの代表なんだからさ」
「……そうだな……やってやる!」
「それじゃ、行きましょう!」