Bクラス副代表、御空零。
前回の戦争では、どこに居たのか……
特に目撃情報も無かったようだから、教室の防衛に徹していたんだろうか?
とりあえず、実力は未知数……だが、手がかりは無くもない。
例えば合宿の時、与えられた課題を1日で終わらせたのは極小数だったな。
そして今、意気揚々と僕に立ち向かってきている。
つまり、少なくともAクラス並の点数を保有しているとみて間違いないだろう。
だから一応覚悟はしていた。
でもね、ここまでとは思わなかったよ。
[フィールド:数学]
Fクラス 空凪 剣 288点
Bクラス 御空 零 641点
「あれ、あんまり驚いてないね」
「……一応これでも十分驚いてる」
一つの科目だけではあるが……間違いなく
……でもまぁ……
高得点者相手の持久戦は苦手なんだけどなぁ……やるっきゃないか。
「あ、そうそう」
「ん?」
「持久戦なんて舐めた真似は通じないから、気をつけてね♪」
御空がその言葉を口にした直後……
ぞくっ
(っ!?)
悪寒が走った。
まるで正面から風が吹きつけているかのような圧迫感。
ば、バカな!! これが噂に聞く、気当たり!? ……なんてボケをかましてる場合じゃないな。
どうやら本当に風が吹いているようだ。
だが物理的な風が吹きつけているわけではない。
召喚獣に対してのみ吹きつけている……?
「なるほど。腕輪か。
腕輪の効果で風を起こしているのか」
「さぁどうかしらね」
それは半分以上認めてる気がするが……
……さて、ただの風なら全く問題ないんだが……さっきの言葉といい、嫌な予感がするぞ。
Fクラス 空凪 剣 288 → 283点
Bクラス 御空 零 641 → 636点
……減ったな。今。
御空の点数が減るのは腕輪のコストって事で良いんだが……
「この風、まさか攻撃判定があるのか?」
「察しがいいねぇ~。そゆことだから、全力でかかってきなさいな」
強制的に消耗戦に持ち込む能力か……
まぁ多分それだけじゃないだろうけど。腕輪の能力がそんなショボいもので終わるとは思えないから。
未知の能力にも警戒しつつ……やりますか。
僕の召喚獣は両手にナイフを構え、
御空の召喚獣は一本の剣を構え、
そして激突する。
召喚獣をぶつからせながら、分析を進める。
7、8、9、ダメージ……
約10秒に1回の間隔で5ダメージずつ入る。
となると1分で30ダメージ。直接のダメージが無ければ9分はもつ計算になる。
かすり傷で大惨事……とまではいかないが、結構手痛いダメージを喰らうので実際は結構減りそうだが。
流石に召喚獣の操作技術までは人並みだな。
これで明久並の技術があったら脅威だが、倒せない相手では無いレベルか。
リリース&ファイアという禁断の秘奥義を使うという最終手段があるわけだが、現在の状況ではちょっと苦しいな。
あれ使うと最大で200点も消費するからな。
今は235点、あ、減った。230点だから、残り30点。
外したら大惨事だし、当たってもそんな点数でBクラスの猛攻を凌ぎきる自信なんてこれっぽっちも無い。
僕は一応観察処分者だが、明久ほどの操作技術は期待しないでくれよ? 御空との戦闘が始まる時点で112点ほど減ってた時点で察してくれ。
そもそも、この戦いは完全な『消耗戦』となっている。
仮に御空に止めを刺せたとして、その時僕の点数は何点残っているのか……
僅かな点数しか残らなければ残りのBクラス生徒に蹂躙されて終わる。相打ちとなんら変わりない。
そして、刺し違えてでも倒す気は今のところは無い。
つまり、この戦闘の最終目標は……
……side out……
……雄二side……
「伝令です!
先鋒部隊Aが敵副代表と交戦中!!
敵の点数は600点越えです!!」
「何ぃっ!?!?」
ろ、600越え……だと?
「見間違えじゃないだろうな?」
「はい! 腕輪も装着していました!!」
御空……そこまでの実力を隠し持ってたのか。
剣にここで戦死されるのはかなり困る。
いざという時は戦死してもらうが、今はまだその時ではない。
適当に削りつつ撤退し、増援に引き継ごうとするはずだ。
となると、すぐにでも増援を向かわせなきゃなならんが……仮に剣が半分程度削れるとして、敵の点数は300点超か。
「科目は何だった?」
「数学です」
「数学か…………」
さて、誰を送ろうか。
いや、考えるまでも無いか。
数学と言ったら……
「おい、増援部隊の部隊長を頼めるか?」
「え? いいの……?」
「当然だ。
早く準備してくれ」
「う、うん!!」
さて、保ってくれよ、剣ぃ……