戦争に関する大まかな打ち合わせを終え、その後適当に授業を受けてから昼休み。
いつものメンバーと一緒に昼食を食べる。
「Bクラスとの試召戦争か。何ヶ月振りだっけ?」
「もうちょいで3ヵ月だな」
「そんなもんか」
長いような短いような……
「まあどっちでもいいか。で、雄二、この戦いはどう持っていくんだ?」
「そうだな……DやEに攻められる可能性は一応考えちゃいたが……Bクラスは完全に予想外だったからなぁ……」
「え? まさか、作戦ナシなの!?」
「落ち着け明久。雄二が考えてない訳が無いだろう?」
「あ、うん。それもそうか……」
仮に事実であっても、教室の中で大声で暴露するのはいただけない。士気に関わるから。
……いやでも、敵の諜報を欺くという意味ではアリか。
「(で、実際の所、どうなんだ?)」
「(一応、前回の戦争で、お蔵入りになった、作戦が、あるが)」
ああ、そういえばあったな。
雄二が作戦を使う前に僕が決着をつけちゃったからな。
「(しかしなぁ)」
「(何か、問題が?)」
「(あの時は、Bクラスの、室外機を、Dクラスに、壊させる予定、だったが)」
「(今更、壊しては、くれない。と?)」
「(そういう、こと、だ)」
まぁ、3ヶ月近く前の(脅迫で同意させた)協定を今更持ち出してもなぁ……
「もともとの作戦をそのまま使うのは不可能だが、ちょっと作り替えればなんとかなるだろう。
最後にボソッと要らん言葉が付け足されたよな……
「んじゃ、期待してるぞ。代表」
「おう」
……放課後 帰り道……
「おう剣」
「雄二か。どうした?」
いつものように一人で下校していたら雄二が話しかけてきた。
雄二の家の位置を考慮すると若干遠回りな気がするが……まあいいや。
「ああ。
「ん?
アイコンタクトで会話を続ける。
ちなみにハンドサインは使わない。バレるから。
「お前……
「
「同じ事じゃねぇか!!」
雄二がアイコンタクトを忘れてツッコミに走ったよ。
「
「
「
えっと借りパクは借りて返さない事で、借りて返さないは……アレ? 同じだ」
「
「
「とにかく、お前の家に行くぞ。借りパクは許さん!」
「そ、そんな殺生な!!」
「
……え、マジ?
……自宅……
「ただいま~」
「お邪魔しま~す」
「光はまだ帰ってきてないみたいだな。さっさと探してくれ」
「いや、おまえも探せよ」
そんな漫画あったかなぁ……
「んじゃあ探してみるか。どんな漫画だ?」
「ああ。実は正確には貸したんじゃなくて預けた漫画なんだが……」
「……ああ!! そう言えばあったな。
かなり前に預けられたアレか!!
確か、黒髪長髪の美人がヒロインの……」
「ああ。まぁな。
あの頃は翔子が……まあいいや。
それで、どこにあるんだ?」
「確か……気づいたら消えてたな」
「おいっ!?」
「……あ、思い出した。
前に霧島が持っていったって言ってたな。『雄二の匂いがする!!』とか言って」
「怖ぇよ!! 何だよ俺の匂いって!!
っていうかお前、家に翔子を呼ぶほど仲が良かったのか?」
「いや、僕じゃなくて光が。
暇つぶしに家探ししてたら見つけてそのまま持って帰ったらしいぞ」
「暇つぶしに家探しか……お前も苦労してそうだな」
「ああ。タンスの三重底の板の中の空洞に隠してみたんだが、あっさり看破されたよ」
「何故そこまで厳重に!?」
「えっと、何となく?」
「あ、ああ。そうか……」
「そういう訳だから、霧島に直接言うしかないな」
「まぁ、殆ど捨てるくらいのつもりで預けたもんだからな。
ついでにと思ったが、無いならいいや」
「大分脱線したが……尾行についてどう思う?」
「タイミング的にはBクラスが妥当だろうな」
「……特に重要な情報とかは漏らしてないよな?」
「当然だ」
窓から外の様子を伺ってみる。
……まだ、居るな。
「……ここで接触して正体を割り出すメリットと、気付かない振りしてやり過ごすメリット、どっちの方が大きいかな」
「微妙だな」
「そうだなぁ……」
「とりあえず俺は帰る。何か妙な事があったら連絡してくれ」
「了解だ。じゃあな」