バカ達と双子と学園生活   作:天星

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二人の策士編
プロローグ


 合宿が終わってしばらくしたある日の朝の話である。

「ふぁ~、こうやってお前と一緒に登校すんのも久しぶりだな」

「珍しいわよね。兄さんが寝坊なんて。

 いつもは無駄に早起きなのに。

 目覚ましの電池でも切れた?」

「いや、そろそろ切れるだろうなと思って替えようとしたけど、新しいのを入れ忘れた」

「……アホね」

 言うな姉さん、悲しくなるから。

 

 

  ………………

 

 

「んじゃ、また家でね」

「おう、じゃあな」

 学校について、暫く歩いた所で分かれてそれぞれの教室へと向かう。

 あ、ちなみに現在の教室はC教室だ。

 僕としてはCクラスの連中に恨まれたくないから放棄しても良かったんだが……Cクラスの連中をF教室に追いやるのが光が出した協力の条件らしいからな。仕方ない。

 

 暫く歩いて、教室の扉に手を掛けて……

(……ん?)

 何だろう? いつもと教室の雰囲気が違う。

 いつもはもっと早く来てるから単純な比較はできないけど……いつもの喧騒が何かに堰き止められているような……?

 ……突っ立ってても仕方ない、開けてみるか。

 

ガラガラガラ

 

「おはよう諸君」

 とりあえず全体に向かって挨拶してから雄二の所へ向かう。

「やっと来たか。お前にしては随分と遅かったな」

「まぁな」

 それでも明久より早いケドね。

「で、教室の雰囲気がいつもと違うような気がするが、何かあったのか?」

「ああ。実はだな……」

 

 

 

  ……雄二side……

 

  ……数十分前……

 

 

「おはよう。って、アレ?」

 いつもなら間違いなく剣が居るんだが……おかしいな。

 今日は休むのか、単に寝坊しただけか……

 まあ良いか。クラス単位で動くような行事とかもしばらく無いし。

 えっと、今日の時間割は……

 

 

 

「おはようございます」

 しばらくのんびりしていたら姫路が入ってきた。

 余談だが、このFクラスの朝早く来る連中のトップ3はほぼ固定だ。

 剣が異様に早く、俺が次いで早く、姫路はまともな範囲で早い時間帯に来る。

 姫路が早いのはイメージ的になんとなく分かるんだが……剣の早さは異常だ。

 あいつが異常なのはいつもの事だと言ってしまえばそれまでだが……

 え? 俺が早い理由? そりゃアレだ。家に居ると……まぁ、察してくれ。

 

「あれ? 今日は空凪君は来てないんですね」

「ああ。どうしたんだろうな」

 

 あいつが居ないと何か調子狂うな……

 まあ休みじゃなければすぐに……

 

ガラガラガラ

 

「ん、噂をすれ……ば……?」

 扉の向こうに立っていたのは剣ではなく……

 

「ほら代表、やっぱり居たでしょ?」

「居るからといって朝早く出向く必用は無いと思うんだが」

「できるだけ早く伝えるに越した事無いから」

「それはそうだが……」

 

「根本と、御空? どうしたんだこんな時間に」

 小山とかCクラスが忘れ物を取りに来たとかなら分かるんだが……

 

「坂本、単刀直入に言うぞ。

 俺たちBクラスはFクラスに対して、

 

 試験召喚戦争を挑む!!」

 

 …………はい?


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