ほどほどに冷房が効いた室内。
死んだように眠るクラスメイト達。
黙々と勉強している少数の人影。
そして……
「剣、覚悟は出来てるか?」
「フッ、寝言は寝て言うんだな。雄二」
「……あの~……」
「じゃあ行くぜ! 革命だ!!」
「愚かだな。革命返し!!」
「何ぃぃぃっ!!!」
「……あの~…………」
「詰めが甘いな雄二。
切り札ってのは、勝ちを確定させる瞬間に使うもんだぜ?」
「ぐぅぅっ!!」
「……あの~………………」
「じゃあお前は勝ちを確定させたってのか?」
「愚問だな。
今ので全てのカードは一枚以上見えているし、ジョーカーも使用済。
つまりこの革命返しに対して、いかなる妨害も通じず強制的に場を一掃する。
そして僕の手札は8が2枚に6が1枚。
……この意味が、分かるな?」
「ば、バカな!! この俺が……負けるだと!?」
「……あのさ!!」
「何だ御空、さっきから」
「せっかく盛り上がってるのに」
「いや、盛り上がれるのは良いんだけどさ……
……何で
「おいおい、それこそ愚問だぞ。なぁ雄二?」
「ああ。全くだな。お前は何も分かっちゃいない」
「ど、どういう意味……?」
だってねぇ……
「「
「お前ら俺の扱いが酷くないか!?」
「安心しろ、とりあえず3割は冗談だ」
「あとの7割は一体何なんだ!?」
「え? そりゃ勿論……」
「ねぇねぇ、次のゲームやらないの?」
「ああ、そうだった。さぁ雄二、
大貧民は大貧民らしく甲斐甲斐しくカードを配りたまえ」
「お前だって貧民じゃねぇかよ!!」
「おい! 後の7割は一体何なんだ!!」
……数ゲーム後……
「くそっ、僕が大貧民かっ!!」
「ははっ、ざまぁねえな!!」
「……何てことを言うと思ったか?」
「何っ!?」
「なぁ知っているか?
大貧民というのはな……
最初にカードが出せるんだよ!!」
「いやまぁそりゃ知ってるが」
「つまり、ワンターンキルができる可能性のある唯一のポジションというわけだ!!」
「現実的ではないと思うが……」
「ならば見せてやろう。僕の、デスティニードローを!!」
配った9枚のトランプをめくる。
そして……
・スペード、ダイヤの3
・クラブ、スペードの4
・ハート、ダイヤの5
・ハートの6
・ハート、クラブの7
「…………」
「……剣、強いカード2枚」
「……そらよ」
なけなしの7を2枚渡す。
「…………流石に同情する」
「……そうか」
「……はい」
・ハートの7
・クラブの9
……1枚とは言え送ったカードが帰ってくるのは初めてだな……
……え? 勝てるわけ無いじゃん。大貧民だったよ。
………………
「どうせ僕にはワンターンキルなんて無理だったんだ。チクショウ!!」
「普通無理だと思いますけど……」
「大貧民は大貧民らしく底辺を這いつくばって富豪供のご機嫌を伺いながらカードを配るのがお似合いなんだ!!」
「あの……大丈夫ですか……?」←富豪
「心配なんてしないでくれ! 余計惨めになるじゃないか!!」
「え、えっと……すいません」
んで、今回の手札は?
・3が3枚
・8が4枚
・スペードのA
・ジョーカー
………………
「フハハハハ!! ついに僕の天下が来たようだな!!」
「なぁ、コイツ一発殴っていいかな?」
「大富豪よ、運が良かったな。受け取るがよい!!」
「……ん」
「フッ、何を渡されようと僕の勝利は揺るがな……」
・3、J
………………アレ?
変更された手札を、よぉぉぉく見てみる。
・
・
・
……そして現在のルール
・役上がり……禁止(革命のみは可)
・最強上がり……当然禁止
・最弱上がり……禁止
…………詰んだよ。
「3で革命、からの8切りで革命、からのイレブンバックだよチクショウ!!
ペナルティで強制的に大貧民だのコノヤロウ!!」
「全部、最後に出すのは禁止のカードじゃねぇか……」
「……剣、あなたは貧民」
「うん?」
「……都落ちも大貧民。
だけど強制的に最下位になるルールが1ゲームで2つ以上発生したなら先にゲームから抜けた方が良い順位になる。
だから私が大貧民」
「そ、そうか。これでも都落ちが発生するんだな……」
何かちょっと申し訳ないな……
…………
さて、今回の手札は……
・スペードの4
・ハート、スペードの6
・スペードの7
・ダイヤの8
・クラブの10
・ハートのQ
・ハートのK
・スペードの2
とりあえず2を
そして帰ってきたカードは……
・スペードの5
……なるほど、勝機が見えたぞ。
今回のキーカードは8切りが1枚、階段革命が1組、あとギリギリ使えそうなのはQとKかな?
逆に不要なカードはハートの6。あと、クラブの10は普通に使えるか
今回こそは……富豪層に辿り着くっ!!
……とまぁこんな感じで、合宿4日目は過ぎていった……