「……はぁ」
セオリー外の行動を取る相手は厄介だ。
相手の行動が予想出来ないからな。
たとえ怒り狂った女子であっても、代表なら代表らしくどっかの部屋の中に近衛部隊と引きこもると予測していたが……まさか前線で大暴れしているとは。
まぁ、今のところ交戦はしてないようだが。
このまま行くと本当にジリ貧になるな……
小山が頭を冷やして引きこもってくれないとキツい。
「……独断で役割を捨てるわけにもいかんしなぁ……
はぁ……」
……剣side out……
……雄二side……
女子に捕まらないように廊下を全速力で駆け抜ける。
あのまま外で逃げても良かったが、こちらのほうが色々と都合が良い。
「雄二、次は!?」
相手が疲れれば引きこもってくれると思っていたが……あの様子だと期待できないかもな……
なんて考えていたのは実に15分前だ。
御空が予想の3倍くらいの時間を稼いでくれたからな。
館内に散らばってた敵を引きつける事もできた。
「坂本くん。大丈夫なの?」
並走しながら話掛けてきたのは……
「あ、空凪さん!」
「何か最初の予定とズレてる気がするけど?」
「……とりあえず大丈夫だ。お前は今の役割を全うしてくれ。
ただ、本当にヤバいと思ったら自分の判断で行動してくれて構わない」
「オーケー。じゃあね」
「それで雄二、どうするの?」
「追ってきてバラけた女子を2~3人補習室送りにする」
これで小山が戦死の危機感を持ってくれると良いんだが……
「でもどうやって? 先生を待ってたらみんな集まっちゃうよ?」
「バーカ。この白銀の腕輪はフィールドを破壊する物じゃねぇぞ」
「あ、なるほど」
一つ問題があるとしたら、腕輪を使う人物は召喚が出来ないという事だ。
さて、誰に使わせるか……
「……秀吉、パス!」
「っ、うむ!」
安定感を求めるなら康太ではなく秀吉に戦わせるべきかもしれないが、運良く保体のフィールドになったら相手を脅せる。
「あ、お前ら、召喚フィールドが出てもすぐには召喚するなよ?」
「え? 何で?」
「Cクラス以外の生徒が来てたら面倒だ」
戦争中のクラスに横槍を入れるのではなく、ただの一般生徒に挑むだけなら特に罰則は無い。
が、正当防衛として相手に参戦する権利を与えてしまうので可能なら避けたい。
後はうまい具合にバラけた女子が来てくれれば……
『ハァ、ハァ……追いついたわよ、盗撮魔!!』
『ゼェ、ハァ……か、覚悟しなさい!!』
ちょうど良く2人追いついてきた。
「では、
召喚フィールドが展開される。
科目は……この時点ではまだ分からない。
『良い度胸ね、
『
[フィールド:化学]
Cクラス 110点
Cクラス 99点
保体ではないのは残念だが、まあ良い。
「オーケーだ。総員突撃!
「「
Fクラス 坂本雄二 257点
Fクラス 吉井明久 51点
Fクラス 土屋康太 52点
「ああ、1点負けた!!」
「…………フッ」
「俺からしたらどんぐりの背比べだ。さっさと行くぞ!!」
増援が来たらかなり厄介だ。
いつもなら使い捨……尊い犠牲により逃げられるんだが……現在の戦力では不可能だからな。
まず俺が相手の片方をブチのめして撃破。
明久は残った相手と鍔迫り合いに持ち込み、その隙を康太が突いて撃破。
瞬殺だ。
「戦死者は補習!!」
「「あぁぁぁ~~~…………」」
これで小山が引っ込んでくれると良いが、逆に怒らせたかもしれないな。
まぁ、敵の戦力は削っておくに越した事は無い。
「……ねぇ雄二、これ繰り返してたら倒せるんじゃない?」
「何人か倒れたら流石にまとまって行動すると思うし、何回もフィールドを張るだけの点数の余裕は無い」
白銀の腕輪はフィールド作る度に点数を消費するからな。
「とりあえず、もうちょい逃げ回るぞ!」
……そして10分後……
「坂本くん、伝令! 小山さんはまだ追ってきてるみたいだよ」
「そうか、工藤、助かった」
まだ追ってきてるのかよ……
相手の体力の方が低いはずだから、逃げ続けていればいつかは止まると思うが……
教師を押さえておく工作がそろそろ時間切れになる。これ以上逃げつづけるのは無理だろう。
「それじゃ、籠城して根比べといこうか。
お前ら、俺たちの部屋を目指すぞ!」
「うん!」「(コクリ)」
……自室……
朝言ったように畳を使って道幅を狭くする。これで迎え撃つ準備は完成。
「小山が出て来たら可能な限り小山の首を狙ってくれ。
但し無理はしなくて良い」
「出て来なかったら?」
「可能な限りダメージを受けないようにしてくれ。相手にダメージを与えることより優先な」
「分かった」
ここで討ち取れるのがベスト。小山が撤退してくれても問題ない。
だけど中途半端なのは頼むから止めてくれよ?