バカ達と双子と学園生活   作:天星

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12 勢力

  ……雄二side……

 

 今回の戦争は小山友香の、ひいては女子全員(A・Bクラスを除く)の私怨によるものだ。

 明久(バカ)にでも分かる事だ。

「雄二、心の中で僕の事をさり気なく罵倒しなかった?」

 ……コイツはいつからエスパーになったんだ……?

 とにかく、現在の状況をまとめてみよう。状況が分からなければ作戦の立てようも無い。

 

 まず、敵は一応はCクラスだ。

 敵の代表(小山友香)が戦死すれば俺たちの勝ち。俺が戦死したら負け。

 この戦争に勝った場合、俺たちFクラスはCクラスの設備を入手し、CクラスはFクラスの教室に降格される。

 そして負けた場合、Fクラスは設備を1ランク降格させられる。

 それに加えて3ヵ月間は宣戦布告が出来なくなる。

 設備に関しては全く問題無い(そもそも酷いからな……)が、宣戦布告出来ないのはキツい。俺たちの目標はあくまでAクラスに対して完全勝利する事だ。

 まぁ、もうしばらくしたらどうせ夏休みが入るから一学期中にもう一回仕掛けるか、二学期に入ってから仕掛けるかの違いでしか無いんだがな。

 ……いっそのこと投降するか? いやいや、連続で宣戦布告されると面倒だ。

 設備が10ランクくらい下がったら炎天下の校庭とか橋の下とか冗談抜きでやりかねないからな……

 

 戦争自体を回避するのは……難しいか?

 この状況で真犯人の名前をぶちまけても見苦しい言い逃れにしか見られないか。

 大人しく拷問を受け入れれば多分取り下げてくれるが、論外だな。

 

 となるとやっぱり勝たなきゃならんか。

 CクラスとFクラスでは地力が違いすぎるが、恐らくは……

 

「…………雄二」

「康太か。何か分かったか?」

「…………(コクリ)

 ……Cクラスの男子は参加する気は無さそうだ」

「やはりな」

 

 名目はどうあれこれは私闘だ。クラス全員が一丸となって参加するという事は無いと踏んだが……予想通りだ。

 

「…………だが、他のクラスの女子の動きが怪しい」

「そうか……ご苦労だった」

 

 直接的に戦闘に参加出来るのはCクラスのみだが、戦闘に参加出来なくてもやりようはいくらでもあるだろう。

 ちなみに、戦争中以外のクラスの生徒に勝負を吹っかけられた場合、戦争の妨害という事で吹っかけた生徒が補習室送りになる。

 敵の戦力はCクラス女子(Cクラスの約半数)と、戦闘員ではない戦力としてD・Eクラスの女子……といった所か。

 あとはFクラスの女子だが……直接の戦闘行為が可能である事を考えると厄介だな。ひとまずは二人供敵の戦力として数えておこう。

 

 ではこちらの戦力だが……

 俺に明久、康太、秀吉でまず4人は確保できる。

 剣は30分もあれば戻ってくるとは思うが……まだ分からんな。

 そしてその他Fクラスのメンバーだが……

 

「坂本!! 俺たちFFF団は今回の戦争には参加しない!!

 女子に嫌われたくないからだ!!」

 

 クラスが一丸となって参加してくれないのはCクラスだけじゃなみたいだな……

 

「……秀吉、あいつらに頼み込んでくれ」

「な、何故ワシが……

 え~、コホン、お主ら、どうか雄二に協力して欲しいのじゃ」

 

『か、会長!! 秀吉様が我々に頼んでいますよ!?』

『う、うろたえるな!! お前は秀吉様一人とこの学年の女子、どちらを取るんだ!?』

『そ、そうだ!! 秀吉様は一人いか居ないけど、女子ならたくさん居る!!』

 

 ……こんな感じだからなぁ……

 その気になれば働かせる事は可能だとは思うが、時間も無いので後回しだ。

 まぁ、中途半端に士気が低い兵が居ても邪魔だし、むしろこっちを襲ってこないだけマシなのかもしれない。

 それでも命令違反には変わりないので後で何らかの処置を取るがな。

 

「秀吉様って一体なんなのじゃ……」

 

 そういう訳で直接の戦闘員は俺を含めて暫定4人、剣も来れば5人。

 かなり厳しい状況だな……

 だがその代わり……

 

「……雄二と仲良くなれる時間を潰すなんて……許せない……」

 

 やや暴走気味ではあるが翔子も可能な範囲で協力してくれるようだし、

 

「そうね。遊ぶ時間を妨害されたのは私も許せないわ」

「お前ら、そこまでか……?

 まぁ、貸しを作る機会だと思っておこう。俺もお前たちに協力する」

 

 Bクラスの代表コンビも協力してくれるようだ。

 直接的な戦闘は無理だからそこまで期待してないが、助かるな。

 

「……ん? そういえばお前は小山と付き合ってるんじゃなかったのか?」

「今回の件は完全に向こうに非がある。

 それに……」

「それに?」

「……現状で俺がクラスに指示を出したところで聞いてもらえないだろうからな……」

「それは代表としてどうなんだ?」

「男子にはこの戦争で女子たちに味方するような偽善者は居ないだろうし、女子は私が完全に掌握してるからね~。

 いままでの襲撃犯の中にもBクラスは居なかったでしょ?」

「俺は他クラスの女子の顔までは把握してないが……確かに剣がそんな事を言ってたな」

 っていうか、あいつ、この学年の全員の顔を把握してるのか……?

 

 

 

「……そういえばAクラスも参加してなかったとか言ってたが……」

 翔子は初日は自分から乗り込んでたくらいだから他の生徒を抑えていたとは思えないが……

「理由はいくつかあるけどね」

「うおっ!? 何だ、空凪妹か」

「私とか優子が抑えてたってのもあるけど……兄さんや吉井くんや土屋くんの人気が高かったから抑えるまでも無かったわ」

「人気が高い……?」

「吉井くんと土屋くんは清涼祭の厨房で大活躍してたからね。

 二人とも見た目も悪くないし、一部ではファンクラブを作ろうかって話も出てるとか出てないとか……」

「あいつ料理の腕だけは一流だからなぁ……」

「あと兄さんは常夏コンビ……だっけ? を追っ払った姿が格好良かったって事でそこそこ人気が高いわ。

 あとは私の兄弟って事もあってそこそこの信用を得てるみたいね」

「全然知らなかったな……」

「ちなみに坂本くんは代表の既得物件って事でだれも触れようとしないわ」

「誰が既得物件だ!!」

 そこは断固否定させてもらおう!

「まあその辺の話はさておき、Cクラスを倒すのは私も協力するわ」

「? なんでまた」

「私たちAクラスとCクラスは協定を結んでるのよ。

 協定って言っても、Aクラスに一方的に有利なものだけどね」

「ああ、試召戦争の時のアレか」

「その協定の中にしっかり書いてあるの。『いかなる理由があってもAクラスの許可無く宣戦布告をしない』ってね」

「……明確な協定違反じゃないか?」

「ペナルティを設けようとしても特に思いつかなかったし、一週間持てば十分だったからね。

 今追加するペナルティはFクラス教室って事で」

「なるほど。理由はどうあれ、協力に感謝する」

 

 

 まとめると、こちらの直接の戦闘員は代表込みで4人+1人。

 協力者はABクラスの代表と副代表。

 それぞれのツートップが協力してくれるわけだからクラス全員……とまではいかずとも半分くらいは協力してくれそうだ。

 さて、どう持っていくか…………


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