……合宿４日目 朝……
今日も早く起きすぎて時間潰しに苦労したが……その辺はもう省略させてもらおう。
朝食を終え、各クラスは自習に入る。
確か予定では、Ｆクラス以外は自由自習だったかな。
Ｆクラスのみが一定の部屋に集められており、それ以外は自由な部屋で自習だったはずだ。
……なぜ僕が不確定な言葉で話しているかというとだ。
今日の僕はまだ自習に参加していない。それよりもやることがあるからだ。
「それでは、始め！」
補充試験である。
昨日戦死したからなぁ……多少消耗してるくらいならそんなに急ぐ必要は無いんだが、０点があるとちょっと安心できない。
しばらく試召戦争を仕掛ける予定は無いし、何かの勝負を挑まれても断ればいいだけの話なんだが……気分の問題だ。
ちなみに姫路も隣で受けている。
ま、とりあえずチャチャっと終わらせますか。
……side out……
……雄二side……
「よし、終わった!!」
「……お疲れ様」
課題を何とか終わらせる事が出来た。
これで残りは遊べる。
ババア長は何か勘違いしてるみてぇだが、合宿なんだからやっぱり遊ばないとな！
「お、終わったぞ……」
「ごくろーさん。代表」
すぐ側では根本も無事に終えたようだ。
課題の締切りは明日の朝までなのでまだ余裕はあるが、コイツも遊びたかったんだろう。
「よし、空凪っ!! 今日こそはお前に……あれ、居ないのか？」
「ああ、あいつなら補充試験を受けてる」
「補充？ 何でこの時期に……ああ、アレか。女子が毎晩勝負を挑んでるっていう」
「そういう事だ。まぁ、１科目だけだしすぐに戻ってくるだろう」
「ところで坂本、本当にお前たちが盗撮犯なのか？
あの空凪が犯罪行為を黙って見過ごすようには思えないんだが……」
あいつ、妙に信頼されてるな。何かあったのか？
「一応最初から否定し続けてるんだがな……
何で盗撮犯扱いされるんだろうなぁ……」
「つまりお前たちではないという事で良いんだな？」
「ああ。ちなみに本当の犯人は清水で、もう先生にとっ捕まってる」
「何？ そうなのか!?」
「ああ。そうだ」
「……何故その事が公表されてないんだ？」
「一応2日目の朝の集会で言ってたけどな。
盗撮犯は捕まったのでご安心下さいって」
「そ、そういえば言ってたような……
だが、その時に犯人の名前までは公表されてなかったよな？」
「ああ。公表しててくれればもうちょいのんびり出来たんだろうけどなぁ」
「何で名前を公表しなかったんだ……？」
「代表、少しは自分で考えたら？」
「なっ、お前には分かるのか？」
「いくつか思いつくけどさ、名前を公表なんてしたらいじめの標的にされかねないじゃん。
この風評被害に極めて弱い学校でそんな事になったら大変でしょ？
学校側としては『盗撮犯は捕まえて適当な罰を下しましたよ。ご安心下さい』くらいしか言えなかったんじゃないかな」
「……なるほどな。
だが坂本、そういう話なら俺に言って大丈夫だったのか？」
「漠然とした噂が流れるくらいなら俺たちの疑いも減るし問題無いだろう」
むしろ自然とそうなるべきだと思うんだが、女子たちが自信満々に俺たちの所に来るからな……
「それより、大富豪でもやるのか？
一応トランプを預かってるが」
「当然、やらせてもらおう。他の面子は……」
「もちろん参加させてもらうよ～」
「……雄二と、仲良くなる」
何か力の入れどころがズレてる気がするが……まあいい。
「４人だな。じゃ、配るぞ」
４人全員に13～4枚のカードを配る。
俺の手札は……まあまあだな。
ダイヤの３が含まれるので開始は俺からだ。さて何から出していくか……
バタン!!
「今からＣクラスは、Ｆクラスに試召戦争を仕掛けるわ!!」
…………はぁ!?
「ちょっと待て。こんな所でか!? っていうかそもそも仕掛けられるのか!?」
「ええ。さっき先生に確認したわ。Ｆクラスにこれを断る権利は無いわ！」
私闘ではなく戦争という名目なら確かに断れないが……そこまでするのか!?
こんなハイリスクノーリターンの戦いにＣクラス全員が合意したとはとてもじゃないが思えないんだが。
「開始時刻は？」
「30分後よ。首を洗って待ってなさい!!」
ガラッ バタン
補足すると、戦争の開始は宣戦布告から30分以上開けなければならない。
不意打ちを防ぐ為の措置だな。
「……悪いな。トランプはしばらく後になりそうだ」
急いで作戦を立てなければ。