……合宿3日目……
本日も自習だ。
一応ノルマが設定されており、合宿中にやるべき課題のプリントが配布されるのだが……初日に全部終わらせてしまった。
追加でプリントを受け取る事も可能だが、そんな物好きは上位クラスの連中に限られるだろう。
尤も、こんなに早く終わらせる奴はそうそう居ないが。
僕の他には霧島くらい……かなぁ?
……いや、分からんな。まだ他に居る可能性も……
「おっはよ~」
「ああ、おはよう」
元気に挨拶してきたのはBクラス副代表、御空零。
ああ、まだ言ってなかったな。
今日はBクラスとの合同自習だ。
ちなみにAクラスは……
「……雄二、今日も一緒に勉強できる」
「ああ、それは助かるが当然のように膝の上に座ろうとするのは止めてくれ。
FクラスだけでなくBクラスの連中にも睨まれてる」
「さぁって、昨日の続きからね。34ページからよ」
「うぅ……純粋な善意じゃからこそ辛いのじゃ……」
結論を言うと『本当に自由な自習』だ。
優等生が多いからサボるような事は無いだろう……という学校側の判断だろうな。
ちなみに工藤と木下姉も……
「今日も一緒に頑張ろうね~」
「昨日は中途半端な所で終わっちゃったからね。頑張りましょう!」
「う、うん……頑張るよ……」
明久の所に居る。
康太は……気配が掴めないが、この部屋のどこかには居るだろう。
「……ところで御空」
「ん? 何?」
「お前は勉強しないのか?」
「ああ、課題なら昨日終わらせたわ」
……居たよ。3人目。
「追加のプリントを貰いに行かないという事は……遊ぶ気満々みたいだな」
「当然。空凪君は?」
「愚問だな。トランプを2デッキほど持ってきてある」
「おお~、やる気満々だね。何かする?」
「……二人で出来るのって何かあるか……?」
「スピードとか?」
「流石に勉強してる隣で激しい運動をするのはなぁ……」
「……それもそうね」
スピードみたいな競技(?)は集中力をかなり食うから……という事情もあったりするがな。
「誰か誘った方が早いかもな……」
「それもそうねぇ……」
さて、誰か居ないかなぁ……
「お~い御空、ちょっと訊きたい所が……」
「「あ、居た」」
Bクラス代表、根本恭二。
おあつらえ向きの人物じゃないか。
「い、忙しいみたいだな。それじゃあ俺は……」
「逃さないわ代表!!」
「ちょっと数ゲーム付き合ってもらうだけだ。たまには息抜きも必要だろう?」
「ま、待て! 俺はまだ課題が結構残って……」
「……女装」
「ぐぅっ、貴様脅す気か!?」
「いやいや脅すだなんてとんでもない。ちょっと頼み事をしてるだけさ」
「そうよ。ちょっとオネガイしてるだけよ?」
「う、うぐぐぐ……」
おかしな汗を流し始める根本。ちょっとやりすぎたか……?
「くっ、少しだけだぞ!」
「よぉっし!」
「だが、3人でトランプをする気か?」
「確かに苦しいわね……
最低でもあと一人……」
「ん~……霧島?」
「……雄二の勉強を見てるから無理」
「その雄二だって半分以上終わってるだろ?
雄二も、ちょっとくらい息抜きしたらどうだ?」
「息抜きも何も今日の勉強が始まったばかりなんだが……」
「……霧島、雄二とゲームすれば仲良くなれるぞ」
「行こう雄二!」
「ちょ、ちょっと待て! 腕を引っ張るな!!」
即答だったな……
「それじゃあ5人揃ったけど……何やる?」
「無難に大富豪で良いんじゃないか?」
そう提案したのは根本だ。
5人でプレイできるメジャーなトランプゲームって大富豪か、せいぜいババ抜きくらいだからなぁ……
「……いいだろう、剣っ! 今日こそ勝つ!!」
「やれるもんならやってみるといいさ」
「……私も、負けない」
「やるからには、全力でやらせてもらおう」
「それじゃ、始めましょうか」
「まずはダイヤの3を持ってる人から……って僕だな」
「おい、嫌な予感がするんだが……」
「え? じゃあご期待にお応えして……
「ちょちょちょちょっと!? どゆこと!?」
「……っ!」
「い、イカサマか!?」
「残念ながらと言うべきか、何もしてない」
「……おい、どういう事だ?」
「何か?」
「俺が渡した2枚の2がそのまま帰ってきたんだが?」
「強いて言うなら……邪魔だったから?」
「?? まあいい。
そらっ、
「なら8切り革命返し。
からの6を6枚」
「「「6枚っ!?」」」
「からの上がりっと」
「もうお前は下がってろよ!!」