バカ達と双子と学園生活   作:天星

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10 Sunlight Smile

  ……秀吉side……

 

 うむ、一体何故こんな事になっているのじゃろうか?

 確かワシらは雄二達の恋路を応援する為に来たはずなのじゃが……

 

『それでは、新郎は入場して下さい』

 

 ……何故ワシが新郎になっておるのじゃ?

 と言うか、この事に関して光はどう思っているんじゃろうか?

 仮とはいえ、軽々と結婚式を挙げても良いんじゃろうか?

 

『スケジュール押してますんで、早くお願いします』

 

 本物の結婚式じゃったらあの司会は絶対に起用されんじゃろうな。

 とりあえず、司会に言われた通りにステージに上がる。

 見えるのは客が全く居ない観客席とカメラマン一人。寂しいのぅ……

 

『それでは、新郎のプロフィール紹介を……

 ……省略します』

 

 ……ある意味安心じゃ。

 ワシが参加する事が決定したのは数分前じゃからな。

 

『それでは、新婦の入場です!』

 

 一斉に電源が落とされ、入場口がスポットライトで照らされる。

 なかなか良い演出じゃな。今度演劇部で使ってみようかのぅ。

 

 そして、そのライトで照らされた扉の向こうから現れる光。

 綺麗なドレスじゃな。終わったら演劇部で貰えないかのぅ?

 

「秀吉君」

「む? なんっ」

 

 ワシは言葉を詰まらせた。

 そこに居た光の表情は、驚くほど真剣なものじゃった。

 

「秀吉君、あなたのことが、好きです。

 他の誰よりも、あなたの事が、好き」

「…………へ?」

 

 えええええっ!? い、今ワシは告白されたのかの!?

 いや、ウェディング体験だから演技という可能性も……無いのぅ。

 演技かどうかなんて見れば簡単に分かる。

 

「秀吉君は、私の事をどう思ってる?」

「わ、ワシは……」

 

 ととととにかく落ち着くのじゃ!

 こういう時は、円周率、じゃなくて素数……じゃなくて自然数を……

 

プルルルッ

 

「って誰じゃこんな時に!!」

「ははっ、やっぱりお見通しかぁ……」

 

ガチャッ

 

『もしもし、私よ』

「あ、姉上!? 一体何じゃ!!」

『ま、まずは落ち着きなさい。深呼吸して』

「そ、そうじゃな。スーハースーハー……」

『落ち着いた?

 それじゃあ、剣君からの伝言だけど、

 『嘘偽りの無い本音を見せてみろ』

 ……だって』

「う、むぅぅぅ……」

 

 そ、そう言われてものぅ……

 

『時間がかかっても良いから、じっくりと考えてあげて。

 それじゃあ』ピッ

「…………」

 

 落ち着いて、考えてみる。

 光の問いかけは簡単じゃ。

 ワシが、光の事をどう思っているのか。

 ワシにとっての光とは……

 親友の妹?

 いや、それだけでは無い。

 もしかすると、ワシを、木下秀吉という人間を、ちゃんと見てくれた女の子……

 ………………

 

「…………光よ。

 ワシはお主の事を……

 

 

 

 ………信頼しておる」

「…………」

「じゃから……ワシと一緒に、居てほしい」

「…………うん!」

 

 その時の光は、とても美しい、満面の笑みを浮かべていた。

 本当に綺麗な、心の底からの、笑顔じゃった。

 

 

 

 

※ タグに『秀吉×オリ』を追加しました。


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