バカ達と双子と学園生活   作:天星

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01 協力者たち

  ……放課後 屋上……

 

 明久を呼びつけて連絡事項を伝える。

 ここならFFF団の耳には入らない……かなぁ……?

「……って訳だから、その日は開けておけ」

「え、えっと……もう一回言ってくれる?」

「木下優子がお前を如月ハイランドに誘ってるから予定を開けておけ」

「え、えっと……もう一回

「何十回やらせるんだ!! 一体何がしたいんだ!!」

「だって、あの木下さんが僕を誘うんだよ!? 信じられないよ!!」

「信じるか信じないかは勝手だが事実だ!! 受け入れろ!!」

 そうしないと話が進まないから。

「……あれ? そういえばチケットって……」

「企業の陰謀なら心配するな。渡したチケットはまっさらな代物だ」

「それなら良かった。無理矢理結婚させられたりしたら可哀想だからね」

 『嫌』ではなく『可哀想』か……いや、今はいい。

「でも、何で僕を誘ったんだろう?」

「僕に訊くな。本人に訊け」

「それもそうだね。ありがとう」

「あと、昼食のパンが大量に余ってるんだが、要るか?」

「☆☆☆☆☆っ!!」

「……日本語を喋れ」

 

 

 ……ちなみに雄二はノータッチだ。霧島が勝手になんとかするだろう。

 

 

 

 

  ……学園長室……

 

 

 まずはノック……と

 

コンコンッ

 

『誰だい?』

「2-Fの空凪です」

『入んな』

「失礼します」

 

ガチャッ   バタン

 

「何の用だい?」

「単刀直入にお訊きします。

 如月グループにコネがありますよね?」

「まあ、そりゃそうさね。コネが無かったらチケットなんて賞品に出来ないからね」

「では、如月ハイランドのプレオープンの日に人を送り込む事は可能ですか?」

「アンタねぇ……賞品のチケットを使って堂々と入ればいいじゃないか」

「4人しか入れないじゃないですかアレ」

「まったく贅沢だねぇ。

 …………流石にチケットをこれ以上融通してもらうのは不可能だね」

「では、客としてではなく、一日限りの従業員ならどうでしょうか?」

「ふむ……それくらいなら行けるかもしれないねぇ。

 でも、アタシにも立場がある。大したメリットもない話を先方に伝えるわけには行かないねぇ」

 要するにメリットを提示しろ……と。

「それなら簡単ですよ。

 プレオープンの日には僕の知り合いが何人か来ます。

 その2人の仲を取り持つ手助けをする。

 企業にとっても有益な条件かと」

 如月ハイランドはカップルが幸せになるというジンクスを作ろうとしてるらしいからな。

 そのカップルを良く知る人物の助けは借りたいだろう。

 ゴールインまで面倒を見る余裕は無いだろうが、関係良好になってくれれば十分な宣伝になるはずだ。

「……なるほど、分かった。連絡してみようじゃないか。

 行くのはアンタだけかい?」

「何人か集めようかと」

「そうかい。なら出来るだけ早く連絡しておくれよ」

「了解です。有難う御座いました。

 では失礼します」

 

 これで潜入手段は確保できた。

 後は……

 

 

 

  ……後日 放課後 屋上……

 

 

 今回呼んだのは4人。光に工藤、秀吉に康太だ。

「……と、言う訳で、僕達の代表が如月ハイランドでデート(?)する事になった。

 諸君らにはデートを盛り上げるのを手伝ってほしい」

 で、まず真っ先に協力してくれるのが……

「なかなか面白そうな事を企んでるね。ボクも協力するよ!」

 うん、工藤は全く問題ない。二つ返事で引き受けてくれるであろうことは容易に予想が付いた。

「…………人の恋路の応援をして何になる」

 康太は口ではこう言ってるが、本質的には親友……のはずだ。

 メンツとか、その辺の問題……かもしれない。

 ならば、大義名分を用意してやれば良い。

「カメラマンとして潜入すれば怪しまれずに写真撮り放題だぞ?」

「乗った!」

 陥落っと。

 ……決して欲望が嫉妬心に勝ったとか、そういうのでは無い……多分。

 まあいい、次っ、

「あの2人ならワシらが何もせずとも何とかなると思うのじゃが……」

「……おい秀吉、この僕が無駄な事をするとでも思っているのか?」

「うむ」

「…………」

 即答されるって、マンガやラノベではよく見かけるけど、実際にやられると結構ショックだなぁ……

「そ、そんなに落ち込むでない! ちゃんと協力するから元気を出すのじゃ!」

「え? そうか。何と言うか……ありがとう」

「お礼を言うのも何か間違ってる気がするのじゃが……」

 予定と微妙にズレてた気がしないでもないが、秀吉もOK。ラストは……

「ここで私が断ったら人でなしみたいじゃないのよ……

 手伝うわよ」

「OK。協力感謝する」

 これだけ頭数が揃ってれば何とかなるだろう。

「そういえば、明久は呼んでおらぬのか?

 あやつなら喜んで協力しそうなものじゃが……」

 明久が木下姉に誘われた事を言っても良いんだが……

「ああ、吉井くんならキミのお姉……

「あいつは用事があるから参加出来ないらしいぞ」

 工藤、当日に見せて驚かせた方が楽しいだろ?

「ふむ、それでは仕方ないのぅ。

 時に工藤よ、さっきは何を言いかけたのじゃ?」

「あ~……いや、何でもないよ~」

 僕の表情を見て何を思ってるのか察してくれたようだ。上手い具合に誤魔化す。

「まったく2人とも……まあ良いわ」

 そして光も空気を読んで黙っている。

「では、計画の詳細を詰めていく。

 諸君、意見があったら遠慮なく言ってくれ!」


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