バカ達と双子と学園生活   作:天星

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05 戦法

 『それでは、対戦する選手は入場して下さい』

 

 召喚大会第二回戦の科目は英語。担当は遠藤先生だ。

 トーナメント表を見る段階で相手のペアは二組まで絞り込めるが……まあ確定だろうな。

 

「お、お前らはっ!!」

「あ! アンタ!!」

 BCの代表カップル。

 やや青ざめている男がBクラスの根本で、鋭く睨みつけているのがCクラスの小山だな。

「久しぶりと言っておこう」

「Bクラスの根本は分かるけど……もう一人の方は?」

「ん? 知らなかったか? Cクラスの代表だ」

「ああ~、なるほど」

 さて、どう持っていこうか。

「ここで当たったのが運の尽きね。徹底的に叩き潰してあげるわ!!」

 随分と威勢が良いな。どこまで保つかな?

『それでは、第二回戦を始めます。

 召喚して下さい!』

 

 「「「「試獣召喚(サモン)!」」」」

 

 [フィールド:英語]

Bクラス 根本恭二 199点

Cクラス 小山友香 165点

 

Fクラス 吉井明久 59点

Fクラス 空凪剣  400点

 

「…………え?」

 あ、何かデジャヴだ。

「これまた無駄に高いね……」

「…………取れちまったもんは仕方ない」

 相手が根本だから、適当に脅迫すればあっさり引いてくれるとは思うが……

 今回は軽く脅すだけにしておこうか。

「おっと手が滑った」

「なっ!! それはっ!!」

 雄二から預かっていたブツを落とし、素早く拾い上げる。

 根本恭二女装写真集『生まれ変わったワタシを見て!!』である。

 ……正直、見てと言われても見たくはないが。

「? 今のは……?」

「ゆ、友香、気にするな! 試合に集中するぞ!」

 こんくらいやっとけば十分だろう。集中をちょっと乱すだけで十分だ。

 グレーな手段は回避できるのなら使わない方が良いからな。

「んじゃ、殺りますか!」

「うん、よろしく~」

「…………アキヒサ?」

「じょ、冗談だよ! 剣に丸投げして一人だけ楽しようだなんて全然思ってないヨ?」

 思ってたな、絶対。

「ほう、そうかそうか。

 明久は正直者だなぁー」

「いや~、そ、それほどでもないよ~」

「ご褒美にお前にとても重要な任務を与えよう」

「え、えっと……何……かな……?」

「なに、やることは簡単だ」

 自分の召喚獣に明久の召喚獣を掴ませながら……

「いっぺん逝ってこいやぁぁあ!!!!!」

 思いっきり、ぶん投げる!

「え? ちょ、またっ!? ムギュッ!」

 一回戦でも使ったこの作戦『明久ミサイル』はシンプルであるが故に穴が殆ど無い。

 強いて挙げるなら、前もって読まれていると相手の不意を突く効果が薄れる事と、相手があまりに強いと明久が瞬殺されてしまう事だ。

 その明久は試召戦争で木下姉に勝って、今日もBクラス中堅二人組を相手にして一歩も引かなかった奴だ。結構な手練でないと瞬殺は出来ないだろう。

 そして今回、相手は僕達が来た事に驚いていたようなので不意打ちに関しても有効だ。

 ……え? 明久自身の被害?

 何を生温い事を言っている。これは戦いだ! 損害を被らずに勝利するなど夢物語だ!!

 決して人任せな態度に腹を立てたわけではない。決してな!!

「ちょ、剣っ!! 遠いどこかを見てないで助けてよ!!」

「ん? ああ、スマンスマン。行くぞっ!」

 先ほどと同じように適当にナイフを投げる。

 

ヒュン サクッ

 

Cクラス 小山友香 Dead

 

「えっ!?」

 ところでこれダメージの計算式ってどうなってるんだろう?

 流石に威力が高すぎる気がするんだが……

「やあっ!!」

「ぐっ!!」

 

Bクラス 根本恭二 Dead

 

 そして明久も根本の召喚獣の急所に攻撃を叩き込み撃破。

 一回戦と全く変わらない流れだった気がするが……それほど完成した作戦という事だろう。

 ……多分。

 

『勝者、吉井・空凪ペアです!』


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