飛ばしちゃった人は戻ってね。
では、スタート」
3年に変装した2年による奇襲。
小暮葵や常夏コンビといった主要な人物の戦死。
まあ僕にはこれらの全てが成功したかを知る事はできないんだが、成功したと仮定して話を進めよう。
その場合、敵の代表はどういう行動を取るか?
奇襲を恐れるようになるのは言うまでもない。
であれば、守りやすい場所で孤立する事になる。
死角が少なく、出入り口も限られている場所。
……例えば、屋上とか。
……つまり、僕達の目の前とか。
「
「さぁ高城! 貴様に試験召喚勝負を申し込む!!!」
瑞希が白銀の腕輪を使ってフィールドを展開する。
え? 暴走するんじゃないかって? 安心しろ。彼女の振り分け試験の点数は0点だ。1回くらいなら普通に使えるはずだ。
「なっ、貴方達、一体どこから!?」
「この期に及んでテンプレの反応しかできないのか。
壁をよじ登ってきたに決まってるだろう!!」
「貴方っ、ふざけているんですか!?」
ホントだからしょうがない。
正確には『露断シリーズ』の鋭いナイフで校舎の壁面に傷を入れて取っ掛かりを作ってよじ登った。
その後、人の体重を支えられるロープやら、荷重を軽減する動滑車やらを使って瑞希を引っ張り上げた。
この辺の小道具はBクラスが以前使ったものを借りる事ができたので楽だった。
落ちた時の為のマットもしっかりと用意してくれるという用意周到っぷりだ。4階から落ちたらマットがあろうと無かろうとただじゃ済まないだろうが。
「ここに来た手段なんてもうどうでも良いだろう?
重要なのは、貴様は大将で、僕は貴様の敵で、そして今は試験召喚戦争の最中だという事だ。
戦う以外の何かがあるのか?」
「……良いでしょう。
[フィールド:社会]
3-A 高城雅春 645点(地理)
「……へー」
「どうしました? 驚きましたか?
ついでに一つ教えて差し上げましょう。私の腕輪の能力はノーコストの『封印』です。
貴方がどんな腕輪を用意していても私に勝つ事など不可能……」
「喚くな雑魚が。
2-F 空凪 剣 621点(日本史)
「なっ、どういう事ですか!? 貴方は400点しか取れないんじゃなかったのですか!?」
「……貴様は明久に劣るな。
奴ならすぐに答えを導き出していたぞ?」
「どういう意味ですか?」
「なに、簡単な話だ」
一呼吸置いて、告げる。
「死の淵から蘇ってきた奴は、強化されて帰ってくるってのがお約束なんだよ!!」
「…………は?」
「さあ始めよう、いや、終わらせよう。
このクソ下らない試召戦争を!!」
互いに武器を振るう。
これだけの高得点同士の戦いだと一回クリーンヒットするだけで点数が大きく削れるから割と短期決戦になりやすいんだが、この戦いではそんな事は無かった。
お互いにクリーンヒットが出ず、攻撃が微妙にかするだけ。
何故なら……
「……貴様、まさか観察処分者か? いや、それは無いか」
「貴方こそ、観察処分者の中で操作が下手な方と記憶していたのですが?」
高城の操作が予想以上に上手い。
そして僕の操作技術も相手の予想を上回っていたようだ。
かなりの召喚経験があると見て間違い無さそうだが……学園長の実験にでも付き合っていたのだろうか?
まあそんな事はどうでもいい。白銀の腕輪の持続時間も無限ではないのでどこかで突破口を作らなければ。
閃光モードで突破するのも一つの手なのだが、万が一失敗した時にフォロー不可能だし、こんなのに使うのはシャクだ。
「……そう言えば、貴方とは話しておきたいと思っていました」
「……心理戦フェイズという奴か。良いだろう。受けて立とう」
相手に動揺を与える事ができたら、それは突破口になり得る。
あえて乗ってやろうじゃないか。
「前に貴方に問うた質問の答え、あれは今なお変わらないのですか?」
「ああ、『心の底からどうでもいいです』って答えたアレか。変わらないが、それがどうかしたか?」
「……そうですか。では、これを聞いても同じ答えが返せますか?」
何だろう、何を言う気だろう? 少しワクワクするな。
「彼女に、海外の姉妹校から交換留学の話が来ているという事はご存知ですか?」
「「…………え?」」
いや、あの……
「向こうではこちらのAクラスと同じ待遇だそうですし、何より海外という環境は成長過程において重要な経験となります。
彼女の将来を考えれば非常に良い話と言えるでしょう。あなたもそうは思いませんか?」
えっと……う~ん……
よし、相手の策に乗ろうじゃないか。
「あの、それが前後の文とどう関係が?」
「彼女はFクラスという環境に居ながらも精一杯努力しています。
今回の件は彼女の努力に見合った正しい待遇へと引き上げるものです。
ですが彼女は貴方が居るせいでこの件に否定的です。
彼女の努力なんてどうでも良いというであれば、大人しく身を引きなさい」
「あ~……なるほど。失礼した」
「分かっていただけましたか?
では、大人しく消えてください!」
「え、ここで切るの? よりによってここで切るの!?」
「続きが気になって仕方ないという顔をしているな。
そんな貴様の為に作者が
「え、ホント?」
「ホントだ。
……が、ネタバレを含むのでワンクッション置くぞ。
活動報告に載せる。
『https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=123382&uid=39849』
「オッケー。見に行くわ!!」
「では、明日もお楽しみに!」