バカ達と双子と学園生活   作:天星

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「それでは行ってみよ~。

 枝垂桜.さん、
 RC314さん、
 蒼龍さん、
 青空猫さん、
 火水 総さん、
 泡沫´さん、

 感想ありがとうございました!

 では、スタート」


18 あの日の真相

 さて、ここで再び時計の針を戻そう。

 Fクラス対Cクラス戦、その序盤の真相について語ろう。

 そうだな……小山の視点で語ってもらう方が分かりやすいかな。

 

 

  ………………

 

 

 私が小暮先輩から教えてもらった策はFクラスに対して凄く有効そうだった。

 ほんの少し燃料を投下するだけでFクラス生の大多数が暴徒と化し、内部分裂を引き起こす。

 陽影に相談したら『有効ではあるだろうけど、お前さんは後悔するんじゃね?』とか意味の分からない事を言ってたけど、有効だという部分には同意してもらえたみたいなので早速実践した。

 

 だけど、空凪はとんでもない方法で開戦までに沈静化させた。

 何で知ってるのかって?

 それは勿論……すぐ傍で見ていたからだ。

 

 

 

『須川! 貴様も無駄な怪我人は出したくないだろう。5分で終わるから、話を聞いてくれないか?』

 

 策の効果を見ておく為に、私は扉越しに様子を伺っていた。

 この一言で一旦沈静化したのは少し焦ったけど、それならそれで次の燃料を投下するだけだ。

 

『まずは、場所を移動させてくれないか?』

 

「あ、逃げないと」

 

 下手に姿を見せるとどういう事になるか分からない。

 とりあえず……近くの空き教室に逃げ込む。

 

「って、こっちに来る!?」

 

 不幸な事に、空凪が指定した移動先と被ったようだ。

 でも見つかるわけにはいかないから掃除用具入れに隠れる。

 こんなとこに隠れたの小学校以来よ……

 

 少し遅れて、空凪とその他Fクラス生が入ってくる。

 

『それで、何をしようっていうんだ?』

『……貴様等に僕から要求するのは次の2点だ。

 一つ、戦争が始まったら雄二に全面協力する事。

 二つ、これ以上僕と瑞希との関係に関する話題を蒸し返さない事。

 以上だ』

 

 いや、都合良すぎない? 何をする気なの?

 

『お前にとって都合が良すぎないか? もしそれを受け入れたら何をするって言うんだ?』

『何も』

『何だと!?』

『これから50分間、何もしない。

 お前たちが何をしようと、一切抵抗しない』

 

 え?

 

『正気、なのか?』

『僕が正気であった事が今までにあったとでも?』

 

 ちょっと待って? そんな事になったら……

 

『さぁ、どうする? この条件で受けてくれるか?』

 

 いやいや、あの超人の事だ。きっと平気な顔で耐え抜くんだろう。

 そうだ! そうに違いない!!

 

 

 

 

 

 

 

 ……今にして思えば、そんなのはただの言い訳だった。

 あのFFF団の暴行を受けてただで済む訳が無い。そんなの考えればすぐに分かる事だ。

 その場で出ていけばそれは止められたのかもしれない。

 けど、私は『止めなかった』んだ。

 掃除用具入れの穴から見ている事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 結局、私が出て行ったのは暴行が終わってFFF団が去った後だった。

 教室に残っているのは、ボロボロになった空凪だけ。

 無視して去るべき、いえ、そもそもまだ出るべきでなかったのかもしれないけど、私は声を掛けずにはいられなかった。

 

「……アンタ、何やってんのよ」

「…………ん? ああ、その声は小山か」

「ええ」

「……まさか、こんな手で来るとはな。

 ……いや、お前が、これを考え付くとは思えない。誰か別の、別の人間の案だな」

「アンタ、バカなの!? もっと言う事は無いの!?

 こんな……こんなになって!!」

 

 今何気にバカにされた気がするけど、そんなの関係ない。

 もっとあるでしょうが! 恨み言を言うとか!

 

「ふ、ふふ、ふはははは!」

「何がおかしいのよ」

「まさかとは思うが、僕が恨んでいるとでも、思っているのか?

 こうなる事は分かりきっていた、とまではいわずとも、可能性くらいは考えていた、はずだ」

 

 そんな訳が無い!

 こんなはずじゃなかった。こんなはずじゃなかったのに!!

 

「もっと自慢しろよ。もっと勝ち誇れよ! もっと嘲笑えよ!!

 自分の手を一切汚す事無く、貴様は僕を無力化した!

 お前のせいで僕が怪我をした? 違うな。これは紛れもなく……

 ……お前の成果だ」

「ッッッ!!!」

 

 『お前の成果』

 そう言われて、私の中で何かが弾けた。

 

「ふっざけんじゃないわよ!!」

「ん? 何か?」

「私はこんな事望んでない。絶対に認めない!!」

「ふっ、おかしな奴だ……

 ってオイ、ちょっと待て、何をする」

「アンタを、保健室に、連れてくわ!

 ああ、重いっ!」

 

 目の前のけが人を何とか起こしておぶる。

 無駄に重いわね。文化部の女子にはキツいってのに。

 

「愚かな……Cクラスにでも運び込めば開幕と同時に補習室に叩き込めるぞ?」

「いいから黙ってなさい!!」

「チッ、好きにしろ」

 

 

  ……保健室……

 

 

「あ~、疲れた」

「お前なぁ……」

「先生は……居ないみたいね」

 

 適当なベッドに空凪を降ろす。

 うぅ、制服が少し汚れた。洗いたいけどそんな余裕は無い。

 

「……ふむ、そろそろ開戦だな」

「え、もうそんな時間!? 私はもう行くから!!」

「まあ待ちたまえ」

「何? 急いでるんだけど?」

「不本意だが、大変不本意だが、貴様には借りができた。

 この借りはなんらかの形でいつか返す」

「あっそ。期待しないで待っておくわ」




「とまあこんな事があったわけだな」

「私だったらとりあえず戦死させてから保健室に送るわね」

「このエピソードがあった前提でCクラス戦を読み返してみると面白いかもな。
 伏線はかなり張ったつもりだそうだ」

「小山さんと陽影くんの会話とか、劣勢になったCクラスの対応の遅さとか、あとキミの行動の説明辺りかな?」

「そそ。その辺」


「では、明日もお楽しみに!」

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