想星さん、
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泡沫´さん、
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RC314さん、
感想ありがとうございました!
では、スタート」
姫路さんっていうのはどういう人間だっただろうか?
仮にそう問われればいくらでも答えられると思うけど、その中に『素直で嘘が下手』っていうのがある。
最近の姫路さんは剣の影響(洗脳?)なのか色々と変わった気がするけど、本質的な部分は実はあまり変わってない気がする。
つまり何が言いたいかと言うと……
「私も貴方が好きです♪」
姫路さんが発したその『嘘』はもの凄く下手で、10人中10人、いや、100人中100人が嘘だと断定できる。そんな感じの嘘だった。
いや、これって逆に上手いのかな? すぐバレるって意味では史上最低のクオリティだと思うけど。
「そんな……そんな馬鹿なっ!!」
無駄に前向きな高城先輩ですらはっきりと分かったようだ。
って言うか、単純に『嫌いです』って言うよりずっとダメージが大きいんじゃないだろうか?
「? 何が馬鹿なのですか?」
「貴女は、貴女はそんな人では無かったはずだ!!」
「そんな事言われましても……それより、これで契約を履行して頂けますよね?」
「契約? 一体何の事ですか?」
「すっとぼけないで下さい。我々が交わした契約です。
もし履行されない場合は……そうですね、52名の戦死を禁ずる重要な契約です。ペナルティには代表者の戦死が相応しいでしょう」
「お、お待ち下さい! さっきから一体何を言っているのですか!?」
「だから、私とあなたが交わした契約ですよ。
『私も貴方が好きですと言えば私たち全員が戦闘可能な状態で霧島さんと30分以内に合流させてもらえるんですか?』
と私が言ったらあなたは了承の返事を返しました。
念のために再確認しましたが、それでもあなたは了承の返事を返しました。
たくさんの生徒が聞いていましたし、教師の方が2名も聞いていらっしゃったので普通にクラス間の契約として成立するでしょう」
「そんなのは屁理屈です!
大体、代表でもない貴女と話したくらいでクラス間の契約だなどと認められるわけが……」
「え? 私、Fクラスの副代表ですけど?」
「「…………え?」」
あれ? 今、高城先輩の声に雄二の声がハモったような……
「? 何か驚く事でも?
本来の副代表である空くんが欠席しているから代わりの副代表を立てるのは当然の事ですし、私の総合成績は代表と副代表を除いてトップですから何の問題も無いですよ?」
「だからと言って、勝手に副代表を名乗るなど……」
「え? 空くんから預かった委任状的なものなら今日の朝に担任の西村先生に提出しましたけど?」
「何ですって!?」
「ほら、ここに写しもありますよ。
あ、印刷する時に操作ミスして余分に刷っちゃったので、余った紙は坂本くんに預けておきます」
「あ、ああ」
雄二に1枚の紙が手渡される。
後ろから覗き込んでみるとこんな事が書かれていた。
・空凪剣(以下、甲とする)は姫路瑞希(以下、乙とする)に文月学園第二学年Fクラスの副代表としての全権を委任する。
・委任期間は本紙を文月学園第二学年Fクラスの担任教師である西村宗一(以下、丙とする)に提出した瞬間から1ヶ月とする。
・甲及び乙の両者の同意があれば丙の立会いの下に委任期間を変更する事ができる。
文月学園第二学年Fクラス副代表 空凪剣 Soranagi Turugi 印 印 印 印 印 印
文月学園第二学年Fクラス一般生徒 姫路瑞希 印
文月学園第二学年Fクラス担任教師 ____
提出日時 平成_年_月_日
「いや~、空くんったらやりすぎですよね~。自分の意志で委任する事を明確にするために日本語の署名にローマ字の署名、印鑑に指5本使った拇印までやるんですから。
あ、そうそう、これはコピーなので白黒印刷ですけど、原本には自分の血で拇印してるんですよ。スゴいですよね~。私は署名に印鑑だけですよ。
あと、提出済みの原本には西村先生の印鑑及び署名と提出日時もしっかりはっきり記載されているのでご安心を」
剣……やりすぎじゃない?
確かにこれなら誰にも文句言われないと思うけどさ。
「私が副代表を引き継ぐ正当な理由が存在し、しかも代表から交渉を任されたんです。
故に、これはどう考えてもクラス間の協定による契約でしょう」
「ふざけないで下さい! 私は貴女個人と話していたのです! クラス間の協定では無い!!」
「ふざけているのはあなたの方です。仮に個人的な話題だったとして、クラス単位で戦死させる行為を禁ずるわけが無いでしょう。
私たちにだけ契約を履行させておいて、自分が履行する番になったらそんな見苦しい言い訳で誤魔化そうとするなんて、私たちをバカにしているんですか?」
相手を全力でバカにしているのは姫路さんの方な気がするけど、字面だけ見たら姫路さんの主張の方が筋が通ってる気がする。何でだろう?
「では、失礼させて頂きます」
「姫路瑞希嬢、お待ち下さ
「立場を弁えなさい!! 私たちが何もせずに真っ直ぐに帰ろうとするのはせめてもの温情ですよ?
それとも、今この場で戦いたいんですか? 私たちの誰か戦死した瞬間にあなたの敗北も確定しますけど?」
凄い、数分前と比べて立場が完全にひっくり返ったよ。
……屁理屈なだけの気がしないでもないけど。
「……では、行きましょうか。皆さん」
そう言いながら振り向いた姫路さんは、凄く綺麗な笑顔を浮かべていた。
「……空凪くん?」
「何か?」
「……やりすぎじゃない?」
「委任状っぽいアレの事か?
アレを書いた時点で僕が登校できないのはほぼ確定だったんで絶対にいちゃもんを付けられないようにやった」
「いやまあそれもやりすぎなんだけどさ……
姫路さんが無双してる。って言うかやり口が完璧に君のものだったよね!?」
「ふむ、確かにな。
前話で前に進み出る時に『坂本くん』じゃなくて『代表』って呼ぶところからしてある種の伏線だしな」
「あ~、あったわね。
私的な用事なら名前呼び、公的な用事なら称号で呼ぶのは君のやり口、って言うか癖みたいなもんよね」
「癖……まあそうだな。
まあこんな喋り方をする奴は僕くらいだから、あの一瞬で雄二が僕の気配を感じ取ったのも無理は無いな」
「ああ、あの描写ってやっぱりそういう意味だったのね。
しっかし、原作のアレを契約レベルまで持っていくって……」
「実際問題として、原作でも『全員が戦闘可能な状態で合流する』事をしっかりと明言しておけば決着が付いていた可能性があった。
あの時に霧島を助け出すのはギリギリだったからほんの少しだけのんびりと移動するだけで霧島が戦死。そして『戦闘不可能』の状態になるので高城の契約違反だ。
どちらが優先されるかは意見が割れるかもしれないが、引き分けになる可能性があるだけで十分だろう」
「いや、原作Fクラスからは霧島さんが無茶してるなんて分からなかったんじゃないの?」
「まあそうだな。これはあくまで結果論だ。
だが、やはり明言はすべきだったと思うぞ?
そうすりゃあ新校舎から撤退する時に一切戦闘せずに済む。
「まあ、それはあるわね。
そもそも、例えば原作では『話を聞けば教室から見逃してもらえる』的な感じだったわけだけど、それだけだと教室から出たら襲われても何も文句言えないし」
「そうそう。あのやりとり自体が全体的に詰めが甘いんだよ。
高城の口約束だから当然と言えば当然なんだけどさ。そういうのに強そうな雄二も自暴自棄になってたし」
「坂本君がちゃんとしてればまた少し違った展開になってたのかもね」
「『皆さんをここから見逃してあげましょう』みたいな事を言われた時にさらっと『ここからだけ見逃されても意味が無え。俺たちが翔子たちと合流するまでを約束しろ。もちろん、戦死させて送るとかじゃなく戦闘可能な状態でな!』って言ってれば普通に通ったと思うんだよな」
「あの状況で、高城先輩の性格を考えたら通るでしょうね……」
「そういうわけで、本作ではグレーのラインの交渉を追及して最大の利益を得る事を目標に組み立てた。副代表の権限(笑)とかはグレーを白に近づける為の小道具だな。
まぁ、学園側に開戦前にFクラス副代表を確認しない高城が悪いな♪」
「そう言えば、3話で姫路さんが微妙に遅れて教室に来たのって……」
「アレの提出だな。
可能な限りギリギリのタイミングで提出した」
「えげつないなぁ……」
「これでも自重してるぞ。
突入班、それに加えて根本と霧島は突入班が帰ってきて合流するまでは戦死させられないわけだ。
だったら、合流そっちのけで戦いを挑めば一方的にボコボコにできる」
「いや、流石にそれは……」
「まぁ、流石にマズいわなぁ。
暗黙の了解として『合流を最優先にする』みたいな文言があったと見るべきだろう。
ただ、理屈の上では可能ではある。
こちらはしっかりと契約を順守したんだからな。
あの文章の発音が戦争に何の影響があったのかは全くさっぱり分からんが、あの高城がわざわざ彼らを見逃してまでさせた行動だ。何か凄い意図が隠されていたに違いないからな!!」
「Bクラス25人とFクラス全員、合計約75人の戦死と引き換えにする行動……なのよね。戦いになってたら勿論無傷とは行かないからある程度は差し引かれるけど」
「あんまりそういう事を言いすぎると先生からの反感を買って面倒な事になりかねないがな。
……今回の話では瑞希が脅しに使ってたが」
「……姫路さんも変わったんだなぁ……(遠い目)」
「ちなみに、今回の件は原作の不満点というわけではない。いや、不満と言えなくも無いが、不自然に感じたというほどではない。
……強いていうなら高城の行動が不自然だが」
「それを言ったらおしまいだと思う」
「まあなぁ」
「では、明日もお楽しみに!」