バカ達と双子と学園生活   作:天星

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「それじゃあ今日も行ってみましょ~

 クロードさん、
 走り高跳びさん、
 蒼龍さん、
 RC314さん、
 槍バカさん、
 光明さん、
 凛@小毬さん、
 泡沫´さん、
 久未美男さん、

 感想ありがとうございました!

 では、スタート」


08 告白

「ようこそ、Fクラス、Bクラスの皆さん」

 

 そんな言葉をかけてきたのは余裕そうな表情で教室の一番奥に立っていた高城だった。

 

「随分と余裕そうだな。状況分かってんのか?」

「ええ。当然です。むしろ分かっていないのは貴方たちなのでは?」

 

 この余裕は一体何なんだ?

 奴らの戦力はAクラスの生徒10名ちょい、それに対してこちらは厳選されたBクラス25名とFクラス25名だ。

 この縦に長く横に狭いCクラス教室では全員で戦うのは無理だろうが、それでも余裕で勝てる計算になる。

 仮に高城の召喚獣が翔子みたいに反則級の能力を持っていたとしてもこの戦力なら何とかなるはずだ。

 

「大方、『この戦力なら余裕で勝てる』とか思っているんでしょう?」

「それがどうした」

「開き直りますか。では、貴方の傲慢を叩き直して差し上げましょう。

 皆さん、召喚して下さい」

 

「「「「「「「「「「試獣召喚(サモン)!!」」」」」」」」」」

 

 [フィールド:数学]

 

3-A 10名

532、576、564、531、622、555、521、573、545、602点

 

「…………は?」

 

 ちょっと待て、何だこれ?

 2-Aの平均点を軽く上回ってるのは当然で、翔子の平均点よりも上なんだが?

 目の異常を疑いよく目を擦ってからまた点数を見る。

 ……なるほど。

 

「全軍撤退! 急げ!!!」

 

 絶対に勝てない! って言うのは言い過ぎだが、少なくともこんな狭い場所で戦って良い相手ではない。

 取るべき行動は即撤退しかあり得ない。

 勝負を挑まれる前に踵を返して教室から飛び出る。

 そしてそのまま階段まで直行する。

 だが……

 

「あら、性急な殿方は淑女に嫌われてしまいますわよ?」

 

 どこからか突然飛び出してた集団に阻まれた。

 

「アンタは……小暮っ!」

「はい。3-A所属の小暮葵ですよ」

 

 一体どこから? ……そうか。上の階から降りてきたのか。そこまでは調べなかった。

 いや、そもそもこんな目立つ先輩の存在をすっかり忘れてた。クソッ!

 どうする? 強行突破するか? できるのか?

 

「おう坂本よぉ、下手な事は考えねぇ方が良いぜ?」

「教室に居た連中だけが強いだなんて思うなよ?」

 

 常夏コンビっ! そう言えばこいつらも居なかった。

 何で気付けなかった? どうして!?

 

「それは貴方が慢心していたからですよ」

 

 ついさっき飛び出した教室から高城が悠々と歩いてくる。

 

「慢心、だと?」

「ええ。貴方たちは午前の戦闘を有利に進めた事で我々を軽んじた。

 他のクラスが弱かったからAクラスも普通に倒せるだろうと慢心した。それがこのザマですよ」

「ぐっ」

 

 否定、できない。

 油断しない油断しないと言い聞かせていたつもりでも心のどこかで3年を舐めていたのかもしれない。

 いや、今はそんな事は今はどうでもいい。どう動く?

 強行突破して少しでも生還させるか、高城に特攻して一か八かの勝利を目指すか。

 

「ふふっ、そう慌てないでください。

 皆さんの態度次第では、皆さんを解放するのも吝かではありませんから」

「何だと?」

 

 ここまで優位な状況で俺たちを解放する、だと?

 となると、う~む……

 

「やっぱり精神科に送った方が……」

「明久、お前もそう思うか」

「緊急事態の場合は戦争中でも電話は使えたかのぅ?」

「119番なら良いんじゃないの?」

「せっかくだから救急ヘリを呼んで急いで送ってもらいましょう」

「…………文月第二病院に運んでもらうと良い。第一はヤブが多い」

 

「……貴方たち死にたいんですか?」

 

 わー、高城が怒ったー。

 って言うかそんな戯れ言、最初から信じてない。

 俺がすべき事は話を適当に引き伸ばして敵のアホみたいな戦力に少しでも無駄な時間を使わせる事と強行突破する為の隙を伺う事だ。

 特攻? まあ無理っぽいから止めておく。

 

「まあ、一応話だけは聞いてやろうじゃないか。高城とやら」

「貴方はっ!! ……まあ良いでしょう。

 私はそこに居る姫路瑞希嬢にお話があるのです」

「おまっ! 戦争中にまでそんな事言ってんのか!? アホなのか!?」

「ふむ、確かにこの行動で私は周囲の皆様からの信頼を損なうでしょう。しかし、私にとって姫路瑞希嬢はそんなリスクを負ってでも話をしたい程の方なのです」

 

 開き直ったストーカーって不気味だな……

 

「あいつはあんな事言ってるが……姫路、どうする?」

「そうですね……代表、私に任せて下さい」

「ん? お、おう」

 

 今一瞬、ヤツが居たような……いや、気のせいだろう。

 姫路が一歩前に出る。

 にこやかな微笑みを顔に貼り付けた姫路とにこやかな微笑みを浮かべる高城とが対峙した。

 

「お話とは何でしょうか?」

「ようやくしっかりとお話ができるのですね。では、単刀直入に言わせて頂きます」

 

 高城は一歩近づき、姫路の手を取りこう言った。

 

「姫路瑞希嬢、私は、貴女の事が好きです」

 

 これだけの人が居る中で堂々と、告白をした。

 ……2年の反応の大半が『うん、知ってた』とか『病んだストーカーの癖に気持ち悪い』とかいう反応だったのは気にしないでおこう。

 

「私についてきて下さい。私なら、貴女を幸せにできます。貴女の待遇を正しいものへと直す事ができます」

 

 高城が次々と口説き文句を並べる。

 普通なら煽る野次馬が出てきそうなもんだが、2年の雰囲気が極限まで白けてるせいか3年からもそんな空気を読めない奴は出てこなかった。

 高城の悪評は2年の間では凄い広まってるからな……それが士気を上げるのにかなり役立っているので少々複雑な気分だ。3年もそんな空気の中でよく戦えてるよなぁ……

 

「……高城先輩」

「はい、何でしょうか?」

「もしここで、『私も貴方が好きです』と言えば私たち全員が戦闘可能な状態で霧島さんと30分以内に合流させてもらえるんですか?」

「? ええ、はい。と言うかそんな事をせずとも……」

「なるほど、間違いありませんね?」

「は、はい。勿論ですよ」

「そうですか。では……」

 

 姫路は一呼吸置いてから、こう言った。

 

「私も貴方が好きです♪」




「まさかの3-A魔改造という」

「まさかすぎるって言うか魔改造すぎるでしょうが!!」

「だってこうでもしないと今回の話で終わっちまうからなぁ……」

「もっと他にやりようが無かったの!?」

「一応案として3-A四天王みたいなのを作って、
 『部長がやられたか』
 『しかし、奴は四天王の中でも最弱』
 『2年如きに負けるとは、3年の面汚しめ』
 みたいなのをやろうかな~って」

「いろいろツッコミたいんですけど……?」

「ん? ああ。部長というのは演劇部の部長の事だ。
 中二病な台本を書く事で定評のある」

「ああ……居たわねそんなの……
 って、そうじゃなくて!! 何でそうしなかったのよ!? 普通に良い案に見えるけど!?」

「だって、4人だけで雄二に特攻を断念させようとしたら600点じゃ足りないぞ?
 最低でも700~800点になるんじゃないかな」

「……採用案とどっちがマシなのかしらね……?」

「どっちもどっちだろ。
 調子に乗って2年のキャラをインフレさせた駄作者の自業自得だな」




「……さて、今回は後書きのネタが豊富ね」

「話すべき内容が多すぎるとも言う」

「……まさかの発言だったわね。姫路さん」

「そうか? 僕が瑞希の立場だったら迷わずああ言うぞ」

「いや、キミにとってはそうかもしんないけどさぁ!!
 っていうか彼氏として何か思う所は無いわけ!?」

「だってなぁ……
 まぁ、次回にでもわかるんじゃないか?」

「……たまにスゴイ所で切るわよね。うちの作者」

「かもな」


「では、明日も楽しみに!」

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