バカ達と双子と学園生活   作:天星

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「さあ始めましょ~。

 想星さん、
 走り高跳びさん、
 蒼龍さん、
 槍バカさん、
 おぺいさん、
 RC314さん、
 クロードさん、
 泡沫´さん、
 榊遊矢さん、
 久未美男さん、
 枝垂桜.さん、
 陽炎さんLv.1さん、

 感想ありがとうございました!

 では、スタート」


06 強襲作戦

「打って出る、だと?」

「ええ。その方が手っ取り早いし」

 

 クラス代表の会議で最初に出たのは小山からのそんな意見だった。

 

「午前の戦いでは終始こちらが優勢。

 Eクラスだけは結構消耗したけど、経験の差を考えたらむしろ上出来だったわ」

「それはそうだが……」

 

 確かにそうなんだが、物事が都合良く進みすぎている気がする。

 剣とかならこの言葉にできない違和感を上手く表現してくれそうなんだが……う~む……

 とりあえず反論しておこう。

 

「確かに、終始優勢だったが、それはつまりこのまま同じ事を続けていても勝てるって事だ。違うか?」

「相手が戦術を変えてきたらどうするの? 勝利は確定とまでは言えないわね」

「ぐっ」

 

 確かにそれも一理ある。

 相手に戦術を変える隙を与えずに一気に倒した方がリスクは少ないのかもしれない。

 

「……じゃあ仮に仕掛けていくとして、具体的にどうする気だ?」

「そうね、最初は午前と大体同じ戦術を取っておいて、相手のAクラスが出てきたら突入部隊を送り込む、とか」

 

 相手の防衛戦力が少なくなった隙を突いて突入か。悪くない作戦ではあるな。

 そう、普通に良い作戦なんだよ。

 ここでもし小山が『相手がザコだから適当でも大丈夫でしょ』みたいな風に言っていたなら全力で反対するんだがな。

 ……仕方ない。もう少し話を進めてみるか。

 

「突入部隊の面子はどうするんだ?」

「坂本君は誰が良いと思う?」

「俺が決めるのか!?

 そうだな……まず、突入する為の道を強引に作る為に殲滅力の高い腕輪の持ち主。それに加えて半分程度まで減ったAクラスを落とせる戦力と、迅速に行動できる体力や度胸がある連中、あと優秀な現場指揮官が必要になるな」

 

 具体的には、姫路か久保、もしくは御空みたいな腕輪能力の持ち主、Fクラスの半数程度とAクラスかBクラスを半数程度になるか?

 いや、Aクラスは拠点の警護とDEクラスへの派遣があるから動かす余力は無いか。

 Bクラス半数程度とFクラスの半数程度だな。

 

「じゃあ、坂本君行ける?」

「俺かよ!? ……俺かぁ……」

 

 奇襲作戦の現場指揮官として一番適任なのは俺だよなぁ。

 Fクラスをまとめられるのは俺くらいだし、不測の事態に対するアドリブ力も俺を超える奴はそう居ないだろう。

 リスクとして俺が戦死するとFクラス全員が戦闘不能になるという事が挙げられるが、これだけの戦力が居れば仮に敵に囲まれても強行突破は可能だろう。

 これが成功すれば一気に決着を付ける事ができる。

 ……やってみるか?

 

「翔子はどう思う?」

「……雄二が行けるなら、任せる」

「他の連中は?」

「俺が行けって話だったら全力で断ってたが、お前なら賛成だ」

「おい根本、それはどういう意味だ」

「ああいや、貶してるわけでもお前の命がどうでも良いって意味でもなく、単純にお前の方がずっと生存率が高いだろうって事だ」

「……分かった。それじゃあやらせてもらおう。

 Fクラスの半数とBクラスの半数程度を使わせてくれ」

「半分……まあいいか。適当な人員を見繕っておこう」

 

 

「……それじゃあ、他に何か意見や話したい事はある?」

「あ、じゃあ俺から。

 Dクラスもそこそこ消耗してるからCクラスと場所を入れ替えたい」

「……小山さん、大丈夫?」

「ええ。問題ないわ。Dクラスに入ってるAクラスの生徒は……私が預かって良いのかしらね?」

「……そうして。それじゃあ戦争が始まったら上手く入れ替わって。

 

 ……他には? ……無い? なら会議は終了。各自頑張って」

 

 

 

 

 

 

 

「……以上が、今回の会議の流れだ」

 

 僕達の教室に戻ってきた雄二は午後の行動について説明してくれた。

 要するに、あのいけ好かない高城先輩を直接叩こうって事らしい。

 

「雄二、さっきFクラスを『半数くらい』って言ってたけど、誰が行くの?」

「お前と康太と秀吉、島田と姫路は確定だ。

 温存しても俺がやられたら意味が無いし、いつものメンバーの方が動きやすいからな。

 あと、須川は入れない」

「坂本、どういう事だ?」

「安心しろ。お前が役立たずっていう意味じゃない、むしろ逆だ。

 お前には残った半数と前線に残って指揮を出してもらう」

 

 なるほど、クラスを2つに分けるからもう片方の指揮官が要るのか。

 須川くんなら適任だろう。

 

「クラスの半数の指揮……俺で大丈夫なのか?」

「おいおい、いつもこの学園のリア充を40人以上の軍団で抹殺してまわってる奴の台詞か?」

「いや、それとこれとは話が違……」

「では良い事、じゃなくて悪い事を教えてやろう」

「悪い事?」

「この学園の三年生は7割がリア充だ!」

「「「「「な、なんだってーーーー!?」」」」」

 

 な、何だって!? そんなの初めて聞いたよ!

 クラスの皆が殺気立ち、一部の人はお馴染みの黒装束を纏い出した。

 彼らの気持ちはよく分かる。僕も付き合ってる人が居なかったら今すぐにでも武器を手に新校舎へと突撃していただろう。

 

「さ、坂本! それは確かな情報なのか!?」

「フッ、俺が今までに嘘を吐いた事があったか?」

 

 とりあえず、両手の指で数えられないどころか腕がもう10本あっても数えられないくらいには嘘を吐いてると思う。

 ってことは……嘘って事だね。うん。

 

「中には高城みたいな残念な奴も居るが……それでも約7割がリア充だという情報が入っている。

 さて、お前たちは今すぐにでも奴等を屠りたいであろう。

 だが考えてもみろ。今は試召戦争中だ。

 今だからこそできる抹殺方法で仕留めるぞ」

「補習室送り、だな?」

「ご名答。お前たちは何にも考えずに目の前の敵を倒せば良い。そうするだけで奴等はこの世の地獄を見る事になるだろう。

 前線では空凪の妹が指揮してるから、その指示を聞いて適当な戦力を送り込むだけ。簡単だろ?」

「ああ! やってやる!!」

「んじゃ、お前が指揮する分の約20名を選んでおいてくれ。残った分を突入部隊に回す」

「了解!」

 

 午前中はもの凄く暇で退屈な戦争だったけど、午後は激戦になりそうだ。

 気を引き締めていこう。




「坂本くん、ホントに人を煽るのが上手いね……」

「っていうか、堂々と嘘ついたな……」

「つまりいつも通りね」

「だな」


「では、明日もお楽しみに!」

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