バカ達と双子と学園生活   作:天星

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「さていってみよ~。

 初心者ハムカツさん、
 久未美男さん、
 走り高跳びさん、
 蒼龍さん、
 RC314さん、
 青空猫さん、
 泡沫´さん、
 枝垂桜.さん、
 陽炎さんLv.1さん、

 感想ありがとうございました!

 では、スタート」


05 権利

「少々宜しいでしょうか?」

 

 僕達が屋上で楽しく談笑していると聞きなれない声が聞こえた。

 聞きなれない声だったんですぐには誰か分からなかったけど、さっきまで楽しそうに談笑していた姫路さんの雰囲気が急激に変わった事で分かった。

 間違いない、高城(ストーカー)だ。

 

「……」

 

 姫路さんは黙っているが、急速に不機嫌になっているのがよく分かる。

 あの姫路さんにここまで嫌われるって、この先輩は一体どれだけの事をやらかしたんだろうか?

 

「あの、姫路瑞希嬢、お話があるのですが」

「私にはありません」

「それは困ります、私にはお話があるのです」

「じゃあ壁とでもお話しててください。私を巻き込むな」

「いえ、そうではなく……」

 

 姫路さんの感情が不機嫌を越えて怒りになり始めたようだ。

 これ以上姫路さんに対処させるのはマズい気がする。

 えっと……こういう時は、そうだ!

 

「あー、喉乾いたなー。でも水なんて持ってないし、どーしよー」

「っ! そうですか! では皆さんの分もまとめて買ってきますね!」

「あっ、ボクも行くよ! 一人じゃ大変でしょ」

 

 そう言って姫路さんと工藤さんは屋上の扉を駆け抜けて行った。

 フッ、これぞ僕の『喉が乾いたから誰か買いにいってくれないかな作戦』だ!!

 この僕の完璧な演技力があってこその……あれ? どうしてジト目でこっちを見てるの秀吉?

 

「……何の真似ですか吉井明久君?」

「え? 何の事ッスかー? 僕はただ喉が乾いたなーって独り言言っただけッスよー?」

「では、君のすぐ側に転がっているペットボトルは一体何ですか?」

「え? おやつの塩水ですけど? まさかこれをガブ飲みして喉を潤せって? 冗談じゃないですよ」

「おやつの塩水? バカな事を言わないで下さい。そんなものがおやつになる訳が無いでしょう」

「なにおう!? それは日々の食事を塩水のみで過ごしていた僕に対する冒涜か!?」

「いや、あなたの方が人間というものを冒涜していますよ!?」

 

 くそっ、ああいえばこういう。

 これが学年主席の実力かっ!

 

 

『アキ……今のだけは高城先輩が正しいと思う』

『流石に今は玲さんが居るから家ではまともな食事を採ってるらしいけど、玲さんが居なくなった時が心配だわ……』

『流石はFクラス生って言うべきなのかしら?』

『御空よ、ワシらを一緒にせんでくれ』

『(コクコク)』

 

 

 ……聞かなかった事にしよう。

 

「それより高城先輩、こんな所に居て良いんですか?

 僕達と一緒に居る所を見られたら他の三年生から色々と疑われるんじゃないですか?」

「ご心配には及びませんよ。そのような疑念を抱く方が出てきたらその方を最前線に送るだけですから」

「それ、職権濫用じゃあ……?」

「確かにそう言おうと思えば言えるでしょう。

 しかし、私は自らの社会的地位を含めた全てを使ってアピールをしているのです。その事をどうして恥じる必要があるのです」

 

 いや、その理屈はおかしい……と思う。

 でも、どう言えば良いのかな? 否定する上手い文句が無いだろうか?

 そんな風に考えていたとき、ある人物が動いた。

 

「ちょっと良いか?」

 

 さっきまで雄二と話していた根本くんだ。

 

「おや? 何でしょうか?」

「確かに、あんたの言う事は正しいと思う」

 

 ちょ、根本くん!?

 

「学年の代表であるなら、作戦の立案に充てることもできる時間を削ってこんな場所まで来たり、気に入らない奴を最前線に送る事は可能だ」

「ええ。その通りです」

「だが、その理不尽な強権を発動した分だけおまえの天秤は確実に傾く。そしていつか、破綻する」

「? 何を仰りたいのでしょうか?」

「簡単に言うとだ、理不尽な行動に対する咎はいつか必ずやってくる。それでも良いなら好きにすればいい。という事だ」

「ふむ……ご忠告に感謝しておきましょう」

 

 そう言えば、根本くんも職権濫用をしてたヒトなのか。

 ……確かに、普段の態度って凄く大事だと思う。

 

「おや、もうこんな時間ですか。姫路瑞希嬢と話せなかったのは残念ですが、そろそろお暇させてもらいます」

「あの様子だと大人しく話を聞くなんてあり得なさそうですけど? 諦めたらどうですか?」

「いえ、彼女はシャイなのでしょう。

 今度はもっと相応しい舞台を用意させていただきます。ではまた」

 

 そう言って高城先輩は去っていった。

 できれば二度と来てほしくないな。

 

「そろそろ作戦会議の時間か。

 坂本、霧島さん、行こう」

「おう」「(こくり)」

 

 

 

 

 ……しばらくして……

 

「皆さん、飲み物買ってきましたよ」

「代表たちは……もう行っちゃったか。まいいや。後で飲もっと」

「あれ? 本当に買って来てくれたの? 別に良かったのに」

「いえいえ、吉井くんのおかげで助かりましたから。

 それにしても、よく咄嗟にあんな芝居ができましたね」

「ま、まあ、大した事じゃないよ」

 

 最近読んだ漫画に似たような場面があったって事は黙っておこう。

 

「アレって明久くんの部屋にあった漫画のネタだもんね」

「優子さん? 何で言っちゃうかな?」

 

 いや、別に問題なんて無いんだけどさ。

 

「へー。漫画かぁ。

 ……ところで、優子は何で吉井クンの部屋の漫画本を知ってるのカナ?」

「「……へ?」」

「確かに、掃除か何かで入るだけなら内容までは分からないはずよね?」

「え? いや、あの……」

「つまり、優子は吉井クンの部屋のに入り浸って漫画を読んでいた! 勿論それだけじゃ、無いよネ?」

「アキ、まさかもうそこまで進んで……」

「いや、誤解だって! 決してそんな事は……」

「(プシャーーーッッ!!)」

「ちょ、土屋くん!? 誰か! 衛生兵!!」

「さぁ、キリキリ吐きなさい……」

「ジックリ、聞かせてもらおっカナ~」

「「誤解だぁぁぁああああ!!!!」」

 

 ……その後、『優子さんは掃除の時に漫画のタイトルを見ただけであり、同じ作品を自分の家で読んだ』という事を説明するのに30分くらいかかった……




「割と久々の明優描写ね」

「確かに久しぶりだな。
 って言うか、去年の末に投稿した夏休み編After以来なんじゃないのか?」

「駄作者さんが一体何を思って明久×優子を大きな目標に据えたのかが疑問に思えるわね……」

「何も考えてなかったんじゃないかな。きっと。
 あえて擁護するならクラスが違うせいで絡みにくい、関係を一応隠してるという設定があるわけだが……」


「では、明日もお楽しみに!」

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