バカ達と双子と学園生活   作:天星

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「こんばんは。今日も頑張りましょ~。

 初心者ハムカツさん、
 久未美男さん、
 クロードさん、
 槍バカさん、
 想星さん、
 RC314さん、
 蒼龍さん、
 枝垂桜.さん、
 走り高跳びさん、
 泡沫´さん、
 白犬のトトさん、
 火水 総さん、

 感想ありがとうございました!

 では、スタート」


04 役割

「……雄二」

「……どうした明久」

「……ヒマだね」

「……ああ」

 

 戦争開始から数時間。

 俺はFクラスの生徒に前線のフォローを何回か指示しただけであとはずっと突っ立ってた。

 相手が何か奇策を繰り出してくるかと警戒していたが驚くほど何もやってこない。

 ヒマでヒマで仕方ないので戦場における敵戦力の分布図を作成して遊んで……分析したりしていた。

 どうやら正面にはE、Fクラス、右翼と左翼にそれぞれCクラスとDクラスという配分のようだ。

 Bクラスは最初は姿が見えなかったが、途中からDクラスと合流したようだ。

 3-Dは2-Bと戦っており、御空とかがどんどん倒しているのでその補充戦力として充てられたと見るのが妥当か?

 Aクラスは未だに姿を見せない。

 拠点の守りを固めているのか、それともどこからか奇襲でも狙っているのか。

 警戒を怠らないように心がけてはいるが、正直飽きてきた。

 ……実はこうやって油断を誘う作戦なんだろうか? いや、まさかな。

 

 

 

 

 ……その後、特に山場も無く昼休みの時間となり、戦争は中断された。

 高城があれだけ余裕ぶっこいてたんだから何かしてくると思ったんだが……単なるバカだったのか?

 それとも、これから何かを仕掛けてくるのか……

 

「どしたの雄二? 神妙な顔しちゃって」

「ああ、いや、何でもない」

 

 昼休み前半は昼食の時間だ。

 後半は各クラスの代表で作戦会議に入る。

 相手の思惑を想像するのはその時で良い。今は何も考えずに飯を食おう。

 

「しっかし、いつになく賑やかな食卓だね」

「んぁ? 確かにそうだな」

 

 いつもの試召戦争では他クラスは敵同士だから仲良く食事なんてできない。

 食事する行為自体に問題は無いんだが、ちょっとした気の緩みから重要情報をポロッと漏らす奴が居ないとも限らないからな。

 それに、そんな事を気にして緊張しながら取る食事は嫌だ。

 だが、今回は仲間同士だからそんな心配は無い。

 Aクラスの工藤が『せっかくだから屋上で皆で一緒に食べようよ!』という発言より結構な人数が屋上に集まった。

 Fクラスからは俺と明久、そして秀吉、康太、姫路と島田。

 Aクラスからはもちろん工藤と空凪妹、木下姉に久保。そして翔子。

 合計11名に加えてどこからか聞きつけてきた御空と根本。

 

「……ホント、多いな」

「あのバカも居ればもっと賑やかだったんだろうけどね」

「確かにあのバカが居ないだけで少し寂しく感じるな」

 

 俺の独り言に反応して御空と根本が声をかけてきた。

 

「あのバカってのは……あのバカか」

「うん。空凪くん。体調不良ってホント?」

「あいつなら仮にインフルエンザにかかっても出てきそうな気がするが」

「それは流石に……いや、あり得るか。だが、とにかく登校できる状態じゃないらしい。

 詳しくはあいつの妹か姫路に訊くと良いだろう」

「それもそうね。じゃあね!」

 

 御空はそう言ってAクラスが集まってる方に駆け出す。

 あいつなりに剣の事を心配しているのだろうか?

 

「あいつら、仲が良いんだか悪いんだか分かんねぇな」

「一部を除いて同類であるが故に理解できるが同類であるが故に反発しあうとか言ってたぞ」

「訳わかんねぇな」

「能力的には認め合っているが、本質的にそれぞれが偽善者と悪人だから反発しあうとか」

「……やっぱり訳わかんねぇな」

「そう言ってくれて安心した。俺もだ」

 

 剣みたいなのが副代表で苦労する事がままあるが、根本も似たような悩みを抱えていたのかもしれない。

 ちょっとだけ同情する。

 

「ところで坂本、午前の戦いの動き、どう思った?」

「あぁ? ああ……主にお前んとこの副代表のおかげで優勢だとは思うが、何か引っかかる感じだ」

「考えすぎだろう。と言いたい所だがその副代表も同じような事を言ってたよ。

 だが、他の代表達はそうは思ってないかもしれないから注意喚起に協力してほしい」

「そうだな。分かった」

 

 根回しか。確かに大事だな。

 俺も後で翔子に言っておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 雄二達が代表同士で話してる間、僕達は僕達で雑談をしていた。

 そしてその話題は自然と今の戦争についての話題になる。

 

「んで、ボクは教室で被害報告とかをまとめてたんだけど、スッゴく忙しかったよ~」

「愛子、アンタは全体の10分の1もやってなかったでしょ」

「え、そだっけ? アハハハ~」

「姉上よ、実際に取りまとめを主導したのは誰だったのじゃ?」

「主に久保くんね」

「へ~、凄いね久保くん」

「ああ、いや、大した事じゃないさ。前線からの報告をパソコンに反映させるだけだしね。

 むしろ凄いのは前線の状況を判断して適切なタイミングで正確な情報を送ってくれた空凪さんだよ」

「うん、ホント大変だったわよ。

 Bクラスの辺りは御空さんのおかげで敵がバッタバッタと減っていくから数を数えるのが大変だったし、Eクラスも他に比べたらそこそこ早い勢いで消耗するから素早く報告させないと情報が古くなるし、かと言って頻繁に伝達すると伝達係の体力も苦しい事になるし。

 しかもFクラスは遊んでるし!」

「え、ウチらの待機ってやっぱりマズかったの?」

「いやね、待機自体は問題ないのよ。緊急時用の戦力なわけだし。保体とかのフィールドが張られてたわけでもないし。

 ただ、それを使う必要が無いレベルの攻撃しかしてこない中途半端な3年がムカつくっていう」

「それ、良い事なのでは……?」

「そうだけど! だからこそこのやるせなさをどこにぶつけて良いのか分かんないのよ!!」

「あ~、よしよし、光よ、頑張ったのう」

「うん、ありがと、秀吉くん」

 

 Aクラスの皆、僕達がのんびりしてる間に頑張ってたんだな。

 午後はしっかり頑張らないと。

 

「あれ? そう言えば霧島さんは何をやってたの?」

「……教室で皆の指揮をしてた」

「代表はパソコンとか苦手だからデータのまとめとかはやってないのよね。

 倒されたらお終いだから前線で指揮を採る事もできないし」

 

 そう言えば前に雄二も『翔子は機械音痴だからうんたらかんたら』みたいな事を言ってた気がする。

 霧島さんって何でもできるイメージがあるからちょっと意外だ。

 

「霧島さんでもできない事があるんだね」

「……(こくり)」

「誰にでも短所はあるからね。自分にできる事を頑張れば良い……っていうのは明久くんには言うまでもない事よね」

「そ、そうだね! 自分にできる事を。か」

 

 この戦いで何ができるか、時間があれば考えてみようかな。




「まさかの午前中全カット」

「午後も全カットしないでしょうね……」

「まあ安心しろ。いろんな意味で」

「……凄く嫌な予感がするんだけど。いろんな意味で」

「……しかし、平和だな」

「……平和ね」


「では、明日もお楽しみに!」

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