バカ達と双子と学園生活   作:天星

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「今日も元気に行ってみましょ~。

 久未美男さん、
 走り高跳びさん、
 RC314さん、
 蒼龍さん、
 槍バカさん、
 シノブさん、
 泡沫´さん、
 初心者ハムカツさん、
 枝垂桜.さん、

 感想ありがとうございました!

 では、スタート」


03 評判

 一週間が過ぎ、大規模戦争実験当日になった。

 ……何か長くて言いにくいな。とりあえずいつも通り『試召戦争』って呼んでおくぞ。

 

 俺たちは本陣となる大きな教室に……居なかった。

 理由は単純だ。Aクラス並に広い教室であっても300人を詰め込むのは不可能だったからだ。

 床面積だけを見れば一応不可能では無いのだが、今回使っているのは文化部の部室だ。荷物が多くてとてもじゃないが入りきれない。

 なので、基本的にはAクラスとBクラスが大教室を拠点とし、それ以外のクラスは3-Fや3-Eなどの同じ階の旧校舎の部屋や、2階の2-Eや元2-F教室を適当に使う事になった。

 

 各クラス代表による朝のミーティングも終え、3階の3-F教室にFクラスの連中を集めて壇上に立った。

 

「よーし、捨てゴ……お前ら! 準備は良いな!?」

 

『へっ、当然だぜ!』

『うちの姫様に手を出した報い、しっかり受けて貰わねえとな!』

『オレが今感じてるのが、オレをとっ捕まえたサツの人の心情だったんかなぁ……』

 

 高城がストーカーだという事は2年の間ですっかり浸透している。

 『相手が悪人だ!』っていう共通認識があれば躊躇いも減るし、結束も強まるからな。

 ……Fクラスの連中の辞書にはもとから『躊躇い』という言葉は無いが。

 いや、そもそも辞書が無いか。

 

「雄二、今『捨て駒』って言おうとしてなかった?」

「気のせいだろう。

 さて、やる気になってるお前たちに一つ、言っておく事がある。

 決して、格好良く勝とうとするなよ?」

 

『なっ、ど、どういう事だよ!』

『俺たちはあの変態ストーカーをぶちのめさなきゃならねぇんだよ!』

『俺は奴を加齢に倒して銅像を建ててもらおうと思ってたのに!!』

『フン、まだまだだな。俺は手柄を立てて『ぶらっくりすと』とかいうのに名前を載せてもらうぜ!!』

『な、何だそれ……凄く格好良さそうじゃねぇか!!』

『直訳すると「黒の名簿」か。イイじゃねぇか!!』

 

 ブラックリストってオイ……あと、加齢じゃなくて華麗な。

 

「あ~、色々言いたい事はあるだろうが、まずは俺の話を聞いてくれ。

 奴はストーカーとはいえ学年主席。序列だけで言えば翔子と同格の相手だ」

 

『無理だな』

『逆立ちしても無理だ』

『10回転生しても無理だな』

『むしろ争おうと考える方がおかしい』

 

 序列だけで言えば相手は超格上なんだよなぁ……

 この連中が戦いを拒むのは『翔子だから』という理由の方が遥かに強そうだが。

 

「まぁ、相手は決して翔子ではないし、そんなに強いという噂も聞かないからからそこまで警戒する必要は無いんだが……

 それでも、カッコつけて戦っていたら勝てないくらいのレベルはあるだろう」

 

『そ、そんな! 俺たちはどうすりゃ良いんだ!!』

『くそぉぉおお! 俺の伝説はここから始まると思ってたのに!!』

 

「なに、簡単な事だ。

 みっともなくて構わない。いつも通り挑むだけだ!

 それが俺たちみたいなバカに相応しい、そして、かっこつけて負けるよりも何倍もカッコいい勝ち方だ!!」

 

『な、なんだって!?』

『俺たちが、カッコいい!?』

 

「そうだ! 今こそお前たちの本気を見せる時だ!

 俺たちの強さをあのストーカーに思い知らせてやれ!!」

 

「「「「「おおおおおおぉおぉぉぉお!!!!!」」」」」

 

 ホントはこんなどうでも良い戦争じゃなくてAクラス戦とかでやる気を出させたいんだがなぁ……

 相手の大将が翔子なんで、その辺を強調なんてしたら逆に士気が下がるんだよな。

 高城が問題行動を色々ととってくれてありがたい……と言っていいんだろうか?

 

「あれ、そう言えば姫路さんはどこに」

「ん? あれ、どこだ?」

 

 うちの姫さまこと姫路が居ない。

 最近ちょくちょく学校をサボってたが、まさか今日も来ないとか無いよな?

 

ガラッ

 

「すみません、少々遅れました」

 

 噂をすれば、だな。

 

「ギリギリだな。どうしたんだ?」

「ギリギリまで空くんの様子を見ていたのと、あと、職員室に用事があったので遅れました」

「そうか……あのバカはやっぱり間に合わないのか?」

「ええ。そのようです」

「まぁ、仕方ないか。

 それじゃ、これから作戦の説明をするから適当な所に座ってくれ」

 

 剣は来ない、か。

 まぁ、何とかするしかないか。

 

 

 

  ………………

 

 

 

 孫子の兵法書にはこんな言葉があったという。

 『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』

 つまり、敵の情報と味方の情報を正確に把握し、適切な戦法をとれば負けることは無いって事だな。

 代表たちはそれを知っていたから……かどうかは知らんが、自分と相手の長所と短所を整理してから作戦を立てた。

 とは言っても、先輩との交流なんてそんなに無いから大した情報は出なかったが。

 

 三年側の長所は、やはり召喚経験の差だろう。

 単純計算で1年の差がある。

 とはいえ、俺たち(Fクラス)みたいに勝ったのに教室の権利を放棄して次に挑むなんて事をしているクラスはそうそう無いだろうからせいぜい3ヶ月に1回くらいしかやってないだろうし、振り分け試験直後に宣戦布告してたって事もまず無いだろう。今は9月なので、3年生が戦争できた期間は18ヶ月未満。約5回ってところか。最大で、だが。

 Fクラス生は4回もの試召戦争を、しかも格上相手にこなしている。正確にはあと2回あるが、それは代表者しか参加してないので除外する。

 なので、Fクラスよりは下か同格くらいの操作技術だと見積もっておけるだろう。

 

 それに対してこちらの長所短所はザクザク出てきた。

 長所としては……

 ・Aクラス上位、及び姫路の規格外と言える点数

 ・Bクラス代表のそれに準ずる点数(一部上回っている)

 ・Bクラス副代表のアホみたいな点数

 ・Fクラスの戦争経験による点数に表れない継戦能力

 ・Fクラスの一部生徒のアホみたいな点数

 他にもあるが、大きなものではこんな感じだ。

 ちなみに、『御空の点数は一体どうなってるんだ?』という事が議題に挙がった際、本人を呼んで点数を公開させた。本人は渋っていたが。

 その結果は……平均点にして約150点ほど翔子を上回っているというアホみたいな点数だった。

 当然、『何でお前はBクラスなんだ!?』という質問が出たが……その答えがこれだ。

 

『ん~、試召戦争で教室を勝ち取るってのやってみたかったし?

 だったらトップで構えるってのも何か違うかな~って。

 だから、Bクラスのトップ(代表)を狙おうかな~って思ってたけど、代表だと前線に出にくいから52位を狙って副代表になったわ』

 

 だ、そうだ。

 まさか俺以外に点数調整をしてた奴が居たとはな……下から50位を数えてたから御空の点数なんて全く気にしてなかったよ。

 俺たちが最初にBクラスに仕掛けた時に御空の姿を見かけなかったのは0点だった科目があったかららしい。数日遅れてたらあのバケモノとまともにやりあうハメになってたって事だな。

 ……危なかった。ホント。

 殆どの科目で当然のように1位を取っているが、保健体育だけは康太よりは下らしい。少しだけ安心してしまった俺は悪くないと思う。

 Bクラスの停戦期間が終わったら戦う事になるんかなぁ……勘弁してほしい。

 

 話が脱線したな。続いてこちらの短所だ。

 ・Eクラスの経験不足

 ・DクラスのDクラス並の戦力

 大体こんな感じだ。

 Dクラスは戦争を1回しか経験してないし、Eクラスは0だ。1年の頃の召喚実習や少し前の野球大会を除けばだが。

 とりあえず2-Dが3-Dとぶつかれば7割くらいの確率で負ける気がするし、2-Eに至っては3-Fにすら負けるんじゃないか?

 まあ、その辺の短所は『Aクラスの人員を適当に割り振る』ことで短所を弱めたわけだが。

 

 だが翔子の策は一味違った。

 短所を補うだけでなく、短所を長所にしてしまえば良い、と。

 具体的には、Eクラスを中心にした横一直線の陣形を組む。

 するとまともに相手とぶつかった場合、Eクラスは押される。

 そして押してきた敵部隊をEクラスの両隣の部隊で挟み込み撃破する! と。

 

 ……まぁ、実際にできれば結構有効な戦術だとは思うんだがな。

 そんなあからさまな配置にしても一発でバレるだろう。

 そんなの翔子なら分かっているとは思うんだが……念のため訊いてみた。

 

『流石にんなことしたらバレるんじゃないのか?』

『……バレても問題ない。それだけで3年はEクラスへの積極的な攻撃をためらうから』

 

 とまぁこんな感じで、短所を長所にとまではいかずともプラマイゼロくらいに持っていく事に成功した、はずだ。

 

 そして今、Eクラスの両脇にB、Dクラス、それらの後ろにFクラスとCクラスを配置して前線が崩れそうになったらフォローするという形になっている。

 Aクラスの半数程度は奇襲に備えて拠点に待機、残りはD、Eクラスに配置されている。

 とりあえずこんな感じで様子見だ。後は実際の3年の戦力を見て次の行動を決めていく。

 さて、どうなることやら。




「いや~、ついに私の点数が開示されたわね!」

「人外だな。ホント」

「はぁ、ホントなら別の場所で出して意表を突きたかったんだけどね。総大将の命令じゃしょうがないわね」

「ちなみに、初稿のメインヒロインである零も大体同じ成績だ。
 これの基準は『集中モードの僕と同格か上回る学力』として定義されている」

「……チートね」

「以前に行った30分テストの点数換算を用いると僕の1時間の点数は約630点だからな。
 加えて理系科目が得意という設定もあるので、一部は700点越えという事になっている」

「……あのさ、この後3年が蹂躙される光景しかイメージできないんだけど?」

「…………」

「……じゃ、次回もお楽しみに!」

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