バカ達と双子と学園生活   作:天星

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「今日も元気に行ってみましょ~

 走り高跳びさん、
 初心者ハムカツさん、
 おぺいさん、
 想星さん、
 泡沫´さん、
 久未美男さん、
 RC314さん、
 蒼龍さん、
 火水 総さん、

 感想ありがとうございました!

 では、スタート」


02 代表会議

  ……文月学園、空き教室……

 

 三年生との試召戦争に向けて、各クラスの代表は集まっていた。

 

「つーわけで、これが事のあらましだ。

 別に負けても何のペナルティも無いが、勝ったときは何か貰えるらしい。

 詳しくはまだ未定だそうだ」

 

 学園長と直接話した俺がその他全員に説明した。

 翔子は俺の説明で欠けてる部分を適宜補ってくれた。

 

「何か貰えるって、具体的には何だい?」

「さぁなぁ……ただ、学園長が用意できるお手軽なものだったら……学食の割引券とかか? 確定ではないが」

 

 平賀の質問への答えを聞いて各クラス代表はなるほどと頷いている。

 ノーリスクで金券の類が貰えるのだ。自然とやる気は出るだろう。

 だが、それに異を唱える奴が一人居た。

 

「ちょっと待ちなさい。私の立場はどうなるの!」

 

 Cクラス代表、小山である。

 彼女のクラスはもともとGクラス並でありノーリスクだった。

 ノーリスクハイリターンをノーリスクローリターンにされたらそりゃ怒るだろう。教室の設備と金券のどちらが良いかは意見が割れるかもしれないが。

 だがそれも考えてある。

 

「だったらお前は金券じゃなくて『宣戦布告の権利』でも貰えば良いんじゃないか?

 学園長も金をかけずに済むって喜ぶぞ。きっと」

 

 一応、『クラスのランクアップ』も考慮に入れて良いかもしれないが、仮に1ランク上げてもFクラスの設備にしかならない。

 大幅に上げるのは予算の問題で流石に通らないだろう。

 

「……なるほど、悪くは無いわね。分かったわ」

「本当に通るかは学園長との交渉次第だ。それは自分でやってくれ。

 あと、自分のクラスの連中との相談も怠らないようにな」

「分かってるわよ」

「それじゃあ、報酬に不満がある場合は各クラスで交渉してくれ。

 他に質問は?」

 

 数秒ほど待つが、手は挙がらなかった。

 

「よし、それじゃあ俺からは以上だ。

 翔子、後は頼むぞ」

「……分かった。

 ……それじゃあこれから具体的な作戦会議に入る」

 

 最初に学園長(ババア)から説明を受けたのが俺だったんでルールに関する事は俺から説明したが、こっから先はAクラス代表の役割だ。

 しばらくは黙って見物してよう。

 

「……まず初めに、確認しておく。

 ……この戦いにおける、第二学年陣営の総大将は私が担当する。異議は無い?」

 

 しばらく待つが、誰からも異議は上がらなかった。

 いつもの戦争でもクラス代表が総大将をやってるからな。

 別に義務ではないんだが……敗北条件に『代表の戦死』があるので、最後まで死なない代表が担当するのが都合が良い。

 今回のケースではそれが翔子に該当する。

 

「……分かった。ありがとう。

……それじゃあまず、個人的な話からさせてもらいます」

 

 お? 何を言う気だ?

 

「……三年生の学年主席、そして多分総大将である高城はストーカーです」

 

 ブチまけたなおい! それをこのタイミングで言うのか!?

 って言うか何で知ってるんだ!?

 

「ああ、知ってる」

「根本ぉっ!?」

 

 そして意外な人物がそれに反応した。

 

「一体どういう事だい?」

「どういう事?」

「詳しく聞かせなさい」

 

 平賀、中林、小山は知らなかったようだ。少し安心した。

 

「……雄二、パス」

「あ、ああ。確かに高城はうちのクラスの姫路のストーカーらしいんだが……何でお前らがそれを知ってるんだ?」

「……数日前、瑞希に直接相談された」

「うちの物好きな副代表が昨日の昼休みのやりとりを聞いてた」

「あ~……なるほど」

 

 昨日の昼休みっていうと、Aクラスとの戦争を中断してた時のやつだな。

 確かにアレを聞いてたなら高城がストーカーだって事は耳に入るわな。

 

「……では話を戻します。そのストーカーなのですが、Fクラスにある要求をした。

 『三年生が勝ったら教室の設備をFランクまで下げろ』と。ちなみに現在のFクラスの設備はCランク」

「そりゃまたずいぶんと無茶な要求をしたな」

「……正確には、ノーリスクの戦争をゴネた高城に瑞希が提案した。その代わり、相手にも負けたら設備をFランクまで下げるように要求した」

「ふ~ん、なるほどねぇ」

 

 根本は何やらうんうんと頷いている。何か気に食わんな。

 

「ん? ちょっとおかしくないかい?

 その高城ってのは姫路さんをストーキングしてるって事は一応好きなんだろう?

 だったらなんでわざわざクラス設備を落とすような条件を飲んだんだい?」

「確かにおかしいわね? 姫路さんが体が弱いのは1年の頃から有名だったし……」

 

 最近は心身ともに強靭になってる気がしないでもないがな……

 しかし、確かに気になるよな。姫路は何か知ってる風だったが。

 

「……答えは簡単。

 ……ストーカー故の歪んだ愛」

「そ、そうなの、か?」

「……間違いない」

「ああ、いや、うーん……まあいいか。どっちでも」

 

 翔子が言うと強烈な説得力を感じるが……流石に真相は違う気がする。

 まあ、殆ど事実しか言ってないし、相手を悪者に仕立て上げた方がこちらの結束も強まるから何の問題も無いんだけどな。

 

「……私は、この戦争に勝たなければならない。瑞希の為にも。

 ……だから皆、私に、霧島翔子に力を貸してほしい」

「なかなか面白くなって来たじゃないか。当然手を貸そう」

「私も、手を貸さないわけにはいかないわね」

「力になれるかは分からないけど。精一杯頑張るよ」

「当然頑張るけど……初めての戦争だからあんまり期待しないでね?」

 

「……雄二は?」

「言うまでも無いだろ? あいつに一番迷惑を被ってるのは俺たちFクラスだ。

 当然、全力で奴らを叩き潰してやる!」

「……分かった。それじゃあ次は……」

「ちょっと待ってくれ」

 

 翔子が話を進めようとした所で根本から制止がかかる。

 

「……何?」

「せっかくだからこの件の当事者も呼んだ方が良いんじゃないか?」

「……瑞希の事? それとも……」

「もう一人の方だよ。って言うかあいつなら副代表としてこの会議に何食わぬ顔で参加しててもおかしく無さそうだが?」

「……雄二」

「また俺かよ。

 詳しくは分からんが、あいつは体調を崩していてしばらく登校できないそうだ。1週間後に間に合うかも怪しいらしい」

「何? 昨日はピンピンしてた気がしたけどな。

 そういう事情なら仕方ない。中断して悪かった。霧島さん、話を続けてくれ」

「……それじゃあ今度こそ具体的な作戦会議に入る」

 

 翔子の『個人的なお願い』と根本の質問で少し時間が取られたが、すぐに本来の話に戻る。

 

「……初めに、初期配置の条件から確認しておく。

 ……今回の戦争は『大規模戦争実験』。広い戦場で大人数で戦う事によるシステムへの負荷やその他諸々のデータを取る事が目的。

 だから、学園長から『お互いの本陣の初期位置は新旧校舎の3階に置く事』と『渡り廊下の使用禁止』が指示されている。

 ……グラウンドでぶつからせる為の処置」

「新校舎と旧校舎にそれぞれの学年が分かれて戦うのか。

 ちなみに俺たちはどっちなんだ?」

「……旧校舎を使うように指示されている」

 

 つまり、旧校舎を駆け下り、グラウンドで敵を蹴散らし、新校舎を駆け上がって高城を倒す、という流れになるわけだな。

 横にも縦にも広い戦場だ。まさに大規模戦争だな。

 って言うかこれ、籠城して階段の上とかで待ち構えてれば余裕で勝てるんだよな……

 学園長には『実験に協力する』って言ってあるからよっぼど劣勢にならない限りはやらないが。

 

「……まず決めたいのは、『人員の編成』とその『指揮系統』。

 ……大雑把な方針だけでも決めておきたい」

「確かに重要だ。どうするんだ?」

「……二つ、案がある。

 1、いつも通りのクラス単位で組む。

 2、戦力が偏らないように再編成する」

 

 なるほど。どっちにもメリットとデメリットがあるな。

 案1なら命令系統の混乱はかなり発生しにくいだろうが、戦力が偏る。

 案2は各グループの戦力の偏りは無くなるが、再編成の手間がかかり指揮系統も張り直す必要が出てくる。

 個人的には案1の方がやりやすいんだが……そうなるとD、Eクラスが厳しい事になりそうなんだよな。

 ……ん? 待てよ?

 

「なあ翔子、その2つの案を混ぜるのはどうだ?」

「……?」

「まず、基本的には案1だ。

 だがそれだと戦力が偏るので、点数の低いクラスに高得点の生徒を送る。

 そうだな……Aクラスの生徒を数名ずつD、Eクラスに送る、とか。

 それなら指揮系統の変更はかなり少なくて済む」

「……なるほど。良い案だと思う。皆はどう思う?」

「俺もその方がやりやすいな」

「そうねぇ……良いんじゃないかしら」

「俺も異議は無い」

「良いと思うわ」

 

 満場一致の賛成が得られた。

 ……平賀や中林は何も考えずに賛成だけしてるような気がしなくもないが、まあいいや。

 

「ん? ちょっと待ってくれ」

 

 と、平賀が何か言い出した。

 ちゃんと考えてはいるみたいだな。何をかは分からんが。

 

「D、Eクラスの力不足をAクラスの生徒で補うってのは分かったけど、Fクラスは良いのかい?」

「ああ、問題ない。

 あの変人の集団は誰かと組んでも戦力はそこまで増えない。

 身内だけで組んで適当に特攻をかました方がより効果的な働きができる」

「そ、そうなのか。分かった」

 

 Fクラスには『居なくなっても戦力が減らない』というある意味希少な才能を持ってる奴が多数居るからな。

 使い潰した方がお得だ。

 それに、自分の身に危険が迫ってないと本気を出さない奴も多数居る。

 やはり使い潰した方がお得だ。

 

「……それじゃあ編成の方針はこれで決まり。細かい事は後で詰める。

 ……じゃ、次は……」

 

 そんなこんなで、クラス代表は進んでいった。




「へ、平和ね……」

「平和だな。
 前にも言ったが、うちの作者は原作の最終章があまり好きでない。
 一番の理由が前にも活動報告で述べたルールに関する矛盾だが、代表会議での小山や根本の言動もかなり違和感があったらしい。
 根本よ、貴様はずる賢い奴ではあったがあそこまで愚かではなかっただろう……と」

「前にも言ってたわねそれ」

「そいうわけで根本的に変えている。
 ……その上で書きたい展開を書こうとしたからかなり苦労したらしいがな」

「うわ~……」

「さて、何か口を滑らせる前に締めておこうか」

「うん。
 では、明日もお楽しみに!」

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