最後まで張り切っていきましょ~!
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感想ありがとうございました!
では、スタート!」
ベッドでのんびりとすごしてしばらく、部屋の扉が開き見知った顔が現れた。
「調子はどうですか? 空くん」
「……良いとは言えないな」
「……そうですか」
部屋に入ってきた瑞希はベッドの側の椅子に腰かけた。
……ちょっと待て。
今日は平日なんだが?
「お前、学校はどうしたんだ?」
「サボっちゃいました♪」
「……一応、理由を訊いておこう」
「勿論、空くんのお見舞いの為ですよ?」
「……まぁ、知ってた」
瑞希にとってFクラスの授業は易しすぎるので、数日サボる程度なら全く問題なかったりする。
強いて言うなら出席日数が一定以上無いとマズいが……今は問題ないだろう。
「それに、今頃学校は授業じゃなくて試召戦争の準備をしてるでしょうし」
「……参加しなくて大丈夫なのか?」
「別に負けたところでどうってことは無いですし、坂本くんなら何とかしてくれるでしょう」
「……確かにな」
「それより空くん、いくつかお尋ねしたい事があります」
「……何だ?」
「ですから、『問います』よ」
「……やれやれ」
全くもって面倒な事になった。
まぁ、いいか。
瑞希が発した『問います』という台詞。
これは、僕達の間で決められたルールを発動する時の魔法の言葉である。
ルールの内容はシンプル。
『瑞希が『分かりました』と終了の言葉を発するまでの間、僕は瑞希に対して一切の嘘を吐かない』というものだ。
え? ルールが一方的過ぎる?
それにはちゃんとした理由があるんだが……そうだな、ルールを決めた時の会話をそのまま伝えようか。
Cクラス戦が終わった翌日の話だ。
その戦いで、僕が無茶をして瑞希に非常に怒られた事も書いておこう。
「で、結局罰の内容は決まったのか?」
「一晩考えましたが……やはりこれが空くんには一番相応しいでしょう」
「ほぅ?」
「『今後一切、私に対して嘘を吐かない事』
これでどうでしょうか?」
「……二つほど、問題があるぞ?」
「何でしょうか?」
「一つ、そもそも僕が嘘を吐かざるを得ない状況がほぼ無いという事だ。
知っているだろう? 嘘を吐かずとも人を騙す事が可能な事は」
「それは十分理解しています。
でも、その『いざという時の嘘』が無いって分かってるだけでもずっと会話しやすくなりますから」
「……頻度が少ないならそこまで変わらんだろうに。
まあ、お前が理解した上で言ってるなら僕は構わない」
「二つ目の問題点は何でしょうか?」
「無条件に嘘が吐けない状態になってしまうと、例えば敵の前での会話でフェイクを入れる事ができない。
対話や交渉ならともかく、敵の盗み聞きに対して嘘を吐く事に抵抗は全くないぞ?」
「敵って……確かにそうかもしれませんけども。
……そうですね、では、開始と終了の言葉を決めておきましょうか」
「なるほど。それなら問題は無い」
「では、私が『問います』と言ったら開始で、『分かりました』と言ったら終了としましょうか」
「ふむ、シンプルな言葉だ。そうなると『問います』はともかく『分かりました』は暴発しそうだな」
「し、しませんよ! ……多分」
……とまぁ、こんなやりとりがあった。
ちなみに、瑞希はまだ一回も台詞を暴発させた事は無い。ほんの2日前に決まったルールだから当然と言えば当然だが。
さて、話を現在に戻そう。
「で、何を聞きたいんだ?」
「そうですね、まずは……今回の戦争でも相当無茶したみたいですけど、反論はありますか?」
「……結果的にそうなったのは認めるが、ここまでボロボロになる気は無かった。
精神的な強い疲労と酷いジェットコースターに乗った後のような強烈な酔いのような感覚は覚悟していたが」
「それだけでも十分無茶してる気がするんですけど……確かに今までに比べたらマシですね」
「だろ?」
「……そういう事なら、今回の件は不問とします」
「そうか。安心したよ」
「……では、次です」
あ、うん。まだ終了じゃないのね。
「あなた自身の体質について、知ってることを洗いざらい白状してください」
「洗いざらいって、お前なぁ……」
「洗いざらいは洗いざらいですよ。さぁキリキリ吐いて下さい!」
「あ~、はいはい。
えっとだな……5分くれ。箇条書きでまとめる。
あと紙とペンもくれ」
「……まさか、紙とペンを使ってここから逃げ出そうと……?」
「いや、どうやってだよ!!」
「冗談ですよ。はい、どうぞ」
適当な紙とペン、そして瑞希が気を利かせて用意してくれた下敷きを受け取る。
そして自分が把握している自分の体質を書いていく。
……ふむ、少し手が震えるが、文字は問題なく書けるようだ。
「……こんなところだな」
・自身の状態は大まかに分けて3つに分けられる。通常モード、集中モード、
・厳密にはこれらの中間の状態が無数に存在するが、制御がしやすいように段階毎に分けている。
・通常モードについて
・特筆する事は無い。
・集中モードについて
・最大継続時間は約1時間、十分な休憩でリセット。
・1時間をフルに使用するとぶっ倒れるので、いつもは30分程度に抑えてある。
・効果としては集中力や思考速度の強化。細かい動作を可能にする等。
・感情の昂ぶりでちょくちょく暴発する。30分の余裕を取ってるのでそこまで問題にはならないが。
・閃光モードについて
・最大継続時間は5秒。十分な休憩でリセット。
・事前に使っていた集中モードの時間に応じて継続時間は減少する。
・効果は思考の加速。自分から観測した世界がスローモーションのように感じる。
・こちらも感情の昂ぶりで暴発するが、時間の余裕がほぼ無いので暴発しそうになったら強引に押さえつけている。
・最大継続時間を越えて使用した場合……今みたいな事になる。
「……な、長いですね」
「僕が数年かけて検証し続けた情報だ。ここまで整理するのは苦労したぞ……」
「なるほど。ところで、今はどんな状態なんですか?」
「……紙」
「あ、はい」
瑞希から紙を受け取り、現在の状態について追記する。
・閃光モードの限界時間を越えた状態。数ヶ月続く。
・脳の一部が損傷している?
少なくともパフォーマンスが落ちている部分がある。
・記憶機能に問題は無い。
・思考がちょくちょく停止する。
・体の動きも鈍い。脊髄反射は未検証だが。
・治癒能力がかなり落ちている。(日常生活に支障は無いレベル)
「……こんな感じだ」
「……酷い状態ですね」
「付け加えるなら頭痛も酷い」
「いや、サラッと付け加える事じゃないですよね!?
大丈夫ですか? 氷枕でも持ってきますか?」
「その程度で楽になる頭痛ならわざわざ言わない」
「あなたって人は……こんな状態でも変わらないんですね」
「まあ、な」
「……あなたのコレが暴発した原因は何ですか?」
「学園長のあまりの物言いにブチ切れたから、だな」
「ああ、確かにアレは酷かったですからね。
それだけでこんなにまでなるのは空くんらしくないですけど」
「まぁ、疲れてたからなぁ……」
「疲れただけでこうなってしまうのは問題なのでは?」
「返す言葉もない」
今年は面白い事が沢山起こっていたので感情のリミッターが外れやすくなっていたのかもしれない。
……という事は黙っておこう。
「……本当に、治るんですか?」
「……断言はできない。
前回の経験から『数ヶ月続く』と書いたが、今回もそうとは限らない」
「……そうですか」
「…………ただ、サクッと直す方法に一つだけ心当たりがある」
「そんな方法があるんですか!?」
「ああ」
本当に治る確証は無い。
ただの僕の勘だ。
アレをやれば、何となくだが治る、もとい直るような気がする。
……この根拠もない直感に命を賭けられるのなら、だが。
「まずは僕の現状についてだったな」
「この空間では無事なのね……」
「まぁ、この空間は因果律を超越した場所にあるからな」
「なにそれちょっとかっこいい」
「瑞希が課した罰の内容も明かされたな」
「キミにとっては……実は大した事無いんじゃない?」
「僕もそう言ったんだがな」
「今後どうなるかって事ね」
「最後に、業務連絡だ。
本編の戦争の点数に関するルールを作者が独自にまとめた」
『https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=120865&uid=39849』
「面倒な人は飛ばしちゃってもいいけど、これだけは覚えておいてね。
複数の試験を参照する科目は『平均点』を表示します」
「そこだけ原作と明確に変えたが、あとは原作沿いになってる……はずだ。
詳しくはURL先を見てくれ」
「では、明日もお楽しみに!」