走り高跳びさん、
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感想ありがとうございました!
では、スタート」
プロローグ
「ははっ、しくじったなぁ……」
試召戦争から一夜明けて、僕は自分の部屋のベッドで寝ていた。
多少の怪我なら1日寝れば動ける程度には回復するんだが……今回はそうはいかないようだ。
理由は分かってる。
閃光モードの暴発だ。
時間制限内で使ってる分にはそこまで大きなリスクは無いんだが、制限時間を越えた使用を行うと今のようになる。
体の動きはかなり鈍くなり、
思考は壊れかけのパソコンの如く頻繁に停止し、
怪我の治りも遅くなる。いや、これは元々速かった治癒速度が一般人並になると言うべきか。
数年前も同じような目に遭った事があるが……まともな状態に戻るまで数ヶ月かかった記憶がある。
まっとうな回復を待っていては1週間後の試召戦争には間に合わない。
治す(直す?)方法に一つ心当たりはあるんだが……
「……どうしたもんかねぇ……」
……試召戦争終了直後、文月学園にて……
突然倒れた剣を鉄人が保健室まで運んでから、話は再開された。
「……クソババア、色々言いたい事はあるが、大規模戦闘実験とやらが終わってからにしておいてやる」
「聞き分けが良くて助かるねぇ」
「全部片付けてから、キッチリ問い詰めてやるから覚悟しやがれよ?」
「ふぅむ……まあいいさね。
詳細についてはこっちのプリントにまとめてあるよ。後で各クラスの代表に配っておくんだよ」
「……」
俺は
…………ふむ。
いつもの試召戦争との違いは規模が6倍になる事に加えて……
・相手のAクラスの代表(霧島翔子、又は高城
・各クラスの代表が戦死した場合はそのクラス全員が補習室行きとなる。
・科目の点数がセンター試験準拠となる。
・負けた学年は勝った学年にA~C教室を明け渡し、勝った学年はD~F教室を渡す。
このくらいか。あと、開始はシステム調整の関係で1週間後だ。
ん? 待てよ?
「プリントには渡す教室が指定されてるが、これはそれぞれのクラスが最初に居た教室って事で良いのか?」
「そうさね。今のCクラスが居る教室なんて渡されても迷惑なだけだろう?」
今のCクラスはF教室が更にランクダウンしてGクラスレベルとでも言うべきものになってるからな。
ちなみに内容は座布団代わりのござに卓袱台代わりのみかん箱だ。俺たちが最初の方の戦争で負けてたらああなってたんだよな……
……勝てて良かった。
「……じゃ、もう一つ。明け渡す教室がランクダウンしていて、極端な話、B教室がFクラスレベルにまで落ちていてもB教室を明け渡すのか?」
「む……そうさね……」
「……まあそこは良い。12教室の内の上位6教室を明け渡す、みたいな感じに変えれば良いんだからな」
これなら一応問題は無い。
2年と3年で勝利報酬の格差が生じる事があるが……多少はしょうがないだろう。
そもそも、3年は受験の関係でもうすぐ自由登校期間に入る。最初からリスクが釣り合ってない。
まぁ、コレは大した問題ではない。
「だがあと一つ問題がある」
「何だい?」
「そうやって勝ち取った教室をどのクラスが取るのかって事だ。
どうやって決める? 戦争開始時の自教室の価値の順か? それとも与ダメージ総量か? それとも生存人数か? あ、被ダメージでも良いかもしれんな。あとはキル数とかな」
「そ、それは……調整中だよ」
「そして、どれを選んでもAクラスにメリットが全く無い。
試召戦争はそもそも報酬が不平等だが、それは格上と格下が決まっているからだ。
格上が格下を倒しても何の報酬も無いのはよく分かる。
だが、今回は同格の相手であり、そうなるとメリットが……」
「ああ五月蝿いね! 要求を言ってみな!!」
「この中途半端な教室移動のルール、無しにすべきだ。
こんな曖昧模糊で文句しか出ないルールは要らない。
あと、宣戦布告禁止期間も設けない方が良いだろう、1学年の戦争をまるまる凍結させる気か?」
「う~む、そうさねぇ……確かにそれくらいなら問題は……」
「お待ち下さい」
ここで今まで黙っていた
「何だストーカー。俺は今忙しいんだが?」
「私はストーカーではなく……っと、今は置いておきます。
教室を失うリスクが無い状態で戦争を行ってもやる気を出さない生徒が出てくるので実験の意味が無くなるかと。
いかがでしょうか?」
「そんなの知ったこっちゃ無いな。
そもそも、この件は学園長が生徒に頭を下げて頼む場面だと俺は思っているが?」
「? 何を言っているのですか?
この学園の生徒であるなら学園長に従うべきでしょう」
「こんな潰そうと思えば潰せる学校の学園長って言われてもなぁ」
「ちょっと待ちな坂本、どういう事だい!?」
今度は学園長が口を挟んできた。
いや、そもそも高城が挟んできたから本来の話し相手に戻っただけか。
「そのままの意味だが? その気になればこの学校を潰せるって事だ。
転校とか面倒なんでできればやりたくないが」
「そうじゃなくて、何をする気だい!?」
「こんな場所で言って良いのか? 皆聞いてるぞ?」
「なんっ、ぐっ……」
「話を戻すが、教室の設備を盾に取るような卑怯な真似はするな。
生徒に協力してもらいたいなら自力でやれ」
「……アタシに、どうしろって言うんだい?」
「はぁ……そうだな……何か賞品でも出しゃ良い。それで大多数は参加してくれんだろ」
「……分かった。後で考えておくよ」
「学園長! それではダメです! 敗者には罰則を与えなければ意味が無いでしょう!」
また高城が口を挟んできた。
こいつ、妙にこだわってるな。
Aクラスならメリットは無いはずなんだが……
「……発言、良いでしょうか?」
礼儀正しく発言許可を求めたのは姫路だった。
「ええどうぞ、遠慮なく何でもおっしゃって下さい」
「あなたには訊いてないです」
辛辣だな。当然と言えば当然だが。
「あなた達が勝ったら、私たちは教室の設備のランクをFまで下げます。
それでどうでしょうか?」
「……それだけでしょうか? 他にも要求があるのでは?」
「そうですね……では、同じように教室の設備を賭けてもらいましょうか。
あ、交換は要らないですよ」
「ふむ……確かFクラスの現在の設備はCランクでしたね。
3段階下げるという事は我々はDランクまで下げれば良いのでしょうか?」
「ご冗談を。当然Fランクまでです。
もう少ししたら三年の先輩方は自由登校期間に入る事、知らないとは言わせませんよ?」
「……まあ良いでしょう。その条件、飲みましょう」
あっさりと飲んだな。
俺たちの教室の設備を落としたかったって事なのか?
「話はまとまったようだね。
それじゃ、敗者の宣戦布告禁止期間は無し。教室交換も無しって事で決まりだよ。
アタシは賞品について考えておくから、各自準備をしておきな」
「ああ。期待してるぜ」
学園長と高城が去った後、姫路に訊いてみた。
「なぁ、あの提案はどういう事なんだ?
俺たちの設備がどう関係があるんだ?」
「う~ん……別に言っても構わないんですけどね。
モブ、ストーカーに加えて難聴、精神病患者と来て更に妙な称号を付けるのも流石に可哀想だから黙っておきます」
「……高城が気の毒なのはよく分かった。同情の余地は全く無いが」
「とりあえず、ここで区切りが良いな」
「思ったより甚大なダメージを受けてるわね、キミ」
「まあな」
「にしても高城さん、珍称号ハンターになってるわね……」
「本人にその意図は全く無い上にいくつか根も葉もない誹謗中傷が混ざってるがな……」
「では、またいつかお会いしましょう!」