バカ達と双子と学園生活   作:天星

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「それじゃ、行ってみましょ~

 想星さん、
 蒼龍さん、
 走り高跳びさん、
 光明さん、
 泡沫´さん、
 久未美男さん、
 シャラットさん、
 枝垂桜.さん、
 ルルの鈴さん、

 感想ありがとうございました!

 では、スタート!」


10 離れた戦場でも

 さっきまで前線だった場所とAクラス教室との中間地点。

 そこに保健体育のフィールドは張られた。

 はっきり言ってしまうと地味に重要ではあるが花形とは言えない役割だ。

 地味である。だが重要だ。

 俺がここに立っているだけで、前線に居たAクラス生徒は教室に戻れない。

 いや、回り道すれば戻れないわけでは無いが、全員がわざわざ階段を使って回り道するとも思えない。

 ここで戦う分だけ、他の場所が楽になるはずだから。

 

『怯むな! いくら土屋でも、この数でかかれば問題ない!!』

「…………試獣召喚(サモン)!」

 

 [フィールド:保健体育]

Fクラス 土屋康太 879点

 

『な、何だその点数は!!』

「…………あまり、俺を舐めない方が良い」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、乗り込み遅れたっ!!」

「落後者がある程度出る前提で雄二も策を練っておるからのぅ。

 雄二たちは無事に突破できたようじゃから、ワシらはワシらの役割を果たすとしようぞ」

 

 突破した少数のうち、雄二と姫路を除く数名は教室内のAクラス生徒を相手したり、あるいは廊下のAクラス生徒を教室内に入れないように奮闘しておる。

 ワシらのように教室前で落後した者の役割は廊下のAクラス生を妨害する事、そして可能なら突破し、教室内の援護をする事じゃ。

 

「落ちる前提ってのがちょっと気にくわないわね。

 よし、ここで大暴れして坂本を見返してやりましょう!」

「その意気じゃな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [フィールド:英語]

Fクラス 吉井明久 125点

 

Aクラス 久保利光 428点

 

「吉井君には悪いけど、さっさと終わらせてもらうよ」

「午前の僕と同じだと思わない方が良いよ。久保くん」

 

 僕に課せられた役目は久保くんの足止めだ。

 霧島さんを倒すのは雄二と姫路さん。それまでの時間を稼げば良い。

 ただ、この点数差だと非常に厳しい。

 ……普通なら、だけどね。

 

『俺たちも居るぜ!!』

『吉井にばっかり良いカッコさせっかよ!!』

 

 ほんの少しだけど教室に侵入できたFクラスの仲間が居る。

 2~3人は教室の入り口を塞ぐのに割かれてるけど、それでも5人くらいは居る。

 

「ふぅ、忘れたのかい? 僕の腕輪の力を!!」

 

 久保くんが腕輪を使用しようと武器を構える。

 勿論忘れてないさ。午前中にエラい目に遭ったんだから。

 

 久保くんの腕輪の能力は『鎌鼬(かまいたち)』とでも呼ぶべきものだ。

 鎌を振るうとそこから斬撃が飛んでくる。

 性格的には姫路さんの熱線に近い感じかな。アレの攻撃範囲を広げて威力をちょっと下げた感じの1対1よりも1対多に向いてる能力だ。

 その能力を使われてしまうと僕達なんてあっさりと全滅するだろう。

 ……本来なら。

 

「皆! 手筈通りに!

 セット! からの腕輪発動!!」

 

 剣が学園長から貰った白の腕輪は400点を越えていなくても腕輪を使用可能にする。

 もっとも、腕輪は点数を大きく消費するものが結構多いから十全に使う事はできない事が多いけど……僕は運良く燃費の良い能力を引き当てた。

 

Fクラス 吉井明久 125→95点

 

 白の腕輪のコスト(10点)と腕輪の使用コスト(20点)を消費する。

 それと同時に久保くんの腕輪が発動する。

 襲いかかってくる鎌鼬。これに触れたら僕の貧弱な点数なんて消し飛ぶだろう。

 だけど、避けずにそのまま突っ込む!!

 そして他の皆も僕の後ろに続く。

 

「なっ!? 正気かい!?」

「正気だったらFクラスなんてやってられないよ!!」

 

 そして、鎌鼬が僕の召喚獣を切り刻む……なんて事はなく、当たる直前であらぬ方向へと逸れた。

 

「っ!!」

「喰らえっ!!」

 

Aクラス 久保利光 428(腕輪コスト)378(ダメージ)305点

 

 完璧に不意を突いた攻撃を当てられたので(僕にしては)かなりの点数を削る事ができた。

 

「……腕輪を無効化する能力? いや、それとも……」

「よそ見してる暇なんて無いよ!!」

 

 僕の腕輪の能力、それは剣が弾道歪曲(ディストーション)と命名した能力だ。

 自身に命中するあらゆる飛び道具の軌道を歪めて回避する能力。

 ……剣によれば『接近戦を強制させ、泥仕合に持ち込む能力』だとか。泥仕合って、まあ良いんだけどさ……

 腕輪持ちが相手の場合以外はあまり関係ない能力のせいか、コストは1分に20点と非常に安い。

 

「久保くん! ここで君を倒す!!」




「ディストーションは……2回目ね」

「本来の持ち主が使うのは初めてだな。
 ちなみに元ネタはAngel Beats!だ」

「泥仕合に持ち込む能力って……凄い言い方よね」

「圧倒的格上が使う反則技(腕輪)を無効化する能力だからな。
 ……無効化されないのが多数あるが」

「……多数ね」



「では、明日もお楽しみに!」

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