バカ達と双子と学園生活   作:天星

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「ではいってみましょ~

 想星さん、
 走り高跳びさん、
 クロードさん、
 シャラットさん、
 泡沫´さん、
 嗚呼無情さん、
 久未美男さん、
 蒼龍さん、
 枝垂桜.さん、
 火水 総さん、

 感想ありがとうございました!

 では、スタート!」


05 訪問者

 キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン

 

「……ミッション、完了だ。

 12時を過ぎたシンデレラはもう踊れない」

「それは午後12時の話でしょう。そもそも僕達は灰かぶりのお姫様じゃありませんよ」

 

[フィールド:現代国語]

Fクラス  空凪 剣 400→123点

その他Fクラス生徒3→2名

 

Aクラス 三宮銀太郎 359→285点

Aクラス 工藤 愛子 243→199点

その他Aクラス生徒6→5名

 

 生存に重きを置いて更に集中モードも可能な限り抑えたから非常に厳しい戦いを強いられた。

 丁度いい隙があったんで一人撃破する事ができたが、こちらも一人やられてしまった。

 

「それでは、続きは昼休みの後に」

「勘弁して欲しいよ」

 

 こんな面倒な戦いは懲り懲りだ。

 さっさと自分を使い潰してのんびり休みたい。

 休みたいのだが……試召戦争を中断してから再開する場合には原則として中断時の配置に付く事が義務付けられている。

 つまり、再開と同時に顔を合わせる事に……

 ま、今考えてもしょうがないか♪

 

「さ、お前らも撤収するぞ」

「「お~~……」」

 

 ……こいつらもかなり疲れたらしいな。

 まぁ、掠っただけで致命傷になりかねない攻撃が降り注いでいたのだから無理も無いが。

 とりあえず飯でも食って休憩するぞ。

 

 

  ………………

 

 

「ただいま~」

「無事だったか。お疲れ」

 

 教室に入ってきて真っ先に声をかけてくれたのは雄二だ。

 しっかし、『無事だったか』という台詞をかけるくらいならもっと前に増援を寄越してほしいんだが……単に余裕が無かったのか、それともそんなもん無くてもなんとかなると信頼されているという事なのだろうか?

 

「ところで、4階の久保は大丈夫だったのか?」

「康太と保体教師を向かわせてフィールドを張り替えた。

 適当に突っ込んできてくれれば何人か倒せたんだろうが、睨み合いだけで終わった」

康太の保体(切り札)を温存出来たというべきか、戦果が得られなくて残念だったというべきか、悩むな」

「何かの事故で討ち取られるよりはずっと良いさ」

「かもな」

「ところで、三宮が出たと姫路が言っていたが、どういう事なんだ?

 まさか、奴が例の……」

「恐らくは」

 

 奴は瑞希との戦いで削られた上で359点という点数を保有していた。

 素の点数なら……根本を不意打ちで撃破するくらいは普通に可能だろう。

 

「鉄人……どんな洗脳をしたらFクラス生をAクラストップレベルまで引き上げられんだよ」

「とりあえず、『シュミはベンキョウ! ソンケイするヒトは、ニノミヤキンジロウ!!』って唱えながら勉強すればお前も成績が上がるんじゃないか?」

「人として何か大事な物を失う気がするんだが?」

「え? お前って人だったのか? 赤ゴリラじゃなくて?」

「上等だ、表へ出やがれ!」

「それより、瑞希はどこだ? 姿が見えないが……」

「ん? ああ。あいつならさっき飲み物を買いに……」

 

 そんな話をしていたらコンコンと扉をノックする音が聞こえた。

 

「おや、こんな時間に来客が」

「死亡フラグやめい」

「で、誰か訪ねてくる予定はあるのか?」

「いや、特には。とりあえず招いてやろうか。

 どうぞ!」

 

 雄二の声が届いたのか、扉が開かれる。

 

「昼休み中にすみません。姫路瑞希という方にお会いしたいのですが」

 

 入ってきたのは美形の男。三年生のようだ。

 どこかで見た覚えが……あるけど無いな。

 正確にはあったけど消した。どうでもいいモブキャラだ。

 美形の男が教室内に入ってきた事でクラス内が騒然としているが、まぁ僕には関係ない事だ。

 

『美形は帰れゴラァ!!』

『テメェみてぇのが居るから俺らがブサイク扱いされんだよ!!』

『そうだそうだ!! このクラスにイケメンは俺らだけで十分だ!!』

 

 ……突っ込まないぞ、僕は。

 それよりも、モブの後ろにもう一人誰か居るようだ。

 ……ああ、あの人か。

 

「お久しぶりですね。小暮先輩」

「おや、空凪くん。お久しぶり」

 

 モブの後ろに居たのは肝試しの時に色々と世話になった小暮先輩だった。

 確か彼女は3ーAだったな。一体何の用だ?

 

『小暮様、何かお飲み物はいかがでしょうか?』

『こちらはシェフが調理したブラジル料理で御座います。ささ、どうぞ』

『我が家の預金通帳です。どうぞお納め下さい』

 

「用が無いならクラスの連中が錯乱するだけなんでお引き取りを願いたいのですが……」

「刺のある言い方ですね……」

「ああ、申し訳ありません、肝試しの時に汚された床の恨みがどうしても忘れられなくて」

「まだ根に持っているのですか!?」

「冗談です。で、何の用なんですか?」

「こちらの高城君が姫路瑞希さんにお話があるのです」

「それは残念でしたね。彼女は今出かけています」

「そうでしたか。ではまた出直して……」

 

 その時、ガラガラっという音とともに教室の扉が開けられた。

 

「皆さん! 飲み物を買ってきましたよ!」

 

 瑞希が帰ってきたらしい。

 飲み物を買いに行ったとは聞いていたが、僕達の分も買ってきてくれたのか。

 瑞希は教室の入り口近くに立つ三年生2人を華麗にスルーして飲み物をもってきてくれた。

 

「はいっ、どうぞ!」

「サンキュ。丁度喉が乾いていたんだ」

 

 手渡されたドリンクを飲み干し、ゴミ箱に放り投げる。

 よし、入った。今日も調子が良いな!

 

「あの、姫路瑞希嬢、お話があるのですが」

 

 高城(モブ)がおこがましくも瑞希に話しかける。

 

「……何のご用ですか?」

 

 それに対して瑞希が絶対零度の視線で応じる。

 普段の瑞希とあまりに乖離した雰囲気を醸し出していたため教室内が凍りつくが、この2人の関係を考えたら無理も無いだろう。

 その雰囲気に気付いていないのか、それとも気付いた上でスルーしているのか、高城(モブ)は調子を崩さずに会話を続ける。

 

「実は先ほどの学園長のお話で少々伝え忘れた事がありますので、こうして教室に伺いました」

「それならメールで済ませてください。小暮先輩にはアドレスを送ったはずですけど?」

 

 徹底した拒絶の意志を示す彼女。

 これに気付かない奴は相当のアホか大物だろう。

 

「ねぇ瑞希、その人とどういう関係なの?」

 

 この雰囲気に耐えきれなかったのか、島田が瑞希に問いかける。

 

「ああ、この人はストーカーです」

 

 その一言で教室内が騒然とする。

 って言うか殺気立ってる。

 ある意味では紳士であるこのクラスの連中にはストーカーなどという卑劣な行為は許せないのだろう。

 決してイケメンを合法的に貶せるからとかそういう事ではない。きっと。

 

「お待ち下さい、私はストーカーと違って真剣に姫路瑞希嬢の事を考えているのです」

 

『ストーカーは皆そう言うんだよ!!』

『この前オレを捕まえたサツの人がそう言ってたぜ!!』

『ヒャッハァァアア! 殺っちまえぇぇぇっ!!』

 

 一瞬にして暴徒と化したな。って言うかさっき捕まったって聞こえたんだが……

 

「皆さん! 待ってください!! この人に暴力を振るわないでください!!」

 

 それを止めたのは……瑞希である。

 まさかストーカーに情が移ったのか? いやいや、そんな事は無い。

 

「おお、ようやく分かって頂けましたか。姫路瑞希嬢」

「いえ、気持ちが悪いのでしっかりと証拠を集めてストーカー規制法とかで何とかしてもらおうと思っています。

 なので、暴力沙汰は止めてください。もし裁判とかになったら不利になりそうなので」

 

 ちなみに、瑞希がこのモブに最初に話しかけられた段階で僕は相談を受けた。

 その後、僕のアドバイスで康太から小型の録音機や隠しカメラを借りて着々と証拠を集めている。

 ぶっちゃけ警察に駆け込む事にはならないとは思うのだが……まぁ、証拠を集めておいて損は無いだろう。

 ちなみに今の会話は録音できていない。戦争中はその類の機械は禁止されているからな。

 

「……また来ますよ、姫路瑞希嬢」

「…………」

 

 無言で『二度と来るな』と答える瑞希。あのストーカーには……伝わってないんだろうなぁ。

 

「ああ、そうだ。最後に一つだけ」

「……なんですか?」

「いえ、姫路瑞希嬢ではなく、そこの空凪剣君に」

「……何か?」

 

 時間を無駄にした気分になるんで話したくもないんだが……今はさっさと話を聞いてさっさと帰ってもらおう。

 

「空凪剣君。貴方は能力に見合わない待遇を受けている人が相応の立場になろうとしているとき、それを邪魔しようと思いますか?」

 

 ずいぶんと漠然とした言い方だなオイ。

 ニュアンスとしては『高い能力を持っているにも関わらず扱いが酷い人がうんたらかんたら』だと思うんだが、馬鹿正直に曲解すると『低い能力を持っているにも関わらず無駄に扱いが高い人がうんたらかんたら』とも取れる。

 そして前者であろうと後者であろうと何も答えられない。待遇って能力だけで決まるもんでも無いし、それ以外にもいちゃもんを付けようと思えばくらでも付けられる。

 よって、回答不可だな。質問内容が荒すぎる。

 

「質問の内容が抽象的過ぎて答えられません。

 もっと具体的な質問をお願いします」

 

 そう言ってやると高城(モブ)はすこし考えてからこう言った。

 

「……では、質問を変えましょうか。

 貴方は努力は報われるべきであると思いますか?」

 

 ふむ、かなり具体的になったな。

 とりあえずパッと一つの回答が浮かぶくらいには。

 この回答を言ってとっとと帰ってもらって……いや待て?

 相手はストーカーのモブとはいえ3年の学年主席だ。こんな単純明快でかつどうでもいい回答をわざわざ求めるだろうか?

 この質問には何か裏があるのか?

 …………………………まぁ、どうでもいいか。

 

 そして僕は回答を口にする。




「ついに出てきたわね、高城さん」

「地の文で少々ヘイトが溢れていたが……原作であった事を推定してこの作品に適用したらこんなもんになると思う」

「モブのストーカーってバッサリ切り捨てたわね……」

「ここでのモブという言葉は本来の意味である『群集』ではなく『とるに足らない奴』という意味で使っている。
  あと、ここまでの悪感情を抱いているのは少なくとも現段階では僕と瑞希だけだ。まぁ、ストーカーという事でみんな大なり小なり悪感情を抱いてるだろうが」

「当然の結果ね」

「この後に続く僕の返答は駄作者の謎企画で問題として出題されてたな。
 回答は明日発表だ。
 まぁ、回答の更なる解説はもっともっと後になるが」

「では、明日もお楽しみに!」

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