読んでない人は前の話に戻ってね~。
では、スタート!」
「き、貴様はっ!!」
そこに居たのは一人の男子生徒。
瓶底メガネをかけ、髪を七三分けにし、シワ一つ無い制服を着ている生徒。
『真面目』という概念を具現化したかのような存在がそこに居た。
そして、僕はこう言った。
「……誰だ?」
「ちょっ、それは無いでしょう!!」
「いやだって、お前みたいな真面目そうな知り合いは僕には居ない」
「そ、それはそれで問題があるような……って、そうじゃなくて!!」
「御託は要らん、さっさと始めるぞ」
「……そうですね。戦いが始まれば名前も公開されますからね」
召喚している人数が少人数なら召喚獣を召喚するだけで名前と点数が表示されるが、フィールドに一定以上だと『積極的に戦闘行為を行っている召喚獣』のものしか表示されない。
見る人に配慮したのか、もしくはシステムの処理の関係なのか、まぁどっちでも良いんだが。
「では行きますよ!!」
「尋常に、勝負!!」
僕は目の前の謎の男子生徒の召喚獣に
「っと、やることがえげつないよ!?」
ちっ、躱されたか。
悲しいけど、これって戦争なのよね。
何はともあれ、目の前の謎の男子生徒の召喚獣の情報が表示される。
「……そうか、貴様だったか」
[フィールド:現代国語]
Aクラス 三宮銀太郎 359点
「まさか貴様だったとは。久しいな」
「ええ、お久しぶりです。副代表」
彼こそが、最初の試召戦争の時の振り分け試験再試によりAクラスに昇格した元Fクラス生。
鉄人先生に洗脳されて脅威の学力上昇を果たした人物である。
あの時はギリギリでAクラスだったらしいが、この点数を見る限りでは驕る事無く成長しているようだな。
って言うか、交戦した後でこの点数なんだよな。元の点数は一体どれだけなんだ?
少なくとも400を越えているのは確かだ。腕輪も付けてるし。
「Aクラスに入る機会を作って下さった貴方には感謝しています。
しかし、勝負はまた別です。この意味がお分かりですね?」
「当然だな。全力で来るがいい!!」
「安心しました。では、参ります!!」
とりあえず全力で来いとは言ったものの……
適当に攻撃を捌きながら周囲の様子を確認する。
こちらの味方は瑞希を含めて4名、相手は8名。
要注意戦力である工藤の点数は……267点のようだ。消耗しているせいかAクラスの標準とそんなに変わらない点数だな。
それに対して瑞希の点数は……
(お前、点数いくら?)
(2桁まで削られました……)
(オイコラ、一旦引け!!)
(はい)
ギリギリだったなオイ。
瑞希からのフォローが期待できないとなると、撃破は難しいか。雑兵ならともかく、工藤や三宮の撃破はかなりのリスクを伴う。
二人まとめて瞬殺する方法が無いわけではないのだが……今は切り札を使うべき場面ではない。
とりあえず、時間を伸ばそう。それしかない。
幸いというべきか、昼休みになったら休戦する協定を結んである。そこまで耐えれば何とかなるだろう。
長時間戦えるように心を落ち着かせる。感情の昂ぶりは無駄な疲労に繋がる。ここから先に紙一重の見切りなんて要らない。死ななければ問題ない。
さぁ、始めようか。12時まで続くダンスを。
「ついに出てきたわね」
「結構バレてたみたいだな。
根本を殺った犯人として」
「あの狂人がここまで成長したのよね……」
「鉄人の洗脳なら仕方ない」
「……それじゃ、明日もお楽しみに」