バカ達と双子と学園生活   作:天星

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「いっきま~す!

 蒼龍さん、
 久未美男さん、
 シャラットさん、
 泡沫´さん、
 おぺいさん、
 クロードさん、
 枝垂桜.さん、
 走り高跳びさん、
 凛@小毬さん、

 感想ありがとうございました!

 ではスタート」


01 魔剣再び

 試召戦争の始まりはいつも大して変わらない。

 いや、Cクラスが絡んだ場合だけは毎回面倒な事になっていたか。

 だが今回はAクラスとの戦争。それに加えて今回は一騎打ちを5回やるみたいな変則マッチではなく、通常通りの試召戦争。故にいつも通りだ。

 ……アレ? よく考えたらその『いつも通りの戦争』も割と久しぶりなような……

 

「どうしたの剣? 何か妙な顔して」

「いや、日常というものは気づかない内に居なくなっているものなのだと思っていただけだ」

「???」

 

 明久は何がなんだか分からないという顔をしている。

 まぁ、こいつの残念な頭では理解できないのも無理は無いな!

 

「何か今、理不尽にバカにされた気がするんだけど?」

「……そんな事より、敵に動きは無いか?」

 

 僕達は今回、先鋒部隊に配備されている。

 って言うか不本意ながら隊長と副隊長を任されている。

 テキトーに命令を聞くだけの立場なら気楽だったのになぁ。

 

「っと、やってきたようだな」

 

 廊下の奥の方を見るとAクラスの生徒が数名近づいてきているのが見えた。恐らくは敵の先鋒部隊だろう。

 このまま行けば、予定通りに渡り廊下で接触するだろう。

 

「諸君、この戦いが勝利への最初の一歩となる。

 決死の覚悟はできているな?」

 

 皆が一様に頷く。このクラスに(補習)を恐れる者など居ない。

 いや、恐れていないわけではないと思うが補習が日常になっている者が多数居るので気にならない。

 

「それじゃあ皆、手筈通りに頼むよ!」

「「「「「おおおおーーー!!!」」」」」

 

 ……さて、

 今更言うまでもない事だが、Aクラスに対して我がFクラスは個々の成績が非常に悪い。

 故に真っ当にぶつかればFクラスが轢殺されるのは必然だ。

 それを避けるにはどうするか?

 簡単だ。策を凝らせば良い。

 

試獣召喚(サモン)

 

 まずは僕一人だけが召喚を行う。

 

 [フィールド:数学]

Fクラス 空凪 剣 400点

 

 そしていつでもナイフを投げられるように構える。

 ちなみに、システムリセットを受けても軽めの防具に投げナイフ多数という装備は変わらなかった。

 ……まぁ、妙な装備が一つ追加されたんだけどな。

 話が逸れたな。

 これまでの戦争で雄二は様々な手を使って劣勢を覆してきたが、今回着目したのは武器のリーチだ。

 召喚獣の武器には個人差があり、それがそのままリーチの差に繋がる。

 そして僕は希少な飛び道具の使い手だ。いやまぁ、自分の武器を投げちゃえば誰でも飛び道具使いになるんだが……その後丸腰になるから現実的ではない。

 で、この飛び抜けたリーチを上手く使うと……

 

「覚悟しろFクラスめ! 行くぞ!!」

 

 Aクラスの生徒が召喚フィールドに入ってきた。

 まだ早い、もう少し……

 

試獣(サモ)

「そこだっ!!」

召喚()!! って、ええっ!?」

 

Aクラス  Dead

 

「戦死者は補習!!」

「いや、ちょっと待ってくださいよ!! アレは無いでしょう!!」

 

 僕がやった事は極めて単純だ。

 敵の召喚獣出現地点に、ナイフを数本投げた。

 試召戦争はダメージ計算式が色々とぶっ壊れてるので、僕の点数なら2~3本ほどクリーンヒットさせれば大体の生徒は昇天するだろう。

 ちなみに、投擲のタイミングを少し早くすると理論上は敵召喚獣とナイフの座標が重なって上手くいけば大ダメージを与えられそうな気がするのだが、残念ながらそうはならないように物を避けて召喚されるようにプログラムが組まれているらしい。

 遅い場合は回避されるリスクが高まる。まぁ、初見で回避できる奴は居ないだろうが。

 

「さぁ、次は誰だ?」

 

 だが、横で見てる連中にはそんな細かい調整が必要不可欠だという事は全く伝わらないだろう。

 怖気づいてくれたなら……少しでも多く狩らせてもらおうか。

 

「先生、フィールドを前進させてください。

 そしてそこの突っ立てる奴に試召戦争を挑みます!」

「承認します!」

 

 フィールドが動き、Aクラスの生徒数名が射程圏へと入る。

 

「さぁ、召喚しろ!!」

「え、あ、ぐっ、試獣召喚(サモン)!!」

 

 おっと、投擲のタイミングを図り損ねた。仕方ない。普通に倒そう。

 ……いや、せっかくだからちょっと派手に倒そう。

 

「クックックッ、さぁ目覚めるが良い、我が魔剣ダーインスレイヴよ!!」

「えっ、まさかその剣は!?」

 

 そう、システムリセットで着いてきた妙な装備。

 召喚獣がオカルト仕様になった騒動で出てきた『魔剣ダーインスレイヴ』である。

 あの時の剣と完全に同じ物……かどうかは知らんが、少なくとも外見は一緒だ。

 そして、この剣を抜き放って常夏コンビの召喚獣を武器ごと切断したのは二年の間では有名な話だ。

 もしこの剣が開放された場合、召喚獣の一人や二人、あっさりと消し飛ぶだろう。

 ……ま、抜刀する気は全く持ってないんだけどね♪ 何か危なそうだし♪

 

「喰らうがよい、我が魔鞘一閃(ましょういっせん)を!!」

 

 魔剣を鞘に入れたまま相手をぶん殴る。

 そして相手の召喚獣はあっさり消し飛んだ。

 ……アレ? 抜刀しなくても大して変わらないような……ま、いっか。




「あいかわらずヒドイ戦術ね……」

「実はこの戦術、最初の予定では合宿編で使う予定だったらしい」

「え? ずいぶんと前ね」

「そしてその頃は更にヒドイ戦術だったなぁ……」

「一体何があったの!?」

「……まぁそれはさておき、こいつを100%の精度で成功させる事ができればかなり強いが、実際には半分いけば良い方だ。但し初撃は除く」

「その初撃を喰らった人がトラウマにならないといいけど……」



「では、明日もお楽しみに!」

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