バカ達と双子と学園生活   作:天星

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「それじゃ、始めるよ。

 クロードさん、
 想星さん、
 泡沫´さん、
 走り高跳びさん、
 火水 総さん、
 虎の子ウラヌスさん、
 光明さん、
 久未美男さん、
 枝垂桜.さん、
 蒼龍さん、

 感想ありがとうございました。

 では、スタート!」


13 決着

「ふむ、やはりか」

 

 単純な話だ。

 RPG風に言うのであれば『物理攻撃が効かないなら魔法攻撃を試せば良い』というだけの話である。

 これで済んで良かった。

 ちなみに他の仮説は『霧島の刀を奪って使う』とか、『床への判定は怪しいので、床を抉って投げつける』等である。

 しっかしまぁ、凄まじい制限だな。

 霧島が400点を取っている場合、それを倒そうと思ったら最低でも400点を越えてないといけない。

 越えていても扱い辛い能力や、直接ダメージを与える能力で無い場合はやっぱり無理なわけだ。

 雑兵の干渉を受け付けないというのは学年主席として君臨する霧島に相応しい能力と言えるかもしれんが……

 

「……戻るか」

 

 そろそろ向こうの戦争も決着が付くだろう。最後くらいは立ち会おう。

 

 

 

 

 

「行け! 小山の首を取るぞ!!」

 

 須川の号令でFFF団の軍勢がCクラスの拠点であるF教室に突入する。

 よっぽどの事が起きない限りは仕留めきれるはずだ。

 

「で、姫路、お前は行かなくて良いのか?」

「小山さんに問い質すのは終わった後で構いません。それより代表の側で不意打ちを警戒しておきます」

「そうだな。こんな所で不意打ちで死んだらアホだな」

 

 俺よりも高い点数を持ってる生徒がCクラスに居るとも思えんが、今は戦力過剰なのだから腐らせておくよりは近衛部隊にした方が建設的だ。

 

「全くだな。そういう意味では試召戦争のルールってちょっとおかしいよな」

「ああ。まぁ、うちらみたいな下位クラスとしては助か……」

 

 ……ちょっと待て、今なんか自然な感じで会話に割って入ってきたのは……

 

「よっ」

 

 ジャージを着て、顔にいくつか青あざがあるが、それでも見間違えようが無い。

 

「剣っ!? 一体いつからっ!! って言うか今までどこに居た!?」

「そんな事は後で良いだろ。今は戦争に集中するぞ」

「むぐっ」

 

 確かにそうだ。そうなんだが……

 

『Cクラス代表、討ち取ったり!!!』

 

「よし終わったぞ。さあ訊かせてもらうぞ!!」

「貴様は代表だろうが。さっさと小山と話してこい」

「じゃあ私が……」

「瑞希、貴様もだ。小山に訊くべき事があるんじゃないのか?」

「それはそうですけど……」

「安心しろ。話さないとは言ってない。ただ、優先順位を違えるなと言っているだけだ」

「……仕方ないですね……」

 

 確かに剣の言う通りではある。

 まぁ、剣は逃げないんだから、先に小山との話を終わらせるか。

 ……逃げないよな?

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、通常通り設備を1ランク下げる。3ヶ月の間は宣戦布告禁止だ」

「……交渉の余地は?」

「無い。宣戦布告権を奪っておかないと危なくってしょうがない」

「そうよねぇ。分かったわ。設備の入れ替えは明日で良いかしら?」

 

 教室がランクダウンする際に、机や椅子(正確には卓袱台と座布団)を他のものと入れ替えるわけだが……今すぐやれというのも酷だろう。

 そもそも宣戦布告さえしないのであればぶっちゃけどうでもいいし。

 

「分かった。それで構わない」

「ありがと。迷惑をかけたわね」

「迷惑? クラス代表なら他クラスに挑むのは当然の事だろう?

 確かに迷惑ではあるが、謝る必要は全く無いぞ?」

「……そっか」

 

 戦後会談が終わったのを見計らって姫路が前に出てくる。

 

「小山さん、お尋ねしたい事があります」

「何かしら?」

「黒幕は、誰ですか?」

「……私、そんな頼りなく見えるのかしら……」

「???」

「いえ、何でもないわ。

 今回私に手を貸したのは3-Aの小暮先輩よ」

 

 小暮? どこかで聞いたような……

 ……あ、肝試しの時の、

 

「あっ! 肝試しの時のエロい先輩か!!」

 

 明久……木下姉の耳に入ったらしばかれるんじゃないか?

 

「小暮先輩……3-Aの……

 他には居ませんでしたか?」

「私と話した人は小暮先輩だけだったけど……もう一人味方が居るみたいな事を言ってたかも」

「分かりました。ありがとうございます」

 

 その答えを聞いて姫路は納得したようだ。

 ……さて、

 

「それじゃあ剣、喋ってもらおうか?」

「ふむ、大体全員揃っているようだし、構わない」

「全員?」

「貴様等以外にも、僕の行動を知りたい奴は居るだろう。

 例えばそこで微妙に目を逸らしている会長とか」

 

 会長という単語を聞いて須川がビクッとする。

 確かにそうだな。皆の前で話した方が良い。

 

「えっとだな。FFF団にボコボコにされて瀕死の状態になった。

 流石はFFF団と言うべきか、致命傷は一切無かったな」

 

 FFF団の攻撃は何故か死者は出ないからな。理由は不明。

 

「で、皆が去った後に、何とか保健室まで移動。そこでしばらく休んでいた。

 ついでに、制服がボロボロだったんでジャージを借りて着替えた」

 

 そこまで移動するくらいなら教室に戻ってくれば良いんじゃないだろうか?

 まぁ、保健室は停戦区画なんで襲われる心配は無いし、剣も色々と考えていたのかもしれない。

 

「何とか歩けるまで回復したら保健室を出てB-Aの試召戦争を見物してた」

「見物って、呑気な奴だな……」

「僕が居なくても勝てるだろ? だったら次の戦争を見据えての情報収集した方が良い」

「間違ってはいないんだが……それで、良い情報は手に入ったのか?」

「それは後で説明する。まあ、役には立つであろう情報だ。

 ……続けるぞ。B-Aの試召戦争に決着が着きそうだったんで、こっちに戻ってきた。

 これで終わりだ」

「ったくお前って奴は……無事なら連絡するくらいしたらどうなんだ?」

「携帯は壊れてしまったんでな。そもそも試召戦争中は携帯禁止だが。

 次の休日にケータイショップ行かないとな」

 

 確かに連絡は取れないんだが……それでも何か方法があったんじゃないだろうか?

 

「……あ、そうだ。須川!」

「な、何だ?」

「どうやら約束を守ってしっかりと戦争に参加してくれたようだな。感謝する」

「いや、そんな、感謝なんて……」

「で、もう一つの約束は守ってくれるのか?」

「もう一つ?」

「僕と瑞希の関係を蒸し返さない事、だ」

「あ、ああ。あんな思いは二度とゴメンだ。本当に済まなかった」

「……FFF団会長が謝るとは、明日は槍でも降るのか?」

 

 いや剣、須川を含めてFFF団はほぼ全員怯えきってたぞ?

 って言うか、FFF団のリンチを数十分受けたにもかかわらずここまで回復しているお前が地味に怖いんだが。

 

 

「……空くん」

「……何かな?」

「……覚悟は、できていますか?」

「……何の事やらさっぱり……」

 

パシィィン

 

 おぅ、姫路が剣にビンタをかましたぞ。良い音が響いたなぁ……

 

「自分を犠牲にするような真似は止めてくださいと言ったはずですよ! どうしてこんな事をしたんですか!!」

「……それを了承した覚えは全く無い」

「少しは人の気持ちを考えてくださいよ! わ、私がどれだけ、し、心配したかっ!」

 

 そこまで言うと、姫路は大粒の涙をこぼしながら泣き出してしまった。

 

「ひっく、ぐすっ、し、心配したんだから! 空くんのばかぁぁぁぁああ!」

「あ~、よしよし、悪かった悪かった」

 

 剣は姫路をそっと抱きとめて頭を撫でている。

 戦争中は姫路が人外になりつつあるとか思ってたが、こうやって見るとただの女の子だな。

 ……まぁ、戦争中の活躍は人外以外の何者でも無かった気がしなくもないが。

 

 

 

 

 

 たっぷり数分経ってから姫路が泣き止んだ。

 

「私に心配をかけたので、空くんには一つ、罰を与えます」

「はいはい。何をさせようって言うんだ?」

「……後で考えます」

「おい」

「楽しみに、待っててくださいね♪」

「はぁ、お手柔らかに頼むよ」

 

 

 

 こうして、Fクラス対Cクラスの戦争は終結したのだった。




「ふ~、終わった終わった」

「呆気なかったわね~」

「Cクラスとの戦いをあれ以上盛り上げるのは不可能と判断して伏線を張る事を重視してたからな」

「そう言えば、確かに色々と張られてたわね。伏線」

「ああ。色々とな」


「では、明日もお楽しみに!」

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