クロードさん、
蒼龍さん、
ダークリベンジャーさん、
想星さん、
泡沫´さん、
走り高跳びさん、
光明さん、
白犬のトトさん、
火水 総さん、
感想ありがとうございました!
それじゃ、開始ね」
「……以上が、事の顛末だ」
「…………」
俺は須川からの話を聞き終えて、心の中で深いため息を吐いた。
あの馬鹿野郎、また自己犠牲か。
最速で決着を付ける方法ではあるのは認めるが、このFFF団が口約束を履行する保証はどこにも無い。
いやまぁ、『反逆する理由』さえ取り除いてしまえば扇動は容易だし、今回の件でFFF団の連中はかなり恐怖を感じたようだから姫路の件でこれ以上突っかかってくる事は無さそうではあるが。
そこまではまだ良い。いや、良くは無いんだが、本当の問題は……
「……フフッ、ウフフフフッ」
段々と瞳を暗くしながら不気味に笑ってる姫路だよ。
ブチ切れた時の翔子と同じくらい怖いんですけど? どうしてくれんだよ一体。
「……皆さん」
姫路が皆に呼びかける。FFF団員の視線が一斉に向く。
「……返事は?」
『は、はいっ!!』
姫路の異様な雰囲気に呑まれ、皆が慌てて返事をする。
「宜しい」
姫路はゆっくりと壇上に上り正面を向くと教卓を叩いた。
バンッ!!
『ヒィッ!!』
「……それで、皆さん、満足しましたか?」
姫路の質問の意図が分からなかったのか、皆ポカンとしている。
「空くんを痛めつけて満足したか、こんな事は二度としないかと問うているんです」
『ハ、ハイッ!! もう二度としません!!!』
「……なら、良いでしょう。皆さんも十分に反省しているようですので、この件は不問にします」
あれ、おかしいな。空耳か?
今、『不問にする』って聞こえたんだが……
「で、空くんは今どこに?」
「あ、ああ。それなら誰かが保健室に……」
須川はそこまで答えて、それから少し考え込む。
「……おい、空凪を保健室まで連れてった奴は挙手してくれ」
数秒間待ってみるが、誰も手を挙げない。
って事は……
「まさか、空き教室に置き去りにしたんですか!?」
「そ、そうなる、な」
「行ってきます!!」
姫路が一目散に駆け出す。
「おい、姫路っ! ちょっと待っ!」
俺が言い終える前に教室から飛び出してしまった。
一人で行っても運ぶのが大変だろうに……
「ったく、俺も行ってくる。須川、お前も剣を運ぶのを手伝え」
「あ、ああ!!」
俺たちは急いで姫路を追い、空き教室に飛び込んだ。
だが……
「居ない……だと?」
部屋の中に居たのは立ち尽くす姫路だけ。
「須川っ! 確かにこの部屋だよな!?」
「間違いない!」
「本当か? 他のよく似た部屋と勘違いしてるとか無いだろうな?」
「血痕まで残ってるんだ。間違いなくこの部屋だ!」
という事は自力で動いてどこかに移動した、あるいは誰かが運んだって事になるが……
「そうだ、電話! 繋がれば場所が……」
「いえ、もう試しました。繋がらないみたいです」
「くっ、そうか……」
一体どこに消えたんだ……?
学校内に居るのか、それとも……
ピンポンパンポーン
『間もなく、2-C対2-Fの試召戦争が始まります。
各クラスの生徒は所定の位置に着いてください』
くそっ、もう時間か。
「……仕方ないですね。この戦争を片付けてから、考えましょうか」
「そうだな。スマン」
「坂本くんが謝る事ではないですよ。さぁ、戻りましょうか」
姫路の口調は穏やかだ。
穏やかだからこそ、怖い。
面倒な事にならないと良いんだが……
全員が教室に戻った所で試召戦争まであと5分ほど。
これなら作戦を説明して工作する時間はありそうだ。
ちなみに、FFF団の連中は全面的に協力するそうだ。
全員剣に怯え……いや、姫路に怯えてるな。
「それじゃ、作戦概要を説明するぞ。と言ってもやることは極めて単純だ。
簡潔に言うと『敵を引きつけてから小山に強い戦力を送って撃破』だ」
「坂本、簡単そうに言うけど、無茶じゃないか?」
「安心しろ、策はある。
まずは全員でここに籠城する」
本来はBクラス戦(第二回)の時に使った防衛用の戦法、例えば階段戦法とかを使おうかと思ったのだが、アレを使うには渡り廊下から来る敵軍の先鋒部隊を押し留めておく必要がある。
うちがCクラスと真っ正面からぶつかったら苦戦は必至、そして本末転倒だ。
前回は剣の神業でしのいだが、それでもかなり厳しかったみたいだしな。
明久なら似たような事はできるかもしれんが……点数が低いので成功率はかなり低いだろう。
ちなみに、屋上に立て籠もるのはルールで禁止されている。あくまで大人数で立て籠もるのが不可というだけで、数人がそこで戦う分には構わないが。
そういうわけで、今回は堅実に籠城を選択する。
他の作戦も軽く検討したが……
まず、合宿でのCクラスとの戦争でも使った移動し続ける類の戦法。
……アレは基本的に逃走や防衛がメインなので、代表に止めを刺す暗殺役が必要だ。
点数的には問題ない奴は居るが……そもそもの前提として間違いなく警戒されてるからよっぽど上手い手を考えないと近づけないだろう。
そんな失敗する作戦で貴重な戦力を落とすわけにはいかん。
他には、普通に
これも悪くは無いのだが……今回は相手が積極的に攻め込んでくるわけだから、迎え撃った方が良いだろうと判断した。
ちなみに、一定時間戦闘が行われなかった場合、
「そういうわけだから、まずは出入り口を一つ塞ぐぞ」
「「「応っ!」」」
まずは二つある出入り口の片方を机で塞ぐ。
あとは残った入り口の方で壁を上手く使って立ち回れば相当の戦力差が無い限りは押しきられる事は無いだろう。
入り口を塞ぐ作業が終わった辺りで試召戦争開始の放送が流れた。
さて、始めるか!
「今回でルールの新解釈『防衛戦』ってのが追加されたな」
「って言うか、『戦闘停滞のペナルティ』っていうのが妥当な表現じゃないの?」
「まあそうなんだが……
試召戦争について考えると一番良い戦法は『教室の出入り口を一つに絞り、そこで待ち受ける事』だと思うんだよな。
勿論、自由な動きが阻害されるとかいうデメリットはあるけども」
「多人数で囲んで袋叩きにするのが一番楽だもんね」
「だがお互いにそうやって待ち構えていると戦闘が全く進まない。
だから、戦争を仕掛けた側には攻撃を仕掛ける義務があるべきだと考えたわけだ」
「……他のクラス、今まで何でこの戦法とらなかったのかしら?」
「…………さぁ……?」
「…………」
「あと、このルールを設けた別の理由として『嫌がらせ行為の禁止』が挙げられる。
宣戦布告したのに何もしない……みたいなのを何度もやられると受けるクラスは面倒な戦争に備える必要があるし、授業は潰れて補習が増えるし、面倒だからな」
「では、明日もお楽しみにっ!」