クロードさん、
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凛@小毬さん、
感想ありがとうございました!
では、スタート」
『須川! 貴様も無駄な怪我人は出したくないだろう。5分で終わるから、話を聞いてくれないか?』
そんな事を空凪から言われて、俺たちは近くの空き教室まで連れてこられた。
「それで、何をしようっていうんだ?」
俺が空凪に向かって話しかける。
他の団員は俺が話し終えるまで待ってくれているようだ。
これぞ俺のカリスマ性の賜物! ……ではなく、空凪が怖いからなんだろうなぁ。多分。
「……貴様等に僕から要求するのは次の2点だ。
一つ、戦争が始まったら雄二に全面協力する事。
二つ、これ以上僕と瑞希との関係に関する話題を蒸し返さない事。
以上だ」
「お前にとって都合が良すぎないか? もしそれを受け入れたら何をするって言うんだ?」
「何も」
「何だと!?」
「これから50分間、何もしない。
お前たちが何をしようと、一切抵抗しない」
教室内が、一瞬静まり返った。
「正気、なのか?」
「僕が正気であった事が今までにあったとでも?」
俺の問いに妙な答えを返す空凪。
正気かどうかはイマイチ分からなかったが。
「さぁ、どうする? この条件で受けてくれるか?」
ちょっと待て、今までの異端者は『女子に声をかけた』程度の比較的軽い罪で裁いてきた。
そして、常に抵抗していた。
だが、今回の罪状は『女子と、しかもFクラスのプリンセスである姫路と正式に付き合う』という極めて重いもの。
そんな状態で俺たちが裁きを下したら……とんでもない事になってしまうんじゃないのか……?
少なくとも、この時点では俺と同じような不安を持ってた人は居たはずだ。そう信じたい。
だが、制裁を望むプレッシャーを後ろから感じる。受けるしか……無いのか?
「……分かった。それで受けよう。
諸君、やれ」
「喰らえっ!!」
団員の一人が空凪に殴りかかる。
空凪は、一切防御しなかった。
「がふっ!」
吹っ飛ばされて、床に倒れる。
だが、すぐに何事も無かったかのように立ち上がった。
「……終わりか? そうでないなら、来るが良い」
「うっ、うおぉぉおおおおお!!!」
……そこから先はあまり覚えてない。
ただ、怖かった事だけは覚えてる。
何度殴られても何事も無かったかのようにあいつは立ち上がった。
顔に青あざができても、どこかが切れて血が出ても、服がボロボロになっても、立ち上がってきた。
そして、うっすらと笑ってたんだ。
「クッ、くっくっくっ、どうした、終わり、か?」
見るからにボロボロなのに、酷薄な笑みを浮かべていた。
一瞬でも気を抜いたらこっちがやられるんじゃないかって、そんな気さえしてくる。
だから俺は、気がついたらあいつをぶん殴っていた。
全力で殴ったはずなのに、あいつはまた何事も無かったかのように立ち上がり、同じように笑みを浮かべた。
……どれくらいの時間が過ぎただろうか?
誰かが殴って、そしてまた立ち上がる。
そんなループが終わったのは、あいつが倒れて、ピクリとも動かなくなった時だった。
「お、終わった……のか?」
誰かが呟いた。
そうだ。やっと終わった。
けど、俺たちが感じていたのは異端者に制裁を与えてやったという達成感ではなく、恐怖からの解放感。それと……
……無抵抗のまま殴られ続けた空凪への……妙な後ろめたさ。
そして、また誰かが呟いた。
「……ここまでする必要があったのかな……?」
いつもなら『異端者を庇うとは、貴様も異端者だな!!』みたいな声が即座に上がっただろう。
けど今は……咎める者は誰も居なかった。
「ふはははは! 逃げ回ってばかりいた原作主人公たちとの格の違いを見せつけてやったぜ!!」
「いや、あきらかに逃げるのが模範解答だからね!?」
「だって面倒くさいじゃん」
「理由はそれだけなの!?」
「いや、色々あるけど」
「ぶん殴って良い?」
「良いけど、避けるぞ?」
「避けるんかいっ!!
…………はぁ……君のその性格は死んでも治らなそうね」
「まあな!」
「褒めてないから!!」
「それじゃ、次回もお楽しみに!」