バカ達と双子と学園生活   作:天星

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15 下準備

  ……翌日朝……

 

「……以上で」

「では採点します」

 今回は担任の福原先生に頼んで日本史を受けさせてもらった。

「……どうぞ」

「ありがとうございます」

 さて、今日はどうやって過ごそうか。

 雄二によればAクラスとの決戦は早ければ明日、遅ければ明後日になるらしい。

 とりあえず……寝るか。

 

  ………………

 

「おーい、起きろ」

「んぁ? ……ああ雄二、おはよう」

 そういえば……

「結局Cクラスはどうするんだ?」

「抜かりは無い。役者が揃ったら始める」

「そうか。じゃあ役者が揃ったらまた起こしてくれ」

「分かった。あと、お茶飲んで良いか?」

「おう、好きに使ってくれ」

「……おい、開かないんだが」

「ああ、ちょっとコツがあってね……セイッ!!」

 

バコン

 

「全体重をかけて思いっきり踏み抜くんだ」

「な、何でまたそんな面倒な……」

「だって、簡単にめくれたら危ないじゃん」

「確かにそうなんだが……なんだかなぁ……」

 ……あ、そうだ。

「雄二、クラス代表にちょっと頼みたい事があるんだけど……」

「ん? 何だ?」

「いやまぁ大したことじゃない。

 ちょっとね……」

 

 ……

 

「なるほど、分かった。手配しておく」

「サンキュ」

 じゃ、改めて、お休み~。

 

  ………………

 

「よし、全員揃ったな。

 これから、Cクラスに対して、ある作戦を実行する」

「Cクラス? 何をするの?」

「秀吉にコイツを着てもらう」

 女子制服二着目……

 ホントどこから持ってくるんだろう?

「それは構わんのじゃが……ワシが女装してどうするんじゃ?」

 いや、構えよ。その辺の行動がお前を女子っぽく見せてるぞ……

「秀吉には木下優子としてCクラスを挑発してもらう」

 なるほど……あの代表なら、割とあっさり引っかかるかもしれない。

「あと剣、お前はBクラスに行って例の宣戦布告もどきをするように伝えてくれ。

 制服はあっちの副代表に預かってもらってるから、言えば通じる」

「りょーかい。じゃ、行ってくる」

「着替え終わったぞい」

「速っ!!」

 僕と雄二の会話は長くても10秒程度だったぞ!?

「演劇部で速着替えや慣れとるからのぅ」

「……ま、良いや。行ってくる」

 

  ……Bクラス教室……

 

「失礼しま~す」

「お、お前は!! 寄るな変たゴフッ!!」

『とりあえず黙らせました!』

「そ、そうか……ご苦労」

 あまりの鮮やかさに一瞬フリーズしてしまったよ。

「えっと、例の制服は御空さんが預かってるって聞いたけど……」

「ええ。宣戦布告もどきをするのよね?

 5分くらいで着替えさせるから、また来てくれる?」

「りょーかい。頼みますよ」

 そうだなぁ……Cクラスの様子でも見てくるか。

 

  ……Cクラス教室前……

 

『静かにしなさいこの薄汚い豚供!!』

 お、おい……

「流石秀吉だな」

「うん、これ以上無い挑発だね……」

「こ、これは流石にマズいだろ……」

「あれ? 剣、Bクラスはどうしたの?」

「着付けにしばらく掛かるらしいから様子を見に来た」

 

『な、何よアンタ!』

『話しかけないで! 豚臭いわ!!』

 

 こ、これ……木下姉の耳に入ったら……

 

『あ、アンタAクラスの木下ね!?

 ちょっと点数が良いからって良い気になってんじゃないわよ!!』

 

 かと言ってここで乱入する訳にもいかんし……

 

『私はね、こんな醜くて豚臭い教室が同じ校内にあるってだけで我慢出来ないの!

 貴方達には豚小屋で十分だわ!!』

『なっ!? 言うに事欠いて、私たちにはFクラスがお似合いですって!?』

 

 おい?

 

『手が穢れてしまうから本当はもの凄く嫌だけど、特別に貴方達を相応しい教室に送ってあげようと思うの』

 

 そうだね……いつか送ってやりたいな。残念ながら、非常に残念ながら今では無いが。

 

『丁度試召戦争の準備もしてるみたいだし、覚悟しておきなさい!

 近いうちに必ず貴方達を始末してあげるから!!』

 

 そうだね。一年以内には実現したいね。

「ふぅ、これで良かったかのぅ?」

「ああ、素晴らしい仕事だった」

 

『Fクラスなんて相手にしてられないわ!! Aクラス戦の準備を始めるわよ!!』

 

 うん、戦略的にはかなり良い影響を与えたみたいだけど……

「あれ? どうしたの剣。浮かない顔して」

「……アレが木下姉の耳に入ったら……」

「「「…………あ」」」

「……今気にしてもしょうがない。

 Bクラスに行ってくる」

「そ、そうか……頼んだぞ」

 

  ……再びBクラス教室……

 

「お、終わった……わ」

「ど、どうしたお前!? 何でそんな衰弱してるんだ!?」

「見れば……分かるわ」

 ……なるほど。

 そこには汚物(女装した根本)が転がっていた。

「……Bクラスの諸君、ご苦労だった。

 Fクラス副代表として心からのお礼と、お詫びを申し上げる。

 こんな汚れ仕事をさせて済まなかった」

『いやいや、スッキリしたぜ!』

『日頃の恨みを晴らしてやったぜ!!』

 そんなに悪事を働いてたのか……?

「とりあえず……起きろっ!!」

「くぺっ、ハッ、ここは……」

「早くしないと授業が始まる。行ってこい」

「ぐぅぅぅぅ……分かった……」

 

 ……side out……

 

 ……光side……

 

「っ、また!?」

 最近悪寒が走る事が多いような気がする……

 私はいったいどこの戦場に紛れ込んだと言うのか?

「ん~っと……

 高橋先生、何か顔を覆える物ってあります?」

「目出し帽がいくつかありますよ」

 何故!?

 どこの強盗集団よ!!

「ま、いいや。とりあえず三つほど貸してください」

「いいですよ。どうぞ」

 それじゃ、適当に発言力のありそうな……

「代表と優子、これかぶってくれる?」

「えっと……何故?」

「直感よ。これを身につけてないと恐ろしい事になるわ」

「ひ、光が言うなら……仕方ないわね」

「……(コクリ)」

 目出し帽をかぶる3人組。私ならまず間違いなく通報するわね。

「あと、他の人は窓の外を見てて。

 絶対に振り向いちゃダメよ」

 こんなものかな。

 あとは災厄が来るのを待つしか……

 

ガラガラガラ

 

「し、失礼する。我々Bクラスは……って、何故誰も目を合わせようとしない!!」

 ……うん、目出し帽かぶってて良かった。

 対策してなかったらかなり大変な事になってたと思う。

「要件は?」

「わ、我々BクラスはAクラスに対して試召戦争の準備がある!」

「……それだけ?」

「い、以上だ!」

「そう……じゃ、早く帰って。この目出し帽、結構息苦しいから」

「うわぁぁぁぁぁぁんん!!!!」

 はぁ……Fクラスがそろそろ仕掛けて来るのかなぁ……


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