「……大体揃ったようだな」
しばらく誰も来なくてやきもきしていたが、集合時刻には皆ちゃんと来た。
……一人を除いて。
「ふぁ~ねむ……あ、みんなおはよう。どうしたの?」
「……明久、今日は海に行く日だぞ?」
「へ、うみ? うみ……
………………
……海!?」
「遅いわっ!!」
どうやらこのアホは海の事なんかすっかり忘れて熟睡してたらしい。
準備とか大丈夫なんだろうか……
「……あれ? 姉さんは?」
「ああ、何かレンタカーがどうとか」
これだけの人数を乗せる車だからな。
自家用車として持ってる人はそうそう居ないだろう。
「ところで、この人数って普通の免許で大丈夫なの?」
「…………あれ? 確かに」
島田の問いを深く考えてみる。
そう言えばそうだ。わざわざ『大型免許』とかがあるんだから、
……何人だっけ?
「……普通免許なら10人まで」
心を読んだのか、霧島が答えてくれる。
さて、今回の人数は……
「12だよな。
…………オーバーしてね?」
「……中型免許があれば大丈夫」
「……そりゃそうか」
そうだよな、中型免許があれば良いんだよな。
……本当に持ってるんだろうな、玲さん……?
……数分後……
「え? 持ってませんよ?」
「何やってんですか!!」
車を借りてきた玲さんに問いかけたらそんな返答が返ってきた。
「剣くん、大丈夫ですよ。
……バレなければ問題ありません」
「問題ありますよ!! ってかそもそもどこに乗せるんですか!! 座席は埋まってますよ!?」
「トランクに詰め込んでおけば……」
「いや、そこは荷物で塞がってるでしょう」
「ふふふっ、冗談ですよ。こんなこともあろうかとちゃんと中型免許は持っています」
「……驚かさないで下さいよ!!!」
ちなみに、後で調べた事だが……
普通免許しか持ってない状態で中型車を運転すると無免許運転となり、バレたら一発で免許取消になる。
免許を取った人が居たら気をつけよう♪
「ところで、初めて会う方もいらっしゃるようですね。
私は吉井玲といいます。いつも愚弟がお世話になっています」
「あ、初めまして。島田美波です。今日はよろしくお願いします」
「こんにちは、吉井君のお姉さん。ボクは工藤愛子です」
「……初めまして。坂本雄二の妻の翔子「おい待て! 何勝手な事を!」
……冗談です。霧島翔子です」
「美波さんに愛子さんに坂本翔子さんですね?」
「ちょっと待て!! 何で翔子だけ名字を付けたんだ!!」
「坂本翔子になるのは時間の問題だと聞いていたので」
「誰だそんな事を言った奴は!!」
僕だ。
「あのっ、木下優子です。よろしくお願いします」
「ああ、貴女が優子さんですか。本当に秀吉くんにそっくりですね……」
「まぁ、はい」
玲さんから妙な威圧感が出てる気はするが……それだけだ。
2人の最初の対面が特に何も無くて良かった。
「それでは皆さん、時間も勿体ないですし、車に乗ってください。
荷物はトランクに。乗りきらない分は……各自何とかして下さい」
ずいぶん適当な指示だな。異論は無いが。
とりあえず荷物をトランクに放り込み、適当な座席に座る。
「ここで良いか」
3人4列の座席の中で
「じゃあ私はここで」
そして姫路が当然のように左隣に座る。
「……姫路、こういう所は普通男女別じゃないか?」
「え? そうですか?」
「……玲さんはどう思いますか?」
第三者に助けを求めてみるが……
「そうですね、不純異性交友は認められないので男女別の方が良いですが……」
「……が?」
「そもそも女子7人男子5人なので溢れますね」
「……だったら男子を3、2に分ければ……」
「…………車酔いしやすいから最前列にさせてもらう」
「あ、ボクも!」
ハハハハ……貴様等良い度胸だな。
最前列には運転手の玲さんに康太と工藤が座るとなると残りは男子4人に女子5人。
なるべく男女別にするなら男子3、女子3、男女1と2に分けるのが正しい組み合わせになる。
一度決めた席を離れるのも面倒だし、そもそも変えた所で姫路が付いてくるのは目に見えてるからなぁ……
……仕方あるまい。受け入れるか。
ちくしょう。何でこんな事になったんだ。
……自業自得という言葉が聞こえた気がしたが、気にしないでおこう。
参考までに席順を
康工玲
光優翔
秀明雄
島姫剣
こんな感じです。少々見辛いですが。