「貴様等、もう補習室に行く必要は無い。
もう戦争は終わったのだから」
「バカな……この俺が……Fクラスなんかに……」
「これから戦後対談になるから、Fクラスに移動してくれると助かるんだが」
「こ、これは何かの間違いだ!! そうだ!! これは夢に違いなゴフッ!!」
悔しさや悲しさのあまり叫び散らすくらいなら別に良いが……それは流石に見苦しいぞ……
僕が連れて行っても良いんだが、Cクラスに用事があるっていう建前があるからな。
「おい君たち。
……そこに突っ立ってるBクラスの君たち!」
「「は、ハイッ!!」」
「済まんがコレをFクラスまで運んでくれ」
「は、ハイッ! 直ちに!!」
倒れた(倒した?)根本を引きずって行くBクラスの2人。
別に引きずれとは言わなかったんだけどなぁ……
じゃ、本来(?)の用事を果たすか。
「えっと、小山さん」
「…………何?」
「さっきも伝えたが、あんたのファンクラブを名乗る不届き者達はしばらくはおかしな事が出来ないようにしておいたんで、
もし何かその関連でトラブルがあったら連絡してくれると助かる。
以上だ。じゃあな」
「え? ちょ、待ちなさい!!」
無視無視っと。
とっととFクラスまで帰るぞ。
…………
「ただいま」
「おうご苦労。よくやってくれた」
教室の中は騒然としている。
停戦中のはずなのに相手の代表が戦死したのだから当然と言えば当然だが。
代表の戦死を聞きつけたBクラス生徒も何人か来ている。
「んじゃ戦後対談だな。剣、殺れ」
んじゃあ御命令通りに。
「おら、起きろ!!」
「グハッ!! うっ……ここはどこだ……?」
そしてその次にお前は『お、俺は誰だ……?』と……言わないな、うん。
「よう根本。ずいぶんと面白い事してくれたじゃねぇか」
「さ、坂本っ!」
「そうだ。Fクラス代表の坂本だ。
早速戦後対談といこうじゃないか。負け組の代表さん?」
「ふ、ふざけるな!! あんな勝負無効だ!!」
おいおい、流石に今更言うのは見苦しいぞ……
「だいたい、ファンクラブって何だ!! そんなもん勘違いするに決まって……
「黙りなさい!!」
その声を発したのは、僕でも雄二でもなく、ましてはFクラスの誰かでもなく……
「初めまして、Fクラスの皆さん。
Bクラスの副代表を務めさせて頂いている『
うちの代表がご迷惑をおかけしてすいません」
「み、御空っ! お前からも何か言ってやってくれ!!
こいつらがした事は
「黙りなさいと言ったはずよ?
戦いに立ち会った教師がBクラスの負けを宣告してるんだから、どう足掻いても私達の負けは確定してるのよ」
「うぐ……」
凄いなこの副代表。あの根本を黙らせたぞ。
「さて、坂本君……だったかしら? 条件は何でしょうか?」
「条件……だと?」
「はい。Fクラスの最終目標がAクラスである事は知っていますし、Dクラスとも教室を交換せずに何かしらの条件を突きつけた事は分かっています。
Bクラスへの要求は何でしょうか?」
おい……マジで有能だぞ、この副代表!!
「ほぅ……話が早くて助かる。
条件は簡単だ。明日Aクラスに行って試召戦争の準備があると伝えてこい。
宣戦布告はするなよ? 準備があるとだけ言ってくれ」
「それだけで良いんですか?」
「ああ。
根本が
そう言って雄二が取り出したのは文月学園の女子制服……
……どうやって手に入れたんだ……?
女子制服が割と簡単に手に入れられそうな男子は2人ほど思い付くが……あいつが協力したとも思えんしなぁ。
「ちょ、おい!! 何で俺がそんな事を!!」
『それは乗らない手は無いな!!』
『Bクラス全員で実行させよう!!』
『よっし、皆を呼んでくるぜ!!』
「決まりみたいね」
「んなっ!! ふざけるなぁぁぁ!!!!」
「ふざける? 何を言っている。
これは立派な戦術だ」
え? ただの嫌がらせじゃなかったの?
「Aクラスの連中に汚物を見せつける事で相手の士気を削ぐというな!!」
「「なるほど! それは盲点だった(わ)」」
御空さん、意外と気が合うな。
「何だその屁理屈は!! 御空も納得するな!!
お、おい待てお前ら、話せば分かギヤァァァァァアアアアアアア!!!!!」
……数分後……
あの後根本が抵抗したので、僕が鳩尾に一発叩き込んで黙らせたあとBクラスの連中の手に託した。
「あ、あの……」
「ん? 姫路か。どうした?」
「一体何がどうなってるんでしょうか……?」
まぁ、事情を知らない人から見たら何がどうなってるんだって話だよなぁ……
「かいつまんで言うと、僕が根本を倒した。
その後の会談で根本が女装する事になった。
以上だ」
「え? あ、あの、途中飛びませんでした?」
「気のせいだ」
割と事実に近い。
「そ、そうですか……
ところで、空凪君は一体何をしているのですか?」
「見ての通り、根本の制服の汚れを取っているだけだ」
「それ根本君の制服だったんですか。
教室をこんなにした人の制服を綺麗にしてるなんて、優しいんですね」
「何か勘違いしてないか?
僕はこれを売れば多少は教室を改善できるだろうと綺麗にしてるだけなんだが」
「えええ!? 売っちゃうんですか!?」
根本には新しい制服があるし、大丈夫でしょ。
「ほ、本当に大丈夫なんでしょうか……?」
「教室の損害を考えたら安いくらい……ん?」
内ポケットに何か入ってるな。これは……
「そ、それはっ!!」
「なるほど、お前のか」
かわいらしい感じのいかにもな封筒だ。
ラブレターとはまた古風な……
ラブレターに偽装した脅迫状である可能性は……無いな。
「ほれ、失くさないように気をつけろよ」
「は、はいっ!!
でも、どうして根本君の制服にこれが……?」
「おおかた脅迫でもしようとしたんだろ?
これを突きつけられて何か要求されたら……お前なら断れないだろう?」
「そうかも……しれませんね……すいません」
「謝る事は無いさ。脅迫する奴が悪い」
にしてもラブレター(仮)ねぇ……
「それ、明久に送るのか?」
「ふぇっ!? ど、どうし、な、何で!?」
「落ち着け落ち着け。
お前の態度を見てたらすぐ分かるぞ。
分かってないのは
「ええええっ!? っていう事は坂本君とか……」
「まず間違いなく気づいてるな」
「木下君は……」
「多分気づいてるんじゃないか」
「土屋君とか……」
「気づいてなさそうで多分気づいてるぞ」
「い、いいいいつから気づいてたんですか!?」
「そうだなぁ……
最初に出会ってから1分くらいか?」
疑惑程度であり確定では無かったが。
「うぅぅぅ……私ってそんなに分かり易いですか……?」
「ああ。ただ……」
『これより、FFF団による異端審問会を始める!』
『建前は不要だ。結論を述べたまえ』
『姫路さんとずっと話してて羨ましいんじゃゴラァアア!!』
『よって死刑!!』
『イヤッハァァアアアア!!!!』
「あいつらよりは分かりにくいから安心しろ」
「そ、そうですか……」
「さて、地獄を見たい奴から掛かってこい!!」