肝試し大会は、二年生の勝利で幕を閉じた。
二年生はもちろん、三年生も結構楽しんでいたようだ。
……一部、トラウマを植え付けられた生徒は除くが……
「お疲れ。お前なら間に合うと信じていたぞ」
「間に合ったよ。間に合ったけどさぁ……最初から参加したかったよ! どうして教えてくれなかったの!?」
「あ~……何かスマン。
でも、詳細な記録取ってあるんで、後で康太に整理してもらって……」
「ホントに!? ありがとう!!」
「……お前、肝試しどんだけ好きなんだよ」
「肝試しってよりも、皆で集まってワイワイするのが好きなの。
1人じゃできないからね」
「……かもな。それじゃあ今度鑑賞会でも開くか」
「え? ホントに? 絶対に呼んでよ!?」
「分かった分かった」
御空は、間に合った。
姫路と霧島が失格になった後、一度教室に戻って電話したら『もうすぐ着く』との事だったので、パートナーが戦闘不能になっていて暇そうだった工藤と組んで常夏に止めを刺すように頼んでおいた。
最強クラスの後続が居たから、自由に戦えた。
「しかしスマンな。なんか後処理みたいな事させて」
「そんな事は無いよ~。むしろ最後の止めを貰っちゃて良かったのかなって感じだし。
それに……」
「それに?」
「……あの二人には清涼祭の時の貸しがあるからね」
「……やっぱり、気が合うな。僕達」
「ふふっ、惚れた?」
「バカ言うな。僕達にはこれくらいの距離感が丁度いい。
たまに会ってたまに会話するくらいがな。
お互いの本質に近付きすぎると、確実に反発するぞ」
「う~ん、それもそうだね~」
「……ところでさ、ま~たバカな事やってるみたいね」
「……何の事かな?」
「はぁ、キミの生き方を否定する気は無いけど、納得したわけじゃないんだからね?」
「…………」
「彼女、話があるってさ、屋上で」
「……そうか」
「覚悟しといた方が良いよ? 今の彼女は手強いよ?」
「……何となくそんな気はしてた」
「ちゃんと責任取んなさいよ~」
「はぁ……面倒い」
「キミが撒いた種でしょうが。ほら、さっさと行きなさい」
「はいはい。行くよ。
それじゃ、また今度な」
「うん。今日はありがとね。じゃあ、また今度!」
……さて、行くか。
階段を一歩ずつ進んでいく。
あの態度を見る限りでは……僕の目論見は恐らく失敗したんだろうなぁ……
……まあ、最後まで足掻いてみようか。
屋上の扉を開けると、彼女の姿があった。
「……来てくれたんですね」
「……ああ」
そして……
彼女はこう言った。
「あなたは、嘘を吐きましたね?」