バカ達と双子と学園生活   作:天星

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02 企画

「……ところで鉄人先生」

「何だ?」

「これ、直るんですか?」

 僕の召喚獣や雄二の召喚獣(未変身)ならともかく、ゾンビやら何やらが跋扈する試召戦争なんて三流ホラーでしかない。

「システムに関しては学園長にしか分からない。

 俺からは何とも言えんな」

「なるほど。分かりました。

 では代表、ついでに明久も、行くぞ」

「ん? ああ。そうだな」

「そうだね」

 試験召還システムの不具合なんて学園を揺るがす一大事だ。急いで確認しなければ!!

 

 

 

『って、こら!! 逃げるな!!』

「やべっ、バレた!!」

「急げ急げ!!」

 

 

  ………………

 

 

「そういうわけで、直接尋ねにきました!」

「アンタらねぇ……」

 学園長が何か呆れてるような気がするが、まあきっと気のせいだろう。

「んで、この不具合は直るのか? どうなんだ?」

「人に物を尋ねる時は礼儀ってもんを弁えな。このクソジャリ」

「いや~雄二がすいませんね、クソババア」

「お前もだよ吉井」

「そんなバカな!!」

 このままだと一向に話が進まないな。

「それで学園長、この不具合は直るのですか?」

「ハァ? 何言ってるんだい? 不具合なんて無いじゃないか」

 ………………ふむ。

「雄二、病院を紹介してあげようか」

「いや、医者も匙を投げるんじゃないか?」

「アンタら、アタシを怒らせに来たのかい? そうなんだね?」

「では学園長は、この妖怪が跋扈する状態を仕様の範囲内だと?」

「それ以外に何があるって言うんだい?」

「……この仕様変更は学園長が意図したものだと?」

「だから、そう言ってるじゃないか」

「何のために?」

「そりゃあ……アレさね。

 最近暑い日が続くから、みんなに涼んでもらおうと思ってね」

 凄い開き直りだなぁ……

 ……ところで、

「雄二、今の聞いたな?」

「ああ。つまり、クソバ……学園長、召喚獣を使って涼むような事をやって良い。

 つまり、肝試し的なイベントを行うって事だな」

「ハァ……アンタらはそういうとこだけは目ざといねぇ。

 いいだろう。肝試し、やろうじゃないか」

 よし、これで補習が潰れる!!

「但し、ただ見て肝を冷やすような肝試しは却下さね。

 やるなら点数勝負を盛り込んだ内容にすること」

「それはつまり、ルールは丸投げ……じゃなくて、希望者に全面的に委託する。という事でしょうか?」

「なんだって生徒の為の企画のルールをアタシが考えなきゃならんのさ」

 そりゃごもっとも。

「肝試しか……それじゃあ俺がルールをまとめてアンタに提出する。それで良いんだな?」

「そうさね。あと、終わったら後で一般公開するから、そういう事も意識して行う事。分かったね?」

 不具合を利用して宣伝かぁ……

「スポンサーが多い学校の学園長ってのも大変ですね」

「アンタたちが学外でも活躍してくれたらもう少し楽なんだけどねぇ」

「そう言われましても」

 部活で大会に出るような人ならそういう機会もあるだろうが、ただの学生に言われても困る。

「ま、いいさね。外で問題行動を起こしてないだけでも十分だよ」

「そうですか。

 補習はあと今日除いてあと2日間なわけですが、明日に準備、最終日に開催。という事で良いでしょうか?」

「ふむ……確かにちゃんとしたものを作ろうとしたらそのくらいの準備は必要かね。それで良いよ」

「場所はどうします? C教室の中だけとなると結構狭くなりそうですが……」

「これは学校行事だからね。そんなセコい事言わずに1フロア丸々使うくらいで構わないよ」

「参加人数は……」

「補習や講習、とにかく夏休みに学校に来てる生徒は強制参加。

 そうでない生徒は自由参加。とでもしておこうかね。人数は自分で数えな」

 

 まとめると、かなり大掛かりなイベントの進行をほぼ全て任された形になるな。

「これ、普通に補習受けるのとどっちが楽だったんだ?」

「おいおい何言ってる。鉄人の補習より数百倍は楽だろ?」

「そうだよ!! あの鉄人の補習に比べたらね!!」

 ……そうなのか?

「やるぜ明久!!」

「おう雄二!!」

 ……まぁ、適当に頑張るか。


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