バカ達と双子と学園生活   作:天星

130 / 243
屋上にて

「………………で、どうするんだ?」

「わ、私は……」

 

 少し間を開けてから、姫路が話し出す。

 

「私は、吉井君が好きです」

「ああ。知ってる」

「だったら……ちゃんと、伝えないとダメです、よね?」

「それを決めるのはお前だ」

「だから……私は、告白、します」

「…………そうか」

 

 なら、仕方あるまい。

 正しく、終わらせないといけない。

 

「屋上にでも呼びつけるか?

 一応告白スポットらしいが。」

 それに、教室で告白なんてしたら鮮血が飛び散るし。

「そう、ですね。吉井君に屋上に来るように伝えてくれますか?」

「自分で伝えたらどうだ?」

「自分でやると、なんだかためらっちゃいそうで……」

「そんな不安定なら、無理に告白しなくても良いんだぞ?」

「いえ、やります」

「…………そういう事なら構わんが、決行時刻は?」

「……今日の、放課後に」

「……了解」

 

 

 

 

 

  ……そして、放課後……

 

 

 

 

「それじゃあ、お願いしますね?」

「ああ」

 

 姫路が教室を出た事を確認してから明久に話しかける。

 

「おい明久(確定)」

「確定も何も最初から本物だよ!?」

「じゃあ明久。屋上で待ってる奴が居るから行ってやれ」

「え? 誰が?」

「行けば分かる」

「う~ん……それじゃあ行ってみるよ」

(……揺れるなよ)

「え? 何か言った?」

「いや、何でもない。行ってこい」

「? うん」

 

 明久は、不誠実な人間ではない。

 だが、ちょっと優しすぎる人間だ。

 心配だが……信じてるぞ。

 

 

 

 ……剣side out……

 

 ……明久side……

 

 う~ん、さっきの剣、なんか様子がおかしかったような気がするけど……気のせいかなぁ?

 えっと、屋上って言うと……新校舎の屋上で良いのかな? 僕達の教室(C教室)から近いし。

 まぁ、行ってみて誰も居なかったら旧校舎の方に行けば良いかな。

 とりあえず、新校舎の屋上にっと。

 

ガチャッ

 

「あっ……来た、んですね」

「あれ? 姫路さん? どうしたの?」

 おかしいなぁ。ここには僕を呼んだ人が居るはずなのに。

「あ、あのっ、わ、私が呼びました。

 どうしても、吉井くんに伝えなければならない事があって……」

 ああなるほど。姫路さんが呼んだのか。

 一体何の用だろう? まるで告白しようとしてるみたいじゃないか。

 ……アレ?

「わ、私は……

 

 

 吉井君の事が好きです!」

 

 

 ……おっかしいなぁ……まるで姫路さんが僕に告白したように聞こえたけど……

 って、えええええっ!?

 いやいやいやいや、あり得ないよ!

 あり得ない? ああ、なるほど。

 

「姫路さんでも冗談を言うんだね~」

「冗談じゃありません!! 本当です!!」

「いやいや、でもこんなブサイクでバカの甲斐性無しが好きな人なんて……」

 

 ……あ。居たね。一人。

 こんなのを好いてくれてる人が。少なくとも一人居た。

 それじゃあ、姫路さんの言ってる事は、本当なの?

 

「あの、本当に冗談とかじゃないんだね?」

「……はい」

 

 姫路さんは、僕が好き?

 そっかぁ。

 

「……姫路さん」

「……はい」

「…………僕は……」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。