バカ達と双子と学園生活   作:天星

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12 軍律

「ご、ごめんなさい……取り乱したりして……」

「……いや、良い」

 場所はFクラス教室。やっと島田が落ち着いた所だ。

「剣が島田を身に纏って帰ってきた時は驚いたぞ……」

「やれやれ……」

 さて、まだ話さなきゃならん事があったな。

「おい島田」

「な、なんでしょうか……?」

 口調が少々おかしいな……さっきのでまだ少々気恥ずかしいのかもしれない。

「人の安否を心配する事自体は悪い事じゃない。

 だけどな、お前の行動は色々と問題があったぞ」

「そ、そう……なの……?」

「まず、前線指揮の放棄。

 さっきも言ったが、これは普通に補習室送りになるレベルの事だ」

「うっ、……

 ……う、ウチも悪いとは思ったけど……吉井が心配で!!」

「気持ちは分かるがな……

 須川とか、適当な人物に指揮を託すべきだったな」

「ご、ゴメンなさい……」

「警告……したからな。

 次に指揮系統を乱したら補習室送りにしてやるからな?」

「は、ハイ……」

 言うのもうちょっと待った方が良かったかなぁ……

 でも早いうちに言っとかないとねぇ。

「あと、Bクラスが流した噂をあっさりと信じるのも問題だ。

 何だっけ? 『吉井が瑞希のパンツを見て鼻血が止まらなくなった』だっけ?

 普通嘘だと気付くだろうが」

「ううぅ……そうかもしれないけど……」

「実際問題騙されたという事は騙されるだけの何かがあったのかもしれんが……

 そこで慌てちゃダメだ。まずは落ち着く事だ」

「うん……」

 そうは言ってみるが……難しいよなぁ……

 僕だって、姉さんが死んだって聞いたら取り乱すかもしれないし……

「まぁ、情報の真偽を疑ってたらキリが無いからな。

 とりあえず、指揮権はほったらかしにするな。用事があったら誰かに託せ。

 以上だ」

「分かった」

 一回で修正できてくれたら良いけど……

 次やらかしたら本当に戦死させなきゃいけなくなるからなぁ……

「僕からの話は以上だ。

 雄二、現在時刻は?」

「……後1分……いや、4時だ」

 

ピンポンパンポーン

『ただいま、午後4時になりました。

 繰り返します、ただいま午後4時になりました』

 

「停戦の時刻だな」

「それじゃ、今日はもう帰って良いのね」

「……場合によるな。

 雄二、Cクラスの情報は?」

「今康太に探らせて……」

「……戻った」

 ナイスタイミング……と言うより、停戦時刻に合わせたのかな?

「報告を頼む」

「……怪しい動きがある。

 漁夫の利を狙っている可能性がある」

 ふむ……戦争の準備をしてるって事だな。

 となると……

「康太、もう一つ教えてくれ。

 その動きは()()()()いたか?」

「…………いや、かなり分かり易かった。

 須川か、下手すると明久でも判断が出来ただろう」

「そいつはよっぽどだな。なるほど」

「剣、お前の言った通りの展開になりそうだな」

「僕はただBとCが手を組むって言っただけだ。

 ここまで細かく予測しちゃいない」

「えっと……どういう事なの?」

「ん? 一言で言うと、Cクラスの不穏な動きはBクラスの罠だって事だ」

「え!? どういうことなの!?」

「島田、ちょっと落ち着け。さっき言ったことをもう忘れてるぞ」

「あ、ご、ごめんなさい……」

 う~ん……脅し過ぎたせいかテンションが変な方向に行ってるのかなぁ……?

「具体的には、根本が待ち受けてるだろう。

 教師と、その他少数部隊がCクラスに潜んでいるはずだ」

「で、俺たちがCクラスと交渉しようとしたら条約違反だと言って攻撃してくるわけだな」

「そういう事だ」

 条約文の『試召戦争に関わること全て』というのはやや曖昧な言い方ではあるが……

 不可侵条約を結ぶ事やそれに準ずる事は間違いなくアウトだろうからな。

「ところで康太、Cクラスには教師がほぼ間違いなく待機してるはずだが……

 担当科目は分かるか?」

「…………数学の長谷川先生が怪しい」

「数学ね。運が良い」

「おっ、何か策があるのか?」

「……一応……な。

 多分一回しか通じないから、出来れば使いたくは無いんだがな……」

 いや、同じ相手には二度と通じないだろうな……

「何なんだ一体?」

(ごにょごにょ)

「……何!? ちょっと待て、すぐに確認する!!」

 携帯を取り出してあるモノを確認する雄二。

 雄二にバレてなかったなら根本にも多分通じると思うんだけど……

「なるほど……ハハッ、こりゃ良いね!!」

「そういう訳だからBクラスは僕に任せろ。

 Cクラスは頼んだぞ!!」

「おうよっ!!」

 さて……行くぞ!!


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